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29話目


29話目


 お高い所に連れて行かれると思っていたが、想像していたよりも高級な所だった。こんな所にローブ露着ていくのは明らかに場違いなのだが、その事は学長も分かっているようで、個室に通させてもらった。

 ここなら服装は気にしなくてもいいし、会話の内容を気にする必要はない。


 そのおかげで気軽に出てきた料理を食べることが出来た。会話をしながらひとしきり食べ終わった頃、本題に入らせてもらった。


「僕は教師になると言う事でよろしいのでしょうか?」

「そうだな。本当は臨時の教師として雇おうと思っていたんだが、事情が変わったからな。正式に教師として雇う事にした。」

「資格とかは持っていないのですが大丈夫ですか?」

「それくらいいくらでも偽造できるさ。もちろん知ってもらわなければいけない事は有るから覚えてもらいたいが、それくらいさ。」


 今の世界状況は個性がH津減した事によって政治関係は不安定になってしまったのだとか。だから、いくらでも介入する余地があるらしい。もちろん賄賂だとかは必要だが、ダルサン学長ともなれば相手側から媚びを売って来るのだとか。

 なぜならダルサン学長とつるんでおけばヘラクレス学園と言う世界有数のコネを持てるのだから。


「ありがとうございます。」

「それよりもさ、魔術の事を教えてはくれないかい。前回はレイリーがいたから話せなかっただろ?」

「いいですよ。魔力のことでいいですよね。」


 魔力を自然力と偽る上で、話しておいたほうがいいだろうとレイリーに言われたので、話したのだ。

 僕も勉強を行う機関を運営している人にお願いしておきたかったので、良かったと思う。


 しかし、話してからダルサン学長は魔術に興味を持ったみたいで、知りたいとアピールしてくるのだ。

 ただ、残念なことに個性は魔力回路を変形してしまい、魔術を使うことができない。そのことはちゃんと言っているのだがそれでも知りたいのだとか。


「いや、私の魔力回路を調べてほしいんだ。派手な個性ではないから希望があるかもしれないし。」

「そういえば学長の個性は知りませんね。聞かないほうがいいんですか?」

「いや聞いてくれてもいいぞ。私の個性は『天才』だ!」

「天才?」

「コツを掴むのが早くなるんだ。そのおかげで苦労したことがあまりない。」


 天才か。僕には無縁であるやつだ。


「いいですね。凡人の僕には関係ない個性ですが。」

「君が凡人か?! 面白いことを言うな。たった一年で魔力を発見して、その上で活用方法を考えた! さらに世間への影響を考えて情報を厳選して自然力として公開した。」

「運が良かったんですよ。いつもならこんなことは出来ませんできた。」


 学長には僕が何千年も生きていることは言っていないし、魔術に関してもほとんど言っていない。

 ただ、その脅威を説明しただけだ。


「天才ってのはそういうものだよ。いつ訪れるかわからない機会を掴み取るのが天才ってものだ。私の個性はその機会を増やすための手助けだ。」

「ならなぜ天才と?」

「周りの評価だよ。何回か訂正しようと思ったさ。私の個性はコツを掴みやすくなるものだと、だけどその都度私が成したことを見せながら「あなたは天才だ」と言われた。だから私は言おう、君は天才だと。」




「まあいいです。見ますよ。」

「ありがとう。なにすればいいんだ? 脱がなきゃいけないなら脱ぐが。」

「何もしなくていいですよ。すぐに見れるので。」


 戯言を無視して魔力視を行う。

 【青】さんの威圧に対応しきれていなかったのを反省して、いつでも魔力視を行えるように常に魔力を生成していたのだ。

 魔力は生成しようと思わなければ生成できないから【青】様に威圧されたときにワンテンポ遅れたのだ。


 ダルサン学長を見るとやはり魔術を満遍なく使うには変形しすぎている。


「駄目ですね。」

「そうか。期待していたんだけどな。」

「仕方がないですよ。」


 学長の魔力回路は頭に集中していた。天才と名の付くからには奇天烈なのかと思ったけど本人の説明通り、コツをつかむ……つまり理解しやすくなるよう頭に集中していた。


「仕方が無いか。それなら聞きたいんだが、アルト君が見つけた手術。あれをやれば使えるようになるかな?」


 僕が見つけた手術。つまり、魔力回路の膨張の事だろう。それを直す方法として研究していたのが、魔力回路を分散させると言う事。

 実際に成功してその手術が出来る人を増やすために、僕はここにいるのだが、その手術で他の利益を求めているのだろう。自然力しか知らなければそんなこと知らないのだが、魔力を教えてしまったばかりに、興味を持ってしまった。


「出来るようになりますよ。失敗し無ければですが。」

「失敗? 君がやっても失敗してしまうのか?」

「ダルサン学長の魔力回路は頭にありますから。脳味噌にしっかりへばりついていますよ。そんな所にある魔力回路を移動させるのであれば、一度取り出すほかないでしょう。脳味噌を取り出して、切ったり穴をあけたり。」


 そんな事をやるのは、キマイラ作りが好きな狂人くらいだろう。僕はやりたくない。


「どの様な状態を成功というのか分かりませんが、たとえ魔力回路を摘出できたとしても脳味噌はボロボロです。そのうえ頭に戻さなければいけないですから。」

「うわ。失敗確実じゃないか。」

「そうですね。お勧めしません。」


 僕がそんな事をやるとすれば、余程金を積まれているか殺したいかだ。






【魔術史最後の生き残りである1匹と1人は異能の世界で生きていく】をご覧いただきありがとうございます。もしよければブックマークや評価をしてくださるとうれしいです。


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