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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
この連載作品は未完結のまま約3年以上の間、更新されていません。
今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい。

人生やり直し悪役令嬢-30歳ゲイ、悪役令嬢になって人生やり直します-

作者:日向冬
小さい頃からみる不思議な夢があった。
典型的な悪役令嬢の女の子目線から王道の恋愛映画を見る―そんな夢。
幼いころ、婚約者という王子様に一目ぼれしたところから始まり、今は全寮制の学園で下級貴族のヒロインポジションの女に現を抜かす王子を見て嫉妬に狂っている。
今ではお決まりすぎて誰も見ないようなつまらないストーリーだが、彼女の人生を追体験しているようで、応援しながら見守っていた。
「今日も見たよ、あの夢。あの子、遂にヒロインに殺し屋を差し向けるみたいだ。」
今日も大好きな親友の隆二にこの話をする。
妻にも言っていない、昔からの二人だけの話題というだけでなんだか嬉しくて、会うたびに話をしていた。
「あの夢か。確か中学の時からずっと言ってるよな?大人になるまで見るなんて、その子と何か縁があるんじゃないか?俺は落ちる夢ぐらいしか定期的に見ないな」
最近、その話題にも反応が薄くなってきたことに気づかないふりをし、毎回付き合ってくれる隆二に甘えていた。それだけでいい。一生思いは伝えずに親友として生きていく。
跡継ぎのため仕方なくお見合いして結婚した妻と5歳になる息子は、家族として愛していることに間違いはない。俺は幸せ者だ、そう思っていた。
「・・・なんで?」
自分の家の風呂場で最愛の親友と妻の不倫現場に遭遇するまでは。
「俺だって・・・俺だって隆二の事が好きなのに!!」
動転して訳も分からず自分の気持ちをぶちまけてしまう。
「最低。彰さんってゲイだったの?」
「俺の事そんな風にみていたのか。気持ち悪い」
俺が被害者の筈なのに罵られ、耐えられず自分の家から逃げ出してしまった。
公園のベンチで泣きつかれうたた寝すると、今日もあの子の夢をみた。

「サイオン様っ違うのです!全てはあの女が悪いのですわ!」
「黙れ。貴様に名前を呼ぶことも許可していない上にリリーの事をあの女呼ばわりするとは。王族不敬罪の罪も背負いたいらしいな。人を殺そうと思う其方らしい下劣な振る舞いだ。見るに堪えん。」
「婚約破棄と合わせて国外追放を命じる。二度とこの国に足を踏み入れるな。同じ空気も吸いたくない。」
そうか。お前も人生の絶望を味わうなんて本当に運命を感じるよ。
でもな、お前の方が俺の人生よりマシだろ。

『本当にそうかしら。じゃあ試してみたら?』
「へ?」

目が覚めると俺はあの夢の悪役令嬢になっていた。
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