森林の剣 歴史探訪の会 4
白石さんは、眉をよせ額にしわをつくりながら、
「そうです。家に代々伝わる古文書から抜粋したものを、わたしなりに修正して、わかりやすく書いて送りました」
「――これをみて、藤原さんは、〝こだま〟を呼び出し、憑かせることに成功したみたいなんです」
武が告げると、会員全員が、困惑した様子で椅子の上の身体を縮こませた。互いに顔を見合わせ、腕をテーブルの下に入れたり出したりしている。
「わたしも……最近知りました。ほんとに成功するとは思わなかったんです。藤原さんは、〝こだま憑き〟について熱心に調べておられたので、古文書の内容を書き写してきてくれといわれて、断り切れなかったんです」
「最近、知ったというのは、誰かから聞いたのですか?」
「そうです。つい最近、藤原さんのお孫さんが尋ねてきたんです。――藤原さんの持っていた手紙をみた誰かが、鎧武者になって行動していたのではないかと、問い詰められました」
岩瀬たちのことだろう。武は、岩瀬と孫のほうの藤原さんが知り合いであることを告げずに、続けた。
「藤原さんと土浦さん、このふたりが、〝こだま〟の呼び出しに成功したのは、確実だと思われます」
「……はあ、でも」
白石さんは、首をかしげ、
「同じことを、私と主人とでやってみましたけど、何も起こりませんでしたよ」
武は、驚いた。
「ホントですか!? この内容を、行われたのですか?」
武はテーブルに戻していた手紙を、ふたたびつかんで振った。
白石さんは、少し顔を赤くした。
「ホントですよ! ウソなんか、いいません! 藤原さんのお孫さんから、藤原さんが〝こだま憑き〟になっていたかもしれないと聞いて、確かめたくなって、昔から氏子をしている神社まで、わざわざ行って、やってみたんです」
守口さんが、声をあげた。
「白石さんとご主人も、やってみたんですか!? こりゃあ、びっくりだ!」
「――ちょっと待って! 守口さんも、〝こだま〟を呼び出す実験をされたんですか!?」
武は、声がうわずった。
守口さんが、大きくうなずく。
「ああ。わしも、先祖代々、氏子をしている神社へ行ってやってみた」
「なんともなかったんですか!?」
守口さんは、頭をかきながら、
「ああ、何ともなかった。何度やっても、同じだった」
信じられないという顔で、白石さんが、
「――あなた、前に、そんなことできるわけないって、いってたじゃないですか!?」
守口さんも、少し顔を赤くした。
「――いや、あの時は、そういったんですが、やってみるぐらい、いいだろうと……その、神社もすぐ近くだったし……」
武は、その場の全員をみまわした。
「――ほかに、〝こだま〟の呼び出しを、やってみたひとはいませんか?」
斎藤さんも、サポートしようと思ったらしく、
「――ほかに、された方は、おりませんか? 責めてるわけじゃりません。ただ、何か起こってからでは、遅いので……。土浦さんのようにケガをされたり、まして、命にかかわるようなことになったら……」
思ったより動揺しているような声だったので、武は、斎藤さんを横目でみた。
額に汗が浮かんでいた。
危険があると、強くいいすぎたかもしれない。
武は、続けた。
「あの、もう 2名の方が、打ち明けられたので、ほかの方も遠慮しないで、いってください。ホントに、責めたりしませんから――」




