森林の剣 歴史探訪の会 3
斎藤さんは、『よろい武者事件』の真相が、〝こだま〟に憑かれた者の暴力的な行動によるものであること、目撃されている三人の『よろい武者』のうち、ひとりが『歴史展望の会』の一員であったことを、ところどころ、武たちに確認しながら説明した。
「――その、よろい武者だったのは、今日、休んでる土浦さん?」
守口さんが、こわばった声で訊いた。
「そうです。よろい武者――武士の恰好をして、橋の上で、通行妨害をしていたのです。最初訊いたときには、記憶がはっきりしないといわれていたんですが、今日になって、おぼろげに、橋の上にいたことを、思い出したそうです」
「〝こだま〟を憑かせる方法など、儂は、知らんぞ……」
困惑した顔で、さっき青井という名だと紹介された老人がいう。小柄だが、よく響く声をしている。
「……先日、亡くなられた藤原さんの保管されていた手紙やメモを、この方たちが、持ってきてくださいました」
斎藤さんんは、武たちのほうを向いた。
武は、持ってきたバッグから、手紙を含む文書の束を取り出した。
「こちらに、亡き藤原氏の手紙とメモが、あります! 遺族の方から、無理をいって借りてきました」
武が前をみると、さっき文句をのべていた永山女史を始めとする全員が、食い入るように武のつかんでいる手紙をみている。
「これから、手紙をもとに、〝こだま憑き〟について、いろいろ聞いていきます。よろしいでしょうか?」
斎藤さんを、横目でチラッとみる。大きくうなずいている。どうやら、このまま進めても、大丈夫のようだ。
武は、手紙の束から、一通を選び出した。
手紙の送り主の名前を確認した。
よし、話してみよう!
少しずつ気が大きくなってきた武は、会員たちをみまわし、なかのひとりに向け、口を開いた。
「白石さん。この手紙は、あなたの出された物ですね?」
べっ甲ぶちのメガネをかけた老女が答える。
「ええ、そうです」
「このなかに、〝こだま憑き〟と呼ばれる人間を作り出す手順、〝こだま〟を呼び出し、特定の人物に憑依させる方法が、かなり具体的に書かれています」




