森林の剣 歴史探訪の会 2
「聞いてないわ!」
女性は、会のことは何でも報告するのが当たり前のように、問いつめた。
斎藤さんは、落ち着き払って、
「永山さん、事情があったんですよ」
「会員以外の人を呼ぶのなら、前もって相談するのが、礼儀だわ!」
「――まあまあ、永山さん」
永山と呼ばれた女性は、ななめ横に座る、太った頭のはげた老人をにらんだ。
「――守口さんだって、この間、大山古墳群に詳しい人を呼ぼうとしたら、気心の知れた人じゃないと嫌だって、いってたじゃない!?」
守口と呼ばれた老人は、頭をかいた。
「いや、それはそれとしてですな……斎藤さんが訳もなく、無断で、会に人を呼ぶことはないと思うんじゃが……?」
斎藤さんは、うなずいた。
「無断で、この人たちを呼んだのは、謝ります。……ですが、ケガ人が出る事態になったんです」
「ケガ人ですと!」
分厚いレンズの遠近両用らしいメガネをかけた、短髪の中年男が、声をあげた。
「そうです。土浦さんがケガを負われて……。この方たちは、その場におられて、土浦さんを、わたしの家まで運んでくださったのです……」
「――それで、土浦さんは来てないのか。ケガはひどかったんですか?」
「何ヶ所かのすり傷です。――でも、体力の消耗がひどくて……。今日も、会に来るといわれてたんですが、大事をとって、休んでもらったんです」
よかった、と中年男はつぶやき、彼だけでなく、その場の全員が安心した顔をみせた。
「――それで、ケガを負ったのは、どういう事情だったんです?」
「それは、これから、説明します。その前に、互いに紹介しないと……」
斎藤さんにうながされて、武は前にでた。
「宮田です。よろしく、お願いします」
「松田です。同じく、――お願いします」
斎藤さんは、今日来ている歴史探訪の会のメンバー全員を、武たちに紹介した。さきほど、話しかけてきたメンバーも含めて、紹介してくれた。
白石さん(女)、青井さん、守口さん、永山さん(女)、山崎さん(女)、倉田さん、佐々木さん、塚本さん、……そこに斎藤さんをたして、ちょうど 9人となっていた。
さっき発言した永山さんと山崎さん、倉田さんなどは、場違いな人間が室内にいると、武と茂の方をにらんでくる。
斎藤さんは、部屋の端に寄せられていたキャスターつき長テーブルのひとつを、引っぱってきた。パイプ椅子も三脚用意して、ひとつの椅子に自分がすわり、武たちに、残りの二脚にすわるようにうながした。
武と茂が椅子にすわり、準備が整うと、斎藤さんがたちあがった。
「では、今年12回目の歴史探訪の会を始めます。――いつもなら、遺跡や地方の歴史的価値のある場所を訪問した旅行記など、自由闊達に話していただくのですが、その前に、聞いていただきたい事件があります」
そこで、斎藤さんは、チラッと武たちをみた。武は、万事こころえていることを示すため、うなずいた。茂は考え事をしているのか、ぽかんと口を開け、宙をみつめている。




