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こだま憑き  作者: ブルージャム
第四部 平成編
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森林の剣  発見

 よろい武者の男は、まだ、このなかに居るのだろうか?

 武たちは、とにかく、境内を一周して探してみようと、社殿の正面から東側に、まわった。 

 社殿の側面から突き出した外廊下から、少し離れた地面に、(ひと)が倒れている。


 あの、よろい武者だ!!

 武たちは駆け寄ると、よろい武者の(かぶと)をはずした。意外に若い、無精ひげを生やした男の顔があらわれた。

 岩瀬が、素早く男の首筋に手をあてる。

「脈がある! 生きてるぞ!」

 岩瀬は、安堵の声をもらした。もし亡くなっていたら、武たちが、集団で殺してしまったことになる。一生を棒に振ってしまうことになりかねなかった。


 うつぶせになっていた男の身体を、ゆっくりと動かし、あおむけにした。

 男のやせた顔は蒼白で、あの鬼神のような雰囲気は、どこにもなかった。身体も、ひとまわり小さくなっている。

 男の身体のそばには、古い茶色がかった紙が一枚と、この神社で配っているものだろうか、白いおふだが一枚落ちていた。


 男が眼を開いた。

「大丈夫か? 救急車、呼ぶから」

 岩瀬が、男の耳元で叫び、スマホを取り出して打ち始めた。

 武と茂は、救急車より、近くの民家に運んだ方がよいかもと、男の身体を持ち上げようとした。が、重い……力の抜けた人間の身体が、こんなに重いとは、知らなかった。

 ふたりは、持ち上げかけたが、すぐにへばって、男の身体を下ろした。これでは、途中で、地面に男を落としかねない。やっぱり救急車待ちだな、と岩瀬の方をみた。


「もし、もし。怪我人がいるんです! 住所は、ええと――」

 岩瀬は、あわてていたのか、住所を言い間違え、言い直そうとした。岩瀬も他県から来たので、大学の所在地以外の町名は、うろ覚えなんだろう。

「やめてくれ、……救急車は、呼ぶな」

 男が、しゃがれた声でいった。

 岩瀬が、困った顔をすると、

「怪我はしていない。力が抜けているだけだ。アイツを呼び出したあとは、いつも、こうなんだ。休めば、(なお)る」


 男は、近くに自分の家がある、そこまで連れていってくれ、と武たちに頼んだ。

 その頃には、男の顔にも、血色が戻っており、確かに大丈夫そうだった。

 武たちは、男を交代で支えながら、神社を出て、すぐのところにある、男の古びた二階建ての家まで、連れていった。


 家は、鍵がかかってなかった。

 家の中に入ると、男は、武たちに手伝ってもらいながら、よろいを脱いだ。

 よろいがあるのは、すごい、と茂がいうと、祖父の集めてた骨董品で、安物だという。

 旅芝居で使われていたものらしく、よく見ると、よろいのところどころに、塗装のとれた跡があった。どうも、大型の五月人形用に作られたよろいを、演劇用に手直ししたモノみたいだった。

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