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こだま憑き  作者: ブルージャム
第四部 平成編
46/73

森林の剣  怪異

 一般新聞でも取り上げられ、地方版の片隅にも載ったらしい。

 それは、市内をちょうど半分に分けるように流れる大石川の、3ヶ所にかけられた橋の上で起こった事件だった。


 大石川にかけられた橋は5本あり、2本は主に自動車が通る幅の広い橋で、ひとが渡れないことはないが、橋に設けられた狭い歩道を、自動車に遠慮して、縮こまるように歩かなければならない。

 だから、歩行者や自転車、バイクは、残りの3本の幅のせまい橋を選んで、渡っていた。


 武たちの通う大学は、大石川のすぐそばにあった。

 大学の裏門の前の道をまっすぐ西に進むと、川に突き当り、そのまま幅の狭い橋を渡ることになる。

 橋を渡った向こうにも、大学の設備――主に運動部やサークルの施設があり、学生たちは、その橋をしょっちゅう行き来していた。

 講義棟や大学事務局の施設がある、こちら側は、南北に大学の敷地が伸びており、その南端の建物の前にも、大石川の橋がかかっていた。


 このひとや自転車が主に渡る橋の上で、怪異な事件が起こっていた。

 夕方、陽の沈む直前、たそがれ時に起きている事件――。


 新聞によれば、夕焼けの、赤いセロハン紙を通したような、空気自体が赤く染まったような空間のなか、橋の上の川を横断するちょうど半分ぐらいの地点に、刀を持った侍が立っているのだという。

 侍は、よろいを身に着けており、戦場で戦ったばかりなのか、鎧のところどころに血の跡がある。侍は、橋を渡るひとの前に立ちふさがり、自分と戦え、といい、刀を抜き、上段にかまえると、こちらが、動き出すまで、じっと待っている。そして、こちらが動いた途端、切りつけてくる。


 何人も切られた人間がいて、その全員が切られた跡がなく、激しい疲労感を感じていたという。

 落ち武者の亡霊ではないか……。

 橋を渡る人々のあいだの噂になっていて、わざわざ夕暮れ時をえらんで、橋を渡ってみようとする人間もいた。特に学生たちは、こういう怪談が大好きで、集団で3本の橋の上を行き来している。


 大学は、不要不急な橋の横断はやめるよう、学内に貼り紙をしたり、ホームページのトップに、大きく目立つ、注意をうながす文章を載せたりしていた。

 

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