魔王との戦いは好きですか?
豪快に口の中に放り込んでいたが、リオンは、十分に理解していた
身支度を整える僅かな時間で用意してくれたことを
喉元を通り過ぎる瞬間、声が聞こえた
もう少し、噛んで味わってくれない?
怒ってるような・・・呆れているような
注意されているのに、すぐに飲み込んでしまう
すまないと後悔しながらも、素直に美味しいと漏らすと嬉しそうに笑ってくれていた
不満に思うことを、数えたら間違いなく、夜空に輝く星の数ほどあるだろう
だが、ユリさんは、僕が幸せなら、容認してくれる
別れてから、だいぶ時間は経過したが
僅かに残る温かさが、君の温もりのように感じた
止まることなく進む時間、注意深く過ごさないと気が付かない
よく噛まなきゃ、きっと、分からない事なんだろうな
そのはずなのに飲み込んだ瞬間、君の愛を理解させられた
瞼を閉じ、浸るようにユリの顔が浮かび、仕草や声が頭の中に再現されていた
リリアイ討伐を任せる代わりに最大限の戦力を託すしかなかった
ドランのみを連れ、無謀に難題に挑む決意をした不安だった
ユリさんのおかげで弱気な僕の心が満たされたよ
この感情が失われないうちに僕は進む
「うおぉぉぉ」ドドドーン 不安で重く見えた扉が簡単に開く
勇者だったころ感じていた聖なる波動が満ちている感覚に似ている
城内に巣食う魔物が歩き回らないように作られた頑丈な扉のはずなのだが
今のリオンには発砲スチロールが並ぶ壁のように感じられた
痛みなど感じない!肩から次から次へと当たると砕き進んでいく
アイドランス城の玉座の間までその加速は、止まらないだろう
進む先の道が消え壁が迫るよに近づいてくるが
壁だろが僕は止められないぞ だが足は急停止
はやる気持ちとは別に体が竦んで動かない
まるで竜が口を開き獲物が飛び込むのを待つような階段
地下へ伸びる先は闇で見えない、死地へ飛び込むようだな
漆黒の中へ、慎重に足を踏み下ろしていく
階段を降りきると光が漏れ先が映り
急に周りの温度が変わったのを感じて
周りを確認すると巨大な扉の奥から闇の力が洩れてきているのを感じた
冷たく感じたのはそういうことか
躊躇なく両扉に手を当て、押し開けようとしたら
招き入れるように音もなく開いていった
黒い霧がこちらに吸い込まれてくる
落ち着くと霧は消え視界が回復していた
主を失ったアイドランス城に不敵に笑うイフリーナルが王座に座っているではないか
どういうことだろうか、現在、ドランとイフリーナルの戦闘が開始されている
ドランの解析に間違いは無かった
僅かな違いは、攻撃特化と防御特化のイフリーナルが
存在していて守りについていたのだった
「やはり来ましたか、戦いは好まない、このままお引き取りを」
玉座で相手を待つボスという感じで違和感しか感じない
戦う気が無い者が、何のために居座る?
答えは。確実に相手を仕留める火力が欠けていることを示していた
ドランが、配慮から打ち明けなかった事でリオンは知らない
分かっていたところで行動の選択は変わらないのかもしれないが
リオンは不器用で自己陶酔型、満足した戦いが
出来たのなら結果的に命を落としたとしても後悔はしない
はずだった・・・『イフリーナルの指輪』の呪いで
ユリが化け物の姿になる経験をするまでは
魔王との戦い、どれほど望んだ光景だろうか
結果をかえりみずに問答無用で戦いを挑んでいただろう
「目的を果たさずには帰れない」
「愚かな、見逃してあげたいと考えていましたが話は通じないようですね」
竜殺し『聖剣ドラゴンスレイヤー』竜は己を滅ぼす装備を自ら選んだ勇者に与えた
それは魔王すら打ち破る力を与える意味も持つだろう
リオンは、竜の呪いとドラゴンスレイヤーを失った
聖なる力が応えるドラゴンスレイヤーとは違い
天からの罰を受けるような、後悔と苦しみ・・・
苦痛が力に変わる『雷の剣』を今は装備している
元勇者だった僕を狙うのはいいだろう
だが関係のないユリさんを巻き込んだことは許さない
全く異なる性能の2つの武器を操った事があるが
どうやら僕には雷の剣の方が合っているよだ
聖なる心ではなく、自らに罰を与えながら戦う
リオンは、自嘲した後、睨み
「愛しい人にあのような事をされて黙ってはいられない」
私怨をはらさなければ引きませんか・・計画が裏目に出ました
「私は人の感情を研究していたからなにを考えているか、手に取るように理解できます」
「正々堂々と勝負を受けてもらおうか」
「王位を退きましたが今、一度、魔王の力を解放しましょう」
『雷の剣』を掲げると空のばい建物内に雨雲が発生した
「闇を引き裂く雷となれ!」
リオンと防御特化イフリーナルの戦いの幕があがった




