流行り病は好きですか?
人より能力の劣る僕は、いつしか夢を見ることを諦めた
誰にも出来る簡単な事なんだろうが、難問にうつる
難しいことを言われても、出来ない事は分かっている
ハゼロモス、君に出会うまでは・・・
ただ正直に利用されようとも出来ることだけを選択していた
君に恋して不可能な事が全て無くなった
それなのに神はなんて酷い運命を与えた
全てを可能にする力を手にいれたところで
君がいないのなら意味がなくなる愛が全てだった
奇跡の力が薄れる君に不満は無かった
むしろ役目から解放されることを願っていたかもしれない
2人の未来に心配など無かったが
不死の魔王に呪いかけられ力を奪われた聖女の化身で
人々を流行りの病から救いたい強い思いが君を生み出してらことを
奇跡の加護の恩恵がハゼロモスの生命力を形成していたなんて知らなかった
神木の杖レムヴシアから事実を告げられて、どれだけ後悔したことか
魔王に止めをさせなかったことで世界に撒かれた病は進化を続け
呪いで姿を変えられたもう一人の君である聖女を探す手がかりも失った
人々を苦しめてる病があるかぎり
呪いは解かれていない証明だとしたら
もう一度、君に逢えると信じていたが
魔王ですら許せたのに君が亡くなってからは
禍々しい力の寝食が始まり、抑えられそうにない
なぜか、君の笑顔が思い出せない・・・どうしてなんだ
いまだ、この手には、君の最後の温もりだけが残いるのに
神木の大木に下敷きにされ、体を不思議な力で糧にされ土に還る
全ての感情が溶かされるような感覚
このまま、穏やかな気持ちで眠りにつけそうだ
赤い液体が周囲を濡らし、ドクンドクンと
うるさく鳴り響き、懐かしい温もりが体を引き上げた
この感触は・・・忘れていた愛しい人の顔が蘇る
「ハゼロモス!夢をみているのか?」
「夢から醒める前にお願いキスをして」
見つめ合い、瞳を閉じることなく唇を重ねた
ドラマを観るかのようにめいなと2匹の雛は見つめている
なぜか隣で巻き込まれそうになっていたアスゼルロスも正座をして眺めていた
目のあたりにした終焉の物語の急展開に興味深々なのか
いい雰囲気ではないか、肩に手忍ばせながら伸ばしていた
狙いはめいなだった!魔族なのに奥手な
リニスカラムに悪いことをしたなと反省したのか
気が付かれないようにめいなの様子を覗いながら
そっと移動していた・・胸の中にすぐ戻るのは後ろめたいか
常日頃、似たことを考えてるから、邪な動きをすぐに感じとった
【精霊さんに魔族が触れなど許せぬ】
モンくんは砲台化を解除すると図々しくめいなの胸元に戻り、睨みを効かせ
配下になりめいなの心を射止めようとするドラン対策で日々、鍛えられておりました
聖なる輝きを発して魔族を退けようとバリアを形成した
めいなの後方からアスゼルロスも手が現れ、肩に指先が伸びてくる
引き寄せようと触れる寸前だった聖なる光で浄化される
グヌッ・・・平然と手を引っ込めたがしみるような痛みに耐えていた
めいなの心を射止めようとするモンくんとアスゼルロスの恋の戦いが静かに幕をあげる!
「ふふふ、好きなんですね♡」
ピィィィ、ガゥゥゥと鳴くとめいなの肩に乗り、頬をチュチュと突いていた
唇が離れるとハゼロモスが話し始める
何も出来ない事で人気のない山で暮らしていたけど
ニワトリだった私は、めいなに連れられ、ユリの楽園でユリとリオンに出会った
お互いに惹かれているのに素直になれない
見ていると辛くて、逃げるように離れ、心配で様子を見に行く
何も出来ない私は、愛の進展を眺めていた
運命の悪戯か、魔族が現れ、嫌な予感が現実になろうとしていた
私たちのように悲劇が繰り返される姿は見たくはない
ベヒゼロット、もう一人の私を説得して助けて欲しい
彼女のほうが支配力が強いから私はすぐに眠りにつくけど
そんなに心配そうな顔で見つめないでよ
安心していいのよ、私たちは時間と共に記憶が共有される
長く生きてしまって結果的こうなったけど後悔はないわ
再び、生命を与えられ記憶と選択が与えられたのなら
ベヒゼロットと世界を救う冒険をしてみたかったよ
本当よ・・・ユリとリオンの愛の成就も叶えてあげたい




