聖女は好きですか?
地理は熟知しておりますから、追いつけさせません
マントを何度も翻し姿を消しながらドランは必死で逃げていた
姿が消え距離を稼げるがスピードがおちる
状況によっては有利に働くが、身を隠す状況に向いているスキル
気配を消し相手に気が付かれないが動けば見つかりやすい短所があったのだ
アイドランス城に侵入してきた少女達に痛めつけられ
それ以来、少女恐怖症に陥った影響か住処を離れ隠れるように過ごすように変わった
そのこが皮肉にも、スキルを2連続で発動させる極みまで高める事に
王冠を取り返す為なら手段を選ばない、魔王リィーングトンは強制転送魔法を唱える
復活ポイントに伏せてある魔族を呼び出しているのだが
魔法陣すら形成されない なぜ、誰も来ぬのだ?
預けた箱はどうしたのだ?マモンレプトは何をしているのだ?
魔王リィーングトンの計画は既に失敗していたのかもしれない
みなつによって王冠の加護のある魔族は全滅させられていた
マモンレプトは期待できぬ、転送を諦め、気配を感じる先に急ぐ
我を撒くためにまさか!シアヒァフイル跡地を通るつもりか
分かっておるのか?あそこは聖域、魔族はもちろん・・・吸血鬼のお前にも通過できないはずだぞ
愚かな!一歩でも踏み入れたら聖なる力で浄化されかねない
信じられないことにドランは何事もないかのように走りゆく
馬鹿な!避けて遠回りしたら逃がしてしまう
闇のオーラで体を守れば侵入は不可能ではないはずだ
なんとかダメージを抑えられても、激痛が全身に走る
通り抜けようとするドランの目の前に一人の女性が立っていた
一瞬、視界に入ったが気にすることなくカーブを描きながら
少し進路を変えバシリスクの王国方面へ、なぜなら地下への入り口が隠されている
だが、その先には魔王リィーングトンの指示により念のため信用の薄い魔族が配置された
しばらく走ると、伏兵に気が付いたのか?足が止まる
キャッキャッと聞き覚えのある黄色い声に吸い寄せられ
湖ではしゃぐ3人の少女の姿を目にした瞬間、恐怖で凍った
みなつに水浴びする女性を覗き見る変態さんがいると聞いていた
「ねぇ、あの人挙動不審じゃない?」
「クレハが水をかけるから服が透けていない?」
「酷くないですか?最初にやったのは私じゃないもん」
神木の木刀を手にクレハが鬼のような顔で近付いて来る
「あれ?あなた・・見たことあるな?」
ヒィ!怯えた声で「お嬢さん達とは面識はございません」
「ふ~ん?3人で出かけた時、あってるのか」
どうしてわかったの?落ち着いて否定しなければ
「アイドランス城など知りません」言っていけないワードが
「何それ?お城は行ったことないかな・・・勘違いか」
背後から追及する問いかけが飛んできた
「喉は乾いていないのかな?うふふふ」
振り向くと首元の血管を誘うように見せる
偶然か?意識的にか?「ああ!蚊に刺されちゃったかな」
スカートを少しめくりあげると内太腿の血管あたりをさすりだした
どう見ても分かっておられませんか・・・非情にまずい!
前後を挟まれています!確かこちらの少女は時間を止めましたよね
逃げることは不可能・・・あっ、思い付きました
隠し持つ『リィーングトンの王冠』を取り出すと
「お嬢さんにお似合いだと思います」
クレハの頭に王冠を乗せると背後に隠れた
嬉しそうに体を回転させる姿に似合っていると女子トークに花が咲く
聖域を苦しみながら抜けてきた魔王リィーングトンが忍び寄る
王冠を頭に載せてはしゃぐ少女にを見るや否や下品な笑みを浮かべた
これは、ドランの奴め粋な計らいをしでかした罪を反省して置き土産を残して逃げたか
好みを掴んでおるではないか!妻は決めておるが婚前前なら全て不問だ グハハハ
下品な笑い声に機嫌を悪くしたか目を吊り上げる
「酷くない?えちぃ目で見たよね?」
「グハハハ、気の強い所も好みではないか、どの様な声で泣くのだ?」
『光雷』あまりにも動きが早く見えなかった魔王リィーングトンの胸を突き倒していた
グハ!馬鹿な、闇のオーラを貫通させて攻撃を当てるだと
クレハの手に握られている武器を見て何かを理解して叫ぶ
「その武器、聖女の生まれ変わりか?会いたかったぞ、屈辱を味あわせてくれようか」
「あら、クレハさんたら、おもてになるんですね うふふふ」
「今、絶対に馬鹿にしたよね?酷くありませんか?」
「聖女の小娘!お前の相手は魔王リィーングトンだ」
ドランの企み通り通りにはまり、戦いの幕が下りる
『光雷乱舞』強化スキルを発動させた瞬間だった
頭に載せた王冠が滑り落ち、慌てて受け止めようと光雷で触れた瞬間
ピキピキと音をたて王冠が割れ粉々に砕け散る
魔王リィーングトンが消え去ろうとする王冠の破片を必死でかき集めようとしたがすべてが手遅れだった
「あっ、ごめんちゃい」と背後に隠れるドランに謝る
絶望の瞬間だった!聖女の小娘、何てことをしでかしてくれた
片膝をついて現実を受け入れずに固まる魔王リィーングトンの体を赤い刃が貫く
その胸には 聖剣リニスカラムが突き刺さっていた
ドランとすれ違った女性はりのなだったのだ
『血の十字架』主の力が弱く通用しなかったが突きぬいたことで体の内部に攻撃が流れ込む
「グヌヌヌ、今やられるのはまずい早く引き抜かねば」
『血の裁き』全身を真っ赤な液体に包まれ行動不能にして体力を大幅に削り
力を振り絞り引き抜こうとする掌が血でヌルリと滑り抜けない
再び握り直し引き抜こうと瞬間だった
『血の十字架』体の内部に深紅の十字架が浮かび、苦痛の声を漏らす
『血の十字架』たて続けの連続攻撃に断末魔が響き、魔王リィーングトンは倒された
【勇者ベヒゼロット様、あなたの心残りを取り除くことが出来ました】
応えるかのように遥か上空では竜の鳴き声が響いているようだった
りのなは涙を流しながら称える「おめでとう、リニスカラム」
歓喜の声をあげたが厳しい顔に戻るドランには安心できる時間はなかった
「ユリ殿を助けに向かわなければ」名前にりのなが反応する
不安げに問いかける「ユリさんに何かありました?」
「魔族に襲撃を受けているのです」深刻な声だった
意志の強い声で「私も、一緒に向かいます」
「あなたが一緒だと行動が制限されます」
戦闘中の場所には『りのなの指輪』は使うことが出来ない、一刻を争うのだろう・・・迷惑はかけられれない
悲しそうな顔にあいかが声をかけた
「ねぇ、私ににまかせてよ うふふ、一列に並んで手をつないで」
『星々を駆ける七つの輝き、虹の星』足元に虹色の星の図形が現れ、ふわふわと浮くと上空へ急上昇
「酷くないですか!」クレハの悲鳴が空に響いていた




