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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
05.連休も大さわぎ
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05.連休も大さわぎ その25

「て、テルミ!?」

「そ〜んなことしているなんて〜、飲みが足らない証拠でしょ〜う」

と言いつつ、腕で俺の首を締め上げる。マジで痛い。いつもの礼儀正しいテルミはどこいったんだ。

「まーさひとくん、自分のコップ、持ってくるのでしょ〜う」

「もってくるって、じゃあ離して」

「そ〜やって逃げようったって、そうはいかないでしょう」

「でも離してくれないと、取りに行けない」

「ふっふ〜ん、そっちの都合なんてぇ、私は聞いてないでしょ〜?だ〜いたい、まさひとくんはねぇ〜、自覚がたりないでしょ〜」

なんかすごくタチの悪い酔っ払いに絡まれたなぁと辟易していると、こんどはなんか愚痴が始まってしまった。

「あら、将仁くん?」

その前に、白い人影が立ちふさがる。

「れ、レイカ!?」

その白い人影はレイカだった。よかった、彼女は無事そうだ。

と思ったのもつかの間。

「ほら」

自分の襟元に手をやったと思ったら、いきなり着物の胸を開いたのだ。

和装という鎧に隠されていた、雪のように白いレイカの素肌が、目に飛び込んでくる。いや、肌だけではない。見えたのは、モロ谷間だったのだ。しかも、危険なところは見えないがそれでもかなりの大きさが想像できてしまう。

「どーこ見ているのでしょ〜このスケベさんは〜」

だが、その直後、俺は首を締め上げられる。そうだ、まだテルミの腕から開放されてないんだ。

くそ、こいつらがこんなに酒に弱いとは思わなかった。こんなことだったら、ケイが言うとおり、酒なんか飲ませるんじゃなかった、と今更ながら後悔する。

一緒に酔っ払って記憶をとばしてしまえればいいんだが、生憎それはできない。なぜなら俺は「酔えば酔うほど意識がはっきりする」からだ。

10歳ごろ親父にビールを飲まされて以来、俺はしょっちゅう親父や兄貴の酒の相手をさせられた。それだけならいいんだが、実はこの二人、酔っぱらうと笑いながら殴りかかってくるという非常に迷惑な癖があって、それから身を護るために、飲むと警戒心が強くなり酔いにくくなってしまったのだ。

「もう、照れちゃってかわいいんだから。知っているのよ、将仁君は胸が好きなんでしょう?ほらほら、お母さんだと思って、甘えていいのよ〜」

そんな俺の心中を知ってか知らずか、いつも表情に乏しいレイカが、胸元を大きく開けた状態で、まだ小さい親戚の子をかわいがるように俺の頭を撫でながら抱きついてくる。口調もいつになく柔らかなので、余計に色々なことが妄想されてしまう。

彼女がぐいっと動くごとに着物の胸元が少しずつ広がっていく。すでにそのふくらみはかなり出ており、見えてはいけないところがあと少しで見えそうになる、んだが。

「あなたというひとはまったくっ、節操なしのスケベでしょうっ」

「うぐ、こ、て、テル、ミ、しまってる、しまってるっ」

さっきまでは片腕で俺の首を挟んで絞めていたテルミの腕が、いつのまにか両腕でがっちりと俺の首と頭をロックした、本格的なチョークスリーパーとなって俺を締め上げており、それどころではなくなっていた。ギブアップだとテルミの腕をタップするが、離すどころか緩めてもくれない。

どこで覚えたんだこんなテクニック、じゃなくて、なんとか外さないと、ホントに落ちてしまう。

う、やばい、目の前が白くなってきた。と思った、そのとき。

ぐわんっという鈍く響く音がして、俺の首を締め上げていたテルミの腕が、ふっとゆるんだ。

「わ!?」

だが、チョークスリーパーは緩んだだけでまだ外れてはいない。その腕に引っ張られて、俺はひっくり返ってしまった。

一緒に倒れたテルミを見ると、黒ぶちメガネのレンズに、俗に砂嵐と呼ばれるアレが映っている。これって、テレビだからなのか?

「将仁サン、ダイジョブアルか?」

俺の頭の上から声がする。見上げるとそこには、いつもは背中に背負っている中華鍋を手に提げた赤ら顔の紅娘が立っていた。あれでテルミをぶん殴ったんだろうか、精密機械なのに大丈夫だろうか。

しかし立っているだけなら気にならないんだが、なにしろほとんど真下から見上げるようなアングルで、チャイナ服のすそが目の前でチラチラとゆれている。ズボンを履いているので下着が見えたりはしないのだが、イマジネーションは膨らむ絵である。

「どこ見てるアル!」

突然そんな声がする。なんとその紅娘が、手にしたあの鍋を思いっきり振り上げていたのだ。

「だわーーーーーっ!」

とっさに身をかわす。直後、ぐわわんっとひときわ大きな音を立てて、鍋が床に叩きつけられる。

「何するんだ!?」

「うるさ〜いっ!酒よこすアル〜っ!」

「わっ、あぶねっ、鍋振り回すな!」

反論しようとして飛び起きたその目の前、まさに鼻先ギリギリを、鉄の塊である中華鍋が空を切って通り過ぎる。冗談だろ、こいつも酒弱いのか!?

これは危ない。逃げなければ殺される。そう思って俺が逃げ出すと、紅娘は中華なべを振り回しながら追いかけてきた。

しかし、その途中で、紅娘はなぜか立ち止まり、振り返るとそっちに中華鍋を構えたのだ。直後、かんかんかんかんっという硬いもの同士が連続してぶつかったような音が響く。

振り向くと、紅娘のむこうに、着物を着崩し、胸元をはだけた状態のレイカが、刀のようにでかい包丁や手裏剣のような刃物を両手にいくつも持って立っているのが見えた。どこから持ち出したんだそんなもん。

「どきなさぁ〜い!」

そのレイカが叫んで左手を振ると、手に持っていたいくつもの刃物が飛んでくる。その後ろには俺もいるんですが。

「なんのーっ!」

それに向かった紅娘は、手にした鍋をぐるぐると振り回して次々とそれを弾き飛ばしていく。うまいもんで、レイカの投げたそれは俺のほうには一つも飛んでこなかった。

と思っていると、弾かれたうちの一つがくるくるくるっと放物線を描いて俺の足元に落ちた。どうやら弾かれたときに欠けたんだろう、果物ナイフみたいなそれは真ん中あたりでぱっきりと折れている。なんか透き通っているな、と思って見ていると、それは目の前で見る見る溶けてしまった。

氷のナイフだった。レイカの奴、製氷機能をまた無駄遣いしたらしい。

で、その当のレイカはというと。

「台所は譲らないわよ〜!」

「勝ち取って見せるアル〜〜っ!」

同じように氷で作ったらしい、刀のようにでかい包丁を、紅娘の鍋めがけて振り下ろしているところだった。そして二人はそのまま氷と鍋でチャンバラを繰り広げる。当然ながら氷のほうが弱いので何回か打ち合うと折れてしまうのだが、その度にそれを袖の中に突っ込んで引き出すと、折れた筈の刃は見事に再生され、そしてまたチャンバラをはじめるのだ。

なんかもうムチャクチャだ。

どうしよう、と思っていると、俺は突然後ろから何者かにむんずと襟首を掴まれ、そしてひょいと担がれてしまった。

どうも、作者です。

カオスがカオスを呼ぶ展開になっております。

さて、この先どういう展開になるんでしょうか。


次回は、ちょうど100話目になります。

それにふさわしい話になるかどうかは保障できませんが、次回を乞うご期待!

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