05.連休も大さわぎ その24
「にゃぁ〜ん♪」
トイレから戻り、リビングのドアを開けた瞬間。いきなり、ケイが飛びついてきた。
いつも以上に勢いがあったため、俺はそのままひっくり返ってしまった。
「おにぃにゃぁん、ダッコするにゃあ〜ん」
ケイは、ひっくり返った俺の上で、ごろごろと喉をならして丸まっている。まるでネコだ。
「にゃあ〜ってなんだよ、もう」
「だめニャ〜!ダッコするニャ〜!」
「わだだだだっ!」
下ろそうとすると、何を思ったのかジタバタと暴れる、のみならず爪を立てて引っかいてくる。マジでネコだ。猫の霊でもとりついたのか?
「だ、大丈夫ですか、上官殿?」
そこに、おっかなびっくりの様子で顔を出す、深緑の服を着た子が一人。
「ほ、ほら、ケイさん、上官殿が、重そうにして・・・・・・」
「うにゃ〜あっち行くにゃ〜!」
「きゃあっ、ひ、引っかかないでくださいましぃ!」
その子は俺の上から降りようとしないケイをなんとかどかそうとして、ケイに引っかかれそうになる。そして、その爪の一撃から身を守るためにかざした着物の袖には、真っ赤な日の丸がしっかりと描かれていた。
これが、シデンなのだ。こんな弱気なシデン、初めて見たぞ。
「うにゃ〜っ!」
「あーれーっ」
ネコケイが爪を立てて飛びかかり、弱気シデンは悲鳴をあげて逃げていく。おかげで、俺はやっと起き上がることができた。
「いよ〜うあーにきーぃ、ずーいぶん長い便所でげしたね〜、へへっ」
そこに、今度は俺とそっくりな奴が顔を出す。鏡介だ。なんかむちゃくちゃにごきげんだ。
「な〜にしょぼくれてるんスか、飲みが足りねぇんじゃねえですかい?げぇっぷ」
「うわっ、こっち向いてゲップすんなよ!」
「かーてぇこと言うなってぇ、固くすんのはぶっ」
たちの悪い酔っ払いのおっさんと化した鏡介の顔面にどこからかでっかいクッションが飛んできてクリーンヒットし、鏡介はそのままひっくり返る。
「One, Two, Three!I'm Number One!」
いや、クッションではなかった。バレンシアだった。その巨乳で鏡介を組み伏せたバレンシアは、まるでプロレスでフォールしたみたいに自分で床を叩き、カウントを取っていた。そしてスリーカウントを取ると、その鏡介を片足でふんずけて天井を指差しウイニングポーズなんかを決めている。
そこに、なぜか大小さまざまのシャボン玉が飛んできた。
「くか〜」
飛んできた方向を見ると、白い髪のメイド、クリンが一升瓶を抱えて寝息を立てていた。そして、寝息を一度立てると、その鼻と口から、大小さまざまなシャボン玉が吹き出されて宙に飛んでいく。
なんか、もうカオスな空間だ。
顔を横に向けると、常盤さんがバルコニーに面した窓際に座り込んで、外を眺めているのが見えた。そこだけがカオスではないような感じだったのでそっちに向かう。
「ふぅ」
常盤さんの横に腰を下ろし、やっと一息つく。
「ぐすっ」
と、そこに、なんか鼻をすするような音がした。
びっくりしてそっちを見ると、その常盤さんが、メガネを外して目の辺りを抑えている。
「ど、どうしたんですか!?」
「あ、グス、将仁さん」
声をかけると、常盤さんは、表情を崩して鼻をすすりながらこっちを向く。
「うう、ぐすっ、す、少し、思い出してしまって」
そういう常盤さんは、もう完全に泣き顔だった。
「ま、将仁さんの、今の御姿を、グスッ、静香様が、御覧になったら、うっ、な、なんと仰られたか」
言いながら、ぽろぽろと涙をこぼしている。これは、もしかして泣き上戸というやつか?
「し、静香様ぁー!将仁さんはぁ、こぉんなに、ご立派になられましたよぉ〜っ!うわぁーん!」
そうしているうちに、とうとう常盤さんは本格的に泣き出してしまった。どうしたらいいんだ。
「ま〜さ〜ひ〜と〜く〜ん?」
その俺の首に、違う腕がからみついてきた。こういうことをしてくるのはヒビキしかいない、と思ったが、なぜかその腕が黒い。ヒビキだったら赤か銀色はずだよな?
それに第一、あいつは俺を君付けでなんか呼ばない。
「人のこと泣かせて、なーにやっているのでしょ〜う?」
この喋り方は!?と思って、腕と声の主のほうを見る。そこには、四角い黒ぶちメガネと、その奥になんか意地悪そうな光をたたえた瞳があった。
どうも、作者です。
おまちかね、みんな酒飲んでカオスになるの図です。
もうとにかく、楽しんでくださいw
次回もこのカオスはまだ続きます。
どんなカオスでしょうか。乞うご期待!