05.連休も大さわぎ その22
その日の夜は、なんか「食事」と違う感じのメニューが並んでいた。なんでも、紅娘の歓迎会をするため、そういう宴会用のものがそろっていたのだ。
モノたちが出てきてから飯はほとんどが立食タイプだったから、おかずが一種類ずつ皿に乗っているのも、取り皿が人数分出ているのも別にいい。この人数だったらそっちのほうが作りやすいだろうし。
「あらぁ、これ、おいしそうですねぇ」
「ああ、これワタシが作ったアル。本場四川の干燒明蝦(エビチリ)アルよ!」
おかずの中に毛色が違う中華風料理が混じって置かれているが、それは紅娘が作ったらしい。さすが中華鍋と言おうか、見た目も匂いも大いに食欲を誘う。確か今日の夕食は紅娘の歓迎会のはずなのに、それを働かせるのはありなんだろうか。
だが、一番困惑したのは、そのテーブルの上に何本も置かれたビン類だ。楕円形のラベルが貼られた茶色いビンとか透明な液体が入った透明なビンとかが並んでいる。
「なんだこれは」
「なんだって、お酒でしょう。はい、将仁さん、どうぞ」
俺の質問に、瓶を両手で持ったテルミが答える。ビール瓶なんだが、メイド服を着てソムリエのように瓶を持っていると、なんかワインのボトルみたいに見えてくる。
「どうぞって、ちょっと待て、俺、未成年だぞ」
「いいじゃねぇかよ、これも社会勉強って奴だ」
俺の質問に、俺の横に座っていたヒビキがビール瓶の蓋を次々と開けながら答える。しかも素手でだ。左手で瓶を持ち右手で王冠を掴み、軽く動かすと、シュポッと小気味いい音を立てて開封される。軽々とやっているが、普通は開けられるもんじゃない。
「新参が来た折には、酒宴を催し結束を高めるのが、我が国の伝統であるからな」
俺の前に置かれたコップにビールを注ぎながら、シデンが偉そうなことを口にする。なんか俺より年下っぽいこいつに言われるとなんか納得できないんだが。
「いいんですか、常盤さん。20歳以下の飲酒は、法律で禁止されているんじゃ?」
「心配無用ですよ、将仁さんが飲んでも、将仁さんが罰せられることはありませんから」
「へ?」
「未成年飲酒禁止法というものはありますけれど、そこには飲酒をした本人への罰則は記されていないのです」
なんか、常盤さんまでノリノリだ。法律を尊守するはずの弁護士がこんなんでいいんだろうか。だいたい、その言葉どおりとすると、常盤さん、あんたが罰せられるんですが。
「まー細かいことはいいじゃないっスか」
「Wow, Mr.鏡介。Goodな飲みっぷりデース!」
鏡介の奴が、待ちきれなかったのかビールが入ったコップを手にしている。こいつもう飲んでいるのか。バレンシアも、止めればいいのにニコニコ顔でビール注いでいるし。
「ごめんね、お兄ちゃん。お酒なんて、ケイは反対したんだけど」
「いいよいいよ、ケイのせいじゃないから」
「えへへー」
「ほらそこの3人、突っ立っていないで、料理を運びなさい」
唯一まともなことを言っていたケイと喋っていると、レイカがキッチンカウンターのむこうから盛り合わせを置いて声をかけて来た。
「はーい!」
それを受けて、ケイがてててっとそっちに走っていった。
どうも、作者です。
今夜は飲み会です。
これから、本当のカオスに向かって逝きますw
とはいえ、本格的にはまだ始まっていないので、まだおとなしめでございます。
次回、みんなに酒が入っていきます。
見た目ではまだ飲んではいけない連中もちらほら見受けられますがそこはまあご愛嬌ということで。
では次回を乞うご期待!