05.連休も大さわぎ その19
喫茶店で3人娘の相手をしていた(ジャージ姿で喫茶店に入って女の子3人の相手をしているのはかなりはずかしかった)ら、うちに着いた時には4時を回ってしまっていた。
「あらぁ。将仁さん、皆さんもぉ、おかえりなさぁい」
玄関でほうきを持って掃き掃除をしていたクリンが、いつものほわわんとした笑顔で俺を出迎えてくれる。
と、そのクリンの顔がぬっと近づいてきた。突然のことにちょっとどぎまぎしていると、クリンは犬のように鼻をひくひくさせてからこんなことを言った。
「コーヒーの匂いがしますねぇ。どちらに行っていたんですかぁ?」
えっ!?思わず口元を両手でぬぐってしまう。
「止さぬかクリン、無礼であろう」
俺とクリンの間にシデンが割って入ると、クリンは今度はそっちに顔を近づけて鼻をひくつかせる。
「あら、シデンさんは緑茶と餡蜜ですかぁ」
「な、なっ!?」
「クリンちゃん判っちゃうの!?」
「うふふふ、私ぃ、鼻はいいんですよぉ」
「アイヤー、杜伯曼犬もビックリアル」
鼻がいいという話ではないと思うんだが、なんか突っ込めない。
「あー、クリン、ちょっと聞きたいんだが」
「はいぃ、何でしょうか」
「常盤さんは帰ってきたかい?」
「あ、いいえぇ、まだお戻りになってないですぅ」
「そっか」
引越しの手続きって、そんなに大変だったっけな?と首を傾げてしまう。実家からアパートへ引っ越すときの手続きは親父やお袋に全部任せていたし、気にもしなかったんだが。
まさか、俺が知らないところで、変な手続きとかして来ているんじゃないだろうな?
とりあえず、途中で涼んだとはいえ汗をかいたので、3人娘の相手をクリンに任せ、着替えることにする。
中に入ると、なんか妙に静かだ。掃除機をかける音がしたのでそっちに行くと、テルミが鼻歌を歌いながらリビングで掃除機をかけているところだった。
「あ、将仁さん、おかえりなさいませ」
俺に気づいたテルミが、わざわざその掃除機のスイッチを切って頭を下げる。テルミって、テレビっていう浮ついたモノだったのに、本当に真面目だよな。
「ん、ただいま。なんか家の中が静かだけど、何かあったのか?」
「あ、それは多分、レイカさんがヒビキさんと鏡介さんを連れて、先ほど買い物に向かったからでしょう」
レイカ、ということは食料品の買出しあたりか。そこに馬鹿力のヒビキと男の体力を持つ鏡介を連れて行ったということは、相当買い込むつもりだな。
ん?
「バレンシアは?」
ケイ、シデンと紅娘はまだ外でクリンと喋っている。で、常盤さんは役所に手続きに行っていて、レイカはヒビキと鏡介を連れて買い物に行っている。で、テルミは今目の前にいる。所在がわからないのはバレンシアだけだ。別に管理するつもりはないんだが、ちょっと気になる。
「ええと、お昼の後、2階に上がってから一度も下りてきていないでしょう」
俺の問いに、テルミが顎に指を当てて考えこみながら答える。
「何やってんだ?」
「さぁ、詳しくは存じませんが、常盤様のお手伝いではないでしょうか?」
なるほど、確かにバレンシアは今や常盤さんのデータベースであり助手だもんな。でも、常盤さんがいないときに勝手にやっていいんだろうか。
というわけで、俺は静かに常盤さんの部屋へと向かった。
どうも、作者です。
なんか、普通のような普通でないような光景です。
ちょっと大人しい光景なので、物足りないかもしれませんw
次回は、バレンシアが登場します。
乞うご期待!