05.連休も大さわぎ その17
なんとかひと段落したので、改めてシデンに話を聞くことにする。
「なあシデン、さっきの話だけど、お前、あの時捕まえた奴らから、何か聞きだしたのか?」
「あの時?ああ、一昨日の話か」
大したことは聞き出せなかったぞ、シデンはそう前置きしてから話しだした。
「その、下っ端の中の下っ端連中だが、上からの命令で、上官の、ひいては我々の住まいを突き止めるために尾行していたのだそうだ。そういう意味では、あの後ですぐ引越したのだから、まったく意味が無かったと言えるのだが」
上官っていうと、俺のことか。ということは、そいつらに命令を出した「上」って奴は俺の顔は知っているってことか。
「ほかには?」
「うむ、その“上”からの指示を誰から受けたのか、についても吐かせたのだが、そやつは他の仲間から伝え聞いただけのようだった。ヒビキの奴が一人星にしたのを目の前で見て、それでなお吐かなかったところから察するに、本当にそれ以上のことは知らぬものと思われる」
なんか、ひどい扱いだな。ちょっとかわいそうになってしまう。
「そういや、そのもう一人ってのはどうしたんだよ?」
「うむ、レイカが氷付けにしたので、そのまま放置してきた。まあここ数日天気も良かったから、もう溶けておる頃だろう」
そういやそんなこと言っていたな。・・・・・・死んでないよな。心配になるが、口にしたら事実になりそうで怖い。
「ふっ、心配は無用だ。このシデン、上官に累が及ぶようなへまはせぬ」
シデンが腕を組んでふんぞり返りながらそんなことを言う。俺が心配しているのはそういうことではないんだが。
「ま、まあとにかく、殺さない程度にな」
「承知の上だ」
「モシモシ、将仁サン。もしそんなコトまたあったら、ワタシもやっちゃていいアルか?」
なぜかそこに、部外者であるはずの紅娘が口を出してくる。しかも口調からして思いきりノリノリだ。うちのモノは武闘派が多いんだろうか。
「ケイは、そんなことしないよな」
思わず、横にいるケイに聞いてしまう。さっきまで怖い怖い言っていたんだからそんなわけはないと思うが、念のため。
「えー、しないよぅ、だって怖いし、お兄ちゃんに心配かけちゃうもん」
想像通りの答えをしてくれるケイに、なんかほっとしてしまう。
「偉いな、ケイは」
ケイの頭を撫でると、ケイは喉を撫でられた猫みたいに目を細めてにこーっと笑顔になる。本当にいい子だ、こんなのが本当に妹だったらいいなぁ、って、これじゃただのロリコンじゃないか。
「じぃーーーーーっ」
「じぃーーーーーっ」
意識をこっちに引っ張って来たとき、俺はまたシデンと紅娘がまた恨めしそうな目でこっちをじーっと見ているのに気がついた。
「上官、我は今、自分が身につけている技術を、少しだけ恨んだぞ」
「将仁サン、強い女はキライアルか?」
二人が悲しそうな声をあげる。なんか、世話が焼ける妹みたいだ。
でも、そんなすねた態度も可愛いと思ってしまうあたり、俺も毒されて来ているなー、と思ってしまうのだった。
どうも、作者です。
なにやらきな臭い話になっているようです。
あまり色々と書くとネタバレに繋がるので、今日はこの辺にしておきます。
さて、次回は。
妹好きな人なら、萌える、かもしれませんw
それでは乞うご期待!