05.連休も大さわぎ その15
競技場のまわりなんて言ってもせいぜい1キロ程度しかない。5分もあれば一周できてしまう。
で、一周して帰ってきたところ、うちのモノが座っていたベンチに、ちょっとした人だかりが出来ていた。
まあ、コスプレじみた格好した女の子が3人もいるんだから、そりゃ目につくよな。しかも一人は鍋なんか背負ってるし。
が、近づいてみると、ちょっと不穏な空気が流れている。
「何度言わせれば判るのだ。我は貴様らなどに用は無い」
「なーそんな怖い顔すんなよ、美人が台無しだぜ?」
「黙れ。この顔は貴様らに見せるためにあるのではない」
「それに、残念アルけど、ワタシさっきお茶飲んだぱかりで喉渇いてないアル」
「ね、ねえ、ちょっと、止めようよぉ、お兄ちゃんが帰ってくるよぉ」
「じゃあそのお兄ちゃんってのが帰ってくるまで休むってのはどうだい」
なるほど、どうやら何人かの男にナンパされているところみたいだ。で、そのナンパ男たちに対し、完全に立ち直ったシデンと紅娘が断りの返事をしている。しかも、紅娘のほうはのらりくらりとあしらっているのに対し、シデンは明らかに嫌悪感をむき出しにしている。ケイはその2人の後ろに隠れ、顔をのぞかせている。
ケイって人懐っこい奴だと思っていたけど、実は人見知りみたいだ。最近の携帯電話はやたらとセキュリティがしっかりしているから、もしかしたらそのへんもあるのかもしれない。
はたから見たら、気弱な妹をかばう2人の姉、って感じだ。なんか微笑ましい光景なんだが、ほっとくと切れたシデンが男たちを投げとばしてしまうかもしれないので、そうなる前に声をかけることにした。
「どうしたんだ、お前ら?」
「あっ、お兄ちゃぁん!」
何食わぬ顔でそいつらがいるベンチのところに顔を出すと、今まで二人の後ろで小さくなっていたケイが、俺に飛びついてきた。
「ふえぇーん、怖かったよぅ」
そして俺に抱きつくと、そのままべそをかきはじめる。
「将仁サン遅いアル。もう、帰っちゃたと思たのコトよ!」
「あと少し遅かったら、天誅を下しているところであったぞ」
そんなことを言いながら、シデンと紅娘がこっちに来て俺の横に立つ。
一方で収まらないのがこのナンパマンたちだ。せっかく見つけて、口説き落とそうとしていた獲物を、後から来た奴に横取りされたんだから、面白くないと思うのも無理は無い。
「なんだてめえは?」
で、自然とこうなる。
「こいつらの身内だ」
言いながらそいつらのなりを見る。まぁアレだ。即に言う不良ルックスってやつだ。年は俺とそんな変わらないと思うんだが、正直言って運動場には似合わない風体だ。
「あん?身内だぁ?」
かっこつけようとしているのか、そいつらは少しばかり凄んでくる。
「あうぅ、怖いよぅ」
言いながら、ケイがすすすっと俺の影に隠れる。なんか俺を前に出そうとしているような気がするのは気のせいか?
「お、お兄ちゃん、帰ろうよ、怖いよぅ」
しかし、こんなふうに頼られるとかっこつけたくなってしまうのは男の性とでも言おうか。
「そっちこそなんだ、人の身内怖がらせやがって」
逆にこっちからも凄んで見せてしまう。後の展開が読めるので止めておきゃよかったと思うが、口から出た言葉は取り返せない。
「なんだとてめぇ、女の前だからってかっこつけやがって!」
案の定、ナンパマンたちの一人が声を荒げた。こっちにはそんな気はないんだが、まったく判りやすい連中だ。こいつらの正体を知ったらどんな顔するかね。
「カコつけよとしてるのはアナタたちアル。自分のしよとするコトも判らないアルか?」
「ふっ、所詮は、弱いくせに力を誇示しようとするするだけの愚か者どもよ」
俺が答える前に、紅娘とシデンが挑発するようなことを言う。なんでそんな、地雷を自分から踏むようなことをいうんだお前らは。お前の発言の責任を取るのは俺なんだぞ。
「このアマぁふざけやがって!」
案の定、ナンパマンたちは最悪にもその二人に手を上げた。
どうも、作者です。
気がついたら累計アクセスが10万を超えていました。
こんな稚拙な作品がこんなに沢山の人に読んでいただけているなんて感謝の極みです。
これからも頑張りますので、生暖く見守ってください。
さて、今回は。復活した3人娘(と言ってももとは携帯電話とラジコン飛行機と中華鍋ですが)がナンパされていますが、相手が少々よろしくないようです。
さてどんな顛末になるのでしょうか?
次回を乞うご期待!