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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
05.連休も大さわぎ
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05.連休も大さわぎ その5

「アイヤー、ここが将仁サンの家アルかー」

紅娘は、初めて見る俺の家に、感動しきりのようだ。まあそうだろう。自分と同じように擬人化した存在が、いきなりたくさんいる家なんだから。

ちなみに、帰りがけに色々紅娘から聞き出したところ、紅娘は在日中国人が経営する中華飯店で使われていたらしい。それが、都合により中国に帰国しなければならなくなり、前の持ち主が荷物を減らすためにリサイクルショップに売り払ったんだそうだ。

売り払われるのは寂しかったそうだが、モノである以上受け入れるしかない。他に使われる可能性があるリサイクルショップに売られたのが幸いだったと語る紅娘の顔は、ちょっと寂しそうに見えた。

まあ、今日からは寂しくなくなるぞ、と言おうと思った矢先、俺は家の様子がおかしいことに気がついた。

もう昼時だというのに、家の中が妙に静かなのだ。まるで、誰も居ないみたいだ。

ふと、家のガレージに目をやる。そこには、見覚えのある赤いオフロードバイクが、うんともすんとも言わずに停まっている。

まさか。

「将仁サン、どしたアル?」

俺の様子がおかしいと気付いたのだろう、紅娘が不安そうなまなざしでこちらを見つめる。

「悪い、ここで待っていてくれ。家の様子がおかしい、ちょっと見てくる」

「わかたアル」

頷く紅娘を玄関のポーチに残し、俺は、引っ越したばかりの家の中に入っていった。

まず、俺はリビングに向かった。テーブルには食事の用意が10人分しっかり用意されていて、出来立ての湯気がほんのりと立ち上っている。しかし、人影はない。

そのかわりに、そのリビングの片隅に、見覚えのある60インチのプラズマテレビが、ででんと鎮座ましましている。

キッチンを覗くと、そこにも人影はなかった。そのかわりに、見覚えがある3ドアタイプの冷蔵庫が、部屋の隅にものも言わずに立っている。

「テルミ?レイカ?」

声をかけたが、返事がない。まるで声をかけるほうがおかしいと言っているように、じっとしてそこにあるだけだ。

まさかと思い、風呂場にかけこむ。

そこには、こぶし2個大の黄色い塊が、風呂桶の横にある石鹸置き場においてあった。

「・・・・・・どうなっているんだ?」

信じられなかった。うちのお騒がせモノ軍団が、ことごとくもとのモノに戻ってしまっている。

俺は、2階にかけ上がると、まず常盤さんの部屋に向かった。常盤さんなら何か知っている、そんな気がしたからだ。

常盤さんの部屋のドアをちょっと乱暴目にノックする。

返事がない。何度か繰り返してノックをしたが、やはり返事がない。

女の人の部屋に無断で入るのはちょっと抵抗があったが、意を決してドアに手をかけると、あっけなく開いた。

中に入ると、そこには誰もいなかった。部屋の片隅には常盤さんの机があって、その机の上には、何やらびっしり書き込まれた書類とか、万年筆やペンが入ったトレイとかが、ついさっきまで使われていたように置かれている。

そしてそのテーブルの端には、ディスプレイが閉じられたノートパソコンが置かれている。

言葉が、出なかった。

みんな、いなくなってしまった。いや、いることはいるが、言葉を交わしたりは、できなくなってしまった。

なんか、心にぽっかりと穴が開いたような気分だ。

「・・・・・・これで、おわりなのか・・・・・・?」

心に穴が開いたような気分のまま、俺はふらふらと自分の部屋へと歩いていった。

どうも、作者です。

いきなりみんないなくなってしまいました。

さて、何が起きたのでしょうか?

そしてこの話は、ここで終わってしまうのでしょうか?

乞うご期待!

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