04.引越しは大変だよ その23
「うむ・・・・・・」
隼人は、頭を抱えていた。
「お疲れの様子ですな」
その横に、かちゃ、という音を立てて白いコーヒーカップが置かれる。
「ん、じいか」
「大学の課題に頭を悩ませている、というわけでもなさそうですな」
「課題なんぞ半分寝ていても出来る」
隼人は、コーヒーカップを手に取りブラックのコーヒーをすする。
「じいも、真田の話は聞いているだろう」
「擬人への接触に、失敗したという件ですな」
「ああ、全く冗談のような話だ」
そしてカップを置くと、隼人は体を背もたれに投げ出し、大きく伸びをした。
「やれ真田将仁が2人に増えただの、その真田と一緒にいた女にぶっ飛ばされて星になっただの、氷づけにされただの、まるでマンガだ。そんなものが信じられるか」
「お言葉ですが、隼人様。その件に間違いはありません」
そして、じいと呼ばれた見事な髭を生やした執事風の老人は、ひとつ咳払いをしてから言葉を続ける。
「擬人は、いわば人の姿をした道具。その道具が持つ能力は全て持ち合わせておるものです。隼人様も一時は西園寺のそばにおられた身、そのことは存じておられるでしょう」
「あれが擬人だと!?」
隼人は、バンと机を叩き、顔を上げてこういい返した。
「擬人は『人の姿をした道具』のはずではなかったのか!?これが事実だとしたら、いわば『人の姿をし、モノの能力を持ったバケモノ』だ。そんな奴らを相手にするなど想定外だ」
擬人が存在すること自体、非常識なんだ。隼人はそうはき捨てると、適度に冷めたコーヒーを一気に喉に流し込んだ。
「・・・・・・僭越ながら・・・・・・」
その様子を、黙って見ていた老人が、見事な髭のむこうから声を出す。
「確かに、擬人は物が化けたもの、妖怪の一種だと言えなくもありませぬ。餅は餅屋、その筋の専門家に頼んでみてはいかがでしょう」
「専門家?妖怪退治のか?」
「はい。このじいめに心当たりがあります。任せてもらえませぬか」
隼人は、胡散臭そうな顔を向けるが、じいの表情は真剣だ。
「まあいい、じいに任せる」
「承知いたしました」
そして、じいは隼人に深々と頭を下げた。
どうも、作者です。
やっと4日目が経過しました。
だんだん1日が長くなってきていますが、そのへんは軽く流してください。
さて、どうやら新しい刺客が送り込まれるようですが、どんな相手なのでしょうか?
次回から第5章が始まります。
乞うご期待!