04.引越しは大変だよ その20
「がぼがぼがぼっ、ぶはっ」
引っ越した初日の一番風呂で溺れるなんてまっぴらなので、必死になって頭を湯船から出す。すると、俺の背中に、えもいわれぬ柔らかな感触が2つ、のしかかってきた。
「もう、大げさなんですからぁ。私と将仁さんとの仲じゃないですかぁ」
それと同時に、耳元でその声が囁いてくる。
「くっ、く、くくくく、クリン、なんでここに?」
「いやですよぉ、私が何だったか忘れちゃったんですかぁ?」
「い、いや、そういうことではなくて、俺は」
「将仁さんの体を綺麗にすることこそが、私の一番の役目なんですよぉ?タオルなんかに任せられませんよぉ、うふふっ」
と言いつつクリンは、後ろからぐいっとその身体を押し付けると、わざわざ見せるように俺の前で手を合わせてこすり始める。すると、何もつけていないはずのそのこすり合わせた手の間から、泡が湧き出してきた。
ここでもまた熾烈な縄張り争い、ってそんなことを言っている場合ではないッ!ムネの、ムネの感触がっ、をををッ、や、やばいっ、俺のモノが反応してきたっ!あっ、相手は、スポンジだぞっ!おっ、お風呂のっ、スポンジだぞっ!
だ、だいたい、ここは、風呂であって、ソープランドではっ!って何を考えているんだオレは!
「心配いりませんよぉ、私がしたいのはぁ、将仁さんの体を洗うことだけですからぁ」
俺の心理状態を知ってかそんなことを言うが、その直後に肩に頭を乗せて。
「でもぉ、将仁さんがしたくなったのでしたらぁ、私はいつでもいいですよぉ?」
「うひゅうぉおっ!?」
みっ、耳に何か入ってる!うわわっ!こっ、これはっ!
「まひゃひとひゃん、みみもひゃあんとあらわらいひょ、ひけまひぇんよぉ?」
クリンの喋り方が変だ。まさか、俺の耳をまさぐっているのは、さっき見たあのクリンの舌なのか!?ってこら、耳の穴に入れるなぁ!
そして背中を滑る胸の感触が!胸板を官能的に撫で回す泡を目いっぱいつけた掌が!こいつ、絶対に俺を、18禁の世界にいざなおうとしている!
「うふふっ、将仁さんって、ここが弱いんですよねぇ」
「うわひゃっ!」
クリンの手が、俺のわき腹をつっつく。ってうわっ!?なんかびりっと来たぞ!?
「おまえ、なんで」
「うふふぅ、私ぃ、いつも将仁さんの体を洗ってましたからぁ、隅々まで分かるんですよぉ」
ううぅ、何も言えない。確かに俺はこいつで体を洗っていたもんなぁ。
でも、このままじゃオレは、スポンジ相手にシてしま・・・・・・ってもいいかこれはぁっ!
「うふふぅ、それじゃ、ここも綺麗にしませんとねぇ」
そして、いよいよクリンの手が、完全に臨戦態勢になった俺のソコに伸ばされた、その時。
「はい、そこまで」
「ふえっ!?」
ばたんという音と、別の女の声とともに、クリンの体が引っぺがされた。
「クリン、お前いなくなったと思ったらまだ諦めてなかったのかよ?」
「ふええぇぇ、ヒビキさん離してくださいよぉ、せめて完遂させてくださいぃ」
「自分の体見て言えっての。悪かったな将仁、ゆっくり入っとくれ」
風呂の鏡越しに、じたばたする素っ裸のクリンが、赤いライダースーツ姿のヒビキに羽交い絞めされて出て行くのが見えた。
「ふうううううううう」
盛大なため息が漏れる、と同時に、風呂場は静かになった。
その風呂場の中でタオルを再度手にとり、残りの部分を洗う。
「まだ諦めてなかったって、もしかしてあいつ、今みたいなこと、前からやろうとしていたってことか?」
洗いながら、俺はヒビキが残していった言葉を、思い出していた。
「クリンって、いつもぼんやりしているけど、実はけっこう強かなんじゃないか?」
そんなことを口走るが、ふと視線を下にやると、俺の股間には未だに臨戦態勢を保ち続けるICBMがそそり立っている。
さっきはいきなりで気が動転していたが、思い返すと、アレはいままで経験したことがないぐらいに気持ちがよかった。それに思い返してみれば、モノたちが姿を現して以来、俺のまわりに女の子があふれかえっているのに手を出せない、加えて自家発電で発散もできないという生殺しに近い状態なんだ、性欲が暴発してもおかしくはない。
「・・・・・・ほとぼりが冷めたら、後でお願いしてみよう」
そんなことを考えると、俺は股間のICBMにざっと湯をかけた。
どうも、作者です。
もっと先までを期待していた方、ごめんなさい。
さすがにこれ以上やってしまったらR15どころかR18になってしまうので、このへんで勘弁してください。
4章、というか4日目の出来事は、もうちょっとあります。とはいえエロはありませんw
まあそれでも、乞うご期待!