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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
04.引越しは大変だよ
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04.引越しは大変だよ その14

そういえば、常盤さんも、気がついたらそのモノたちに混じっておしゃべりをしている。妙になじんでいるんで、なんか常盤さんまで何かの擬人化なんじゃないかって気がする。

まあ、家族が増えてにぎやかになるのはけっこうなことだ。・・・・・・ちょっと増えすぎのような気もするが。

「そういえば。バレンシアさん。あなた、パソコンだったのよね。データの処理とか得意かしら?」

そのバレンシアに、常盤さんがそんなことを聞いてくる。

「Eh?」

「データ処理って、常盤さん、データなんか持っているんですか?」

たしか、常盤さんって、未だに黒電話を使っていて、弁護士書類は全部手書きしていて、計算はソロバンでやっているんじゃなかったっけ?

「ええと、最近のパソコンって、書類を読み取ることができるのよね?」

「Ah, scanning of dataのことデスねー?Maybe できマース!」

バレンシアは、常盤さんの申し出に簡単に答えると、左手を後ろに回し、何かを取り出した。

「Everyone, look here.」

それは、雑誌程度の大きさの四角い板で、皆に向けているほうに絵が描かれている。と思ったら、それはどうやらノートパソコンのディスプレイのようだ。

ディスプレイを左手で持ったバレンシアは、その片隅に開いたウインドウを右手で指差す。そこには、見覚えのある一団が、真正面よりちょっと横を覗き込む様が映し出されている。

「ああー!?もしかしてこれってケイ達!?」

その瞬間、ケイが声をあげた。そう、そこに映っているのは、リビングに集合して、バレンシアのディスプレイを見ている俺たちの姿だったのだ。どうやら、彼女が見ている光景が、そのままウインドウの中に映っているらしい。

「イエース!ミーは、lookしたdataをrecord&replayできるのデース!」

そして得意そうに胸を張る。おかげで、本人はそんなつもりはないんだろうが、ただでさえ目立つ胸がさらに強調される。

確かに誇りたいような胸ではある。鏡介とりゅう兄は(自分の顔は見えないが多分俺も)ちょっと鼻の下を伸ばし、ケイは自分のそれと比べてしょぼーんとしてしまい、シデンは悔しそうに歯をかみ締めている。それなりのものを持っているヒビキやレイカ、クリンも無関心ではいられないらしく、ちらちらと画面ではなくバレンシアの胸に目をやっている。

「あの、ひとつ、よろしいでしょうか?」

その中で、妙に落ち着いている奴が一人いた。その落ち着いている一人、テルミが、小さく手を上げる。

「その程度のことなら、私にも出来るでしょう」

「へ?」

その瞬間、今度は全員の視線がテルミに集中する。

「ホントか、テルミ?」

テルミって、テレビだよな?そんな機能あったか?

「はい。ご覧になりますか?」

だが、静かに立ち上がった彼女は、特に驚いた様子もなく自分のマントに手をかける。

そしていつものように一旦閉じたマントを広げると、その下から60インチのディスプレイが現れる。

俺らにとっては見慣れた、というほどでもないが免疫のある光景だが、初めて見るバレンシアにとってはこのでかさは衝撃だったらしく、目を丸くしている。

「では皆様、画面をご覧ください」

そして、テルミが手を打つとスイッチが入り、60インチの画面に見覚えのある映像が映し出される。

さっきバレンシアが見せた映像に似ている。それもそのはず、そこに映っているのは、やはり今のこのリビングの光景だった。それも、うちのメンバーが勢ぞろいして何かを覗き込んでいる、確かにテルミが見ているであろう光景だ。

「見た画像を記録して再生するぐらいなら、私にも出来るでしょう。私はHDD&DVDプレイヤー内蔵の、ハイビジョンプラズマテレビですから」

平静を保ちながらも、テルミが少し得意げになっているのがわかる。そしてその目は、後輩にあたるバレンシアに向けられている。

まさか宣戦布告か?と思ったが、テルミに見られていたバレンシアは、ちょっと苦笑いを浮かべ、左手に自分のディスプレイを持ったままで両手を挙げていた。

「OKOK, give upデス。ミーにはそんなwideなdisplayはありまセーン」

そして、左手のディスプレイを後ろにしまった。なんとなく落ち込んでいるみたいだ。

それを見てテルミもマントを閉じてもとの姿に戻る。

「お前らな、張り合うのはいいけど、ケンカはすんなよな」

ひと段落したところで、そう言っておく。引っ越したその日のうちに大喧嘩なんて事態は俺的にも避けたいし、まだ引越しは完了していないんだから。

「さて、それじゃ話を戻しましょうか」

どうやら、その話が終わるまで待っていたらしい。常盤さんが、ぱんと手を叩くと、バレンシアのほうに向き直った。

どうも、作者です。

バレンシアは、これから先、常盤さんの秘書みたいな感じで活躍させる予定です。


こんな作品ですが、ご意見・ご感想などがありましたら遠慮なく下さいませ。お待ちしています。


それでは、次回も乞うご期待!

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