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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
04.引越しは大変だよ
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04.引越しは大変だよ その12

これからどんな罵声が飛んでくるのか、ちょっと怖かったんだが。その頭の上から聞こえたのは、想像とは全く違う愉快そうな笑い声だった。

「アハハハハハッ、気にしナイでくだサイ、Master」

そして、ぱっと手を放された。訳が判らずに顔を上げると、その子はとても楽しそうに笑っていた。

「ミーは、not angry(怒っていない)デス。Masterが、internet(インターネット)にPlug-in(プラグイン)できないだったのコト、ミーは覚えてマス。全部、ミーがteach(教える)できるとgoodだったデスが、あの時のミーには、handも、mouthも、なかったデス。Don’t worry(心配要りません), Master!」

それどころか、逆に、俺のほうが慰められてしまった。なんというか、元から人間だった俺のほうが、人間ができていないなーと思わされた。

「ええと、なんて呼べばいいのかしら?」

俺の後ろから、今まで事の成り行きを見守っていた常盤さんがようやく口を開いた。

「Ah.Hello,Miss・・・・・・Hm・・・・・・」(あ、こんにちわ、・・・・・・ええっと・・・・・・)

「Kaneyo. I’m Kaneyo Tokiwa. Nice to meet you.」(花音代、常盤花音代です。よろしくお願いします)

「Oh, can you speak English?」(あら、英語が喋れるんですか?)

「Of cource. The ability of English conversation is indispensable to the lawyer. Aren’t you?」(もちろん。弁護士にとって、英会話の能力は不可欠ですから。)

「Wow! Are you really a lawyer?」(わあ!本当に弁護士さんですか!?)

「Surprised?」(驚きました?)

その子と常盤さんは、ぽかんとする俺の前で、なんと英語で会話をして盛り上がっている。知らなかった、常盤さんって、英語も話せるんだなぁ。

って、ちょっと待て。

「おーい、ちょっと待ってくれ、日本語で話してくれ、日本語で」

こんなふうにベラベラベラッと話されると、わからないことはないが正直言ってついていけない。

「Oh, sorry, My master. Englishのほうが、easy to speak(話しやすい)デスから」

すると、その子はちょっとばつの悪い顔でこっちに顔を向けた。常盤さんも、すまそうな顔でこちらを見ている。

「あ、いや、日常会話レベルだから、判らなくはないんだけどさ、正直、ちょっとついていかれないというか、口が出せなくて」

でも、考えてみればこれは、英語の勉強になるかもしれない。まぁこいつの英語が本当の英語だとすれば、なんだけどな。

「So, Master. ミーとcommunication(コミュニケーション)をしまショウ。Please name for me.(私に名前をつけてください)」

すると、むこうからコミュニケーションを取ってきた。

「ん、な、名前か。・・・・・・オレンジ社のパソコンだから・・・・・・ミカン?」

口にしてから、失敗したと思った。どう見ても日本人ではないこいつに、こんな和風な名前をつけたって似合うわけがないじゃないか。

「・・・・・・んー、prettyですケド、もっとsharpのものを、pleaseデス」

まあ当たり前だろうな。でも、シャープってなんだよ。

「それじゃ・・・・・・バレンシアは?」

うちのモノ軍団はみんなもとのモノに関係があるところから名前をつけているから、同じように考えたんだが、オレンジというとミカンに関連したものしか出てこない。その中のバレンシアオレンジから強引に取ったんだが、なんか自分の語彙(ごい)の乏しさにちょっと悲しくなってしまう。

「Valencia・・・・・・OK、sharpでprettyでgoodデス。では、今から、ミーはバレンシアデス。よろしくお願いをするデス、Master!」

「わ!?」

と言うや否や、その元パソコン娘は俺に思いっきり抱きついてきた。

こんな所までアメリカンなのか?と思った俺の胸に、なんか幸せな感触があってちょっとにやけてしまいそうになるが、こんな所を他の連中に見られたらまずいので顔を引き締めた。

すると、その子、バレンシアは常盤さんにまで抱きついていた。さすがの常盤さんも、これにはちょっと驚いたみたいだ。

「お兄ちゃーん、常盤さーん。そろそろ休憩にしようよー」

その時、俺の耳にケイの声が聞こえてきた。

ケイがバレンシアのことを見てどんなことを口にするか、常盤さんと思わず顔を見合わせて苦笑してしまった。

どうも、作者です。

パソコン娘に名前がつきました。

今までと比べて色々と毛色のちがうキャラですが、じっくり見守ってやってください。


ご意見・批評・感想などお待ちしています。

よかったら一言かきこんでいってください。


次回、バレンシアがモノたちの前に現れます。

モノたちはどんな反応をするでしょうか?

乞うご期待!


追伸:あやしいと指摘された英語を直してみようとしたんですが、どうもうまくいきません。やっぱり苦手なことはしないほうが良かったようです(TT)

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