表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
04.引越しは大変だよ
58/385

04.引越しは大変だよ その7

「うっわぁー、ひろーい!」

真っ先にリビングに駆け込んだケイが無邪気にはしゃぐ。

確かに広い。そのリビングだけで、1時間前までいた部屋全部と同じぐらいの広さがある。しかもそこには大きな窓が2方向にあり、テラスがあってそのまま庭に降りることができる。とても開放的でいい。

「ええと、アンテナ線のコネクタは、と・・・・・・ああ、やっぱりここだったでしょう」

テレビであるテルミは、やっぱりそのアンテナ線のある場所が気になるらしい。

「ふむ、カウンターがあるのね。これなら、すぐに料理が出せるわ」

そのリビングはダイニングを兼ねており、キッチンに隣接している。そしてそのキッチンに真っ先に入ったレイカが、そこからダイニングを見ている。

「2階にもトイレがあるんだな。さすが広いだけはあらぁ」

2階にあがったりゅう兄がトイレを見つけて感心した声をあげる。確かに、実家には1階にしかトイレはないがそれで十分だった。

「ふむ、これが畳というものか。涼やかで良いものだ」

北のほうにある和室に入ったシデンが、部屋の真ん中に正座してつぶやく。元はラジコンだったくせに、なんか妙に似合っている。

「いやーいいねぇ。日当たりがいいし、風通しもいいし、アパートの駐輪場とはほんっとに大違いだねぇ」

庭の西にある駐車場に立ったヒビキが、大きく伸びをしながら江戸っ子のおっさんのような言葉を吐き出す。

そして俺は。

「こんないい家なのに住んでいなかったなんて、常盤さんも不思議な人だよな」

そう思いながら、2階のある一室をながめていた。そこはドアがひとつと、ちょっとしたバルコニーがあって、今までいた部屋と似た環境だ。

個人的に、俺はここを自分の部屋にしたいと思った。なにしろ、ちょっと情けない話だが、女だらけの家に住む者として、男としてのプライベートスペースは絶対に欲しい。

「このへんに机を置いて、本棚はこのへんかな、ベッドは北枕にならないようにすると・・・・・・」

「楽しそうですね」

「ぅえっ!?」

誰も見ていないと思って、まだ持ち込んでいない私物のレイアウトを考えていたら、いきなり声をかけられてしまった。

見ると、いつのまにいたのか、ニコニコ顔の常盤さんが部屋の入り口に立っていた。

「とっ、常盤さん、いつから見ていたんですか?」

「今来たところです。それより将仁さん。みなさんが、下に集まっていますよ」

「あ、はいはい」

そう言われて、俺はあわてて部屋を出た。

そして、常盤さんの後を追って階段を下りようとしたとき。南西にあるバルコニーへと続く部屋に、見覚えのないダンボール箱が積み上げられているのが目に入った。箱の大きさは一抱えぐらいで、表面には何も印刷されていない全くの無地。よくテレビでマルサとかが踏み込んで運び出すあのダンボール箱によく似ている。

が、異常なのはその量だ。一つや二つなら気にならないが、今、そのダンボール箱は、狭くない部屋の中に茶色い壁を築いているのだ。ざっと見ただけでも30〜40個ぐらいはあるんじゃないだろうか。

「常盤さん、ちょっとすいません」

階段を降りかけていた常盤さんを呼び止めて、上に来て貰う。

そして、この荷物についての心当たりを聞いてみたところ、常盤さんは聞き捨てならない答えをしてくれた。

「ああ、これですか。私の荷物です」

「え?わたしのって、常盤さんのですか!?」

「ええ。ほとんどは、弁護記録などの書類ですけれど」

なんでも、弁護士はそういった書類は一定期間必ず残さなければならないんだそうだ。って、そういうことではなくて。

「なんでそんな書類がここにあるんですか?」

「あら、この家の名義人は私でしょう?そこに私のものがあることは不自然ではないことだと思うのですが」

確かに、ここの名義人は常盤さんだ。でもここに住んでいたわけじゃないはずだ。それにこの量は尋常じゃない。

まさか・・・・・・

「もしかして、常盤さんも、ここに住むんですか?」

「近くにいて、すぐに連絡を取り合えるようにしておいたほうが、お互いに都合が良いと判断しましてね」

ダメですか?と常盤さんは聞いてくるが、そんなのダメといえるわけがない。平穏だが退屈な毎日を過ごしていた俺に、疲れるけど賑やかで楽しい、そして他人からみたら羨ましいだろう(俺も第三者だったら羨ましがる)新しい日常を与えてくれた恩人なんだから。

うちのモノ軍団のことを判っている人だし、何より弁護士という社会的地位の高い人だから味方に付けておいたほうがいい、という打算があったことは、わざわざ言わなくてもばれているだろうからあえて言うことは止めておく。

来た早々、家の中が少し狭くなったな。そんなことを考えながら、俺は荷物下ろしのために下りていった。

どうも、作者です。

今まで別居していた常盤弁護士が一緒に住むことになりました。

正直、弁護士の部屋ってどんなふうになってるのか良く判らないので、適当になっちゃいましたが、その辺は見過ごしてください。


なお、感想・評価・苦言・提言など今後もお待ちしていますので、良ければ書いて行ってやってください。


それでは、次回も乞うご期待!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ