04.引越しは大変だよ その2
「はー・・・・・・」
俺の目の前に、赤いライダースーツの女が立っている。
「なあ将仁、こいつはどのへんに乗せるんだ?」
その女、ヒビキは、荷物を担いだ状態で俺にそう聞いてくるが、俺はその姿にあっけにとられていた。
なにしろ、そいつが担いでいるのは、俺のベッドなのだ。しかも俺の部屋からここまで一人でそのベッドを担いできて、平然としている。
「お、重くないのか?」
「なぁに言ってんだよ、こんなの将仁や龍之介乗せて走るのに比べりゃ全然軽いじゃないか。あんたの体重が何キロだと思ってんだい?」
ヒビキは平然と答える。言われてみれば確かにそうだ・・・・・・が、それでもそのベッド、パイプベッドとかじゃないから、4〜50キロはあるぞ。
と思っていると、こんどは何かバタバタと羽ばたきのような音が聞こえてきた。
そっちを見て、思わず飲みかけていたスポーツドリンクを噴き出してしまった。
シデンが、まっ逆さまになって、アパートの壁に沿って落ちてくるのだ。両腕を広げているので、袖の日の丸がくっきりと見える。まるでゼロ戦が急降下しているみたいだ。と思った次の瞬間、俺は飲みかけののスポーツドリンクを放り出して駆け出していた。
何を考えているのかは分からないが、こんなところで身投げなんかさせるワケにはいかない。が、受け止めるにしても、落下地点までは10m以上ある、間に合わないッ!と思った瞬間。
シデンの体が、地面すれすれのところで翻った。かと思うとそのまま重力に逆らい急上昇する。
つまり、どういう理屈か判らないが、シデンは空を飛んでいるのだ。
飛び出した勢いが止まらず、壁に激突してひっくり返った俺を尻目に、シデンはもう一度上空を旋回した後、俺の前に着地した。
「なんだ、上官殿。そんなところで醜態をさらして」
そのシデンは、俺の前で偉そうに腕組みしている。誰のせいでひっくり返ったと思っているんだ。
「・・・・・・お前なぁ、自分が何をやったか分かってんのか?」
「ふん、我は上官殿の荷物を運んだだけだ。見ろ」
そしてシデンはくるりと後ろを向く。そこには、荷物を詰め込んでぱんぱんにふくらんだ、昨日買ったばかりの赤いナップザックが背負われていた。和服にナップザックというのも変な組み合わせだがそれはまぁいい。
「いや、そういう意味じゃなくて、お前、さっき空飛んだだろうが」
「何を寝ぼけたことを言っている。飛行機は空を飛ぶものであろう、そんなことも分からぬのか?」
いや、そうじゃなくて、腕広げただけで空を飛ぶのはあまりにデタラメが過ぎるだろう。
と言っても、考えてみたらうちの女の子+1は、デタラメのカタマリみたいな連中なんだよな。
なんかそう考えるとちょっとだけ悟れそうな気がした。
どうも、作者です。
ヒビキとシデンの人外っぷりが現れて来ました。
なんでアパートのほかの住人が何も言わないのかとツッ込みたいかもしれませんが、そこは多分「」夢だ」と思っていることにしてくださいw
では、次回も乞うご期待!




