03.そして何かが動き出した その7
「うん?」
買出しの帰り、買ったばかりのナップサックを背負って歩いていたケイが、突然立ち止まった。
「ケイちゃん、どうしたのかしら?」
手に買い物袋を提げた常盤が声をかける。
それに対し、ケイは振り向きもせず立ったままで、ぽつりとこう漏らした。
「・・・・・・お兄ちゃんだ」
「お兄ちゃん?ってことは、将仁さんかい?」
両手に買い物袋を目いっぱい下げた鏡介が声をかける。
「うん!お兄ちゃん、絶対に近くにいる!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら断言する。
「ひそひそ、なんで断言できるんでしょう?」
「GPSでもついているんスかね?ひそひそ」
フランスパンが顔を覗かせた大きな紙袋を抱えたテルミと、両手に買い物袋をぶら下げた鏡介がひそひそと話し合う。
「ふむ、これは面白いですね」
その様子を眺めていた常盤がちょっと楽しそうにつぶやいた。
「ケイさん、本当に将仁さんの居場所が分かるのですか?」
「うん!ねねね、お兄ちゃんのところ行ってもいい?」
今にも飛び出しそうに、ケイがぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「それは、確認してみる必要がありそうですね」
常盤も興味を持ったらしい。
「皆さんも、確認してみますか?」
「いや、俺はいいです。早く帰って荷物降ろしたいんで」
「私も遠慮しておきましょう。生ものは早めに冷蔵庫に入れないと悪くなってしまうでしょう」
というわけで、ケイと常盤は下校途中の将仁のところへ向かい、鏡介とテルミは家に帰ることになった。
どうも、作者です。
ケイがなにやら規定外な力を発揮しはじめました。
平和でいいですねぇ。
この次は、ヒマをもてあましたヒビキが主人公の部屋を探り始めます。一体何を見つけるのでしょうか。
乞うご期待!