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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
14.もののけ全面戦争
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14.もののけ全面戦争 その1

9月27日

その時、誰も居ない家に、俺だけがいた。

家の中を歩き回ると、大きなテーブルのまわりに13脚の椅子が置いてあり、リビングのテレビ台の上にプラズマテレビが置いてある。

台所をのぞくと、部屋の隅のほうに3ドア式の冷蔵庫が置いてあり、ガスコンロの上には大きな中華なべが無造作に置いてある。

窓から外を見ると、赤いオフロードバイクが駐輪スペースに置いてある。

洗面所に行くと、鏡が俺の顔を映し、風呂をのぞくと、こぶし2つほどの大きさのスポンジが石鹸置き場に放置されている。

2階の自分の部屋に行くと、机の上に携帯電話が、充電器に挿されて置かれていた。それを手にして開くと、味気ないデジタル時計が時を刻んでいる。

部屋の隅にあるタンスの上には、ラジコンのゼロ戦が置いてあった。

他の部屋をのぞくと、ビジネス用の大型の机に、閉じられた状態のノートパソコンと、それと対照的な年代モノの懐中時計が置いてある。

そして。それらが、どれひとつとして、返事をしない。

この広い家の中に、俺一人が取り残され、生きている。

そう思うと、無性に寂しくなった。

その時だ。

何の前触れも無く、突然、地面がものすごい勢いで揺れだした。

あまりに激しい揺れに、俺は立っていられずにひっくり返り、床をはいつくばった。

だが不思議なことに、まわりの机とか本棚とかは、全く揺れていない。棚の上に置いてあるだけのものも、落ちてくる気配がない。

何だろう、俺だけが揺れているのだ。

「起きろー!」

そこに、なぜか人の声が聞こえた。聞き覚えのある、女の声だ。

「さっさと起きろーっ!」

その声は、だんだんと大きくなる。起きろってどういうことだ、このものすごい揺れの中じゃ、立つこともできやしない。

「おら、将仁!いつまで寝てやがる!とっとと起きやがれ!」

その声が限界まで大きくなった時。

目の前の光景が、常盤さんの部屋から自分の部屋に変わった。しかもなんか薄暗い。

だが、俺だけが揺れているのは変わらない。っていうかそのゆれ方がすごくリアルだ。

「んがぁ!?」

「あたしだって起きてんだからとっとと起きなーっ!」

そして足元から声が聞こえる。

見ると、こんな朝っぱらからライダースーツをぴっちり着込んだ女が、何を考えているのか俺の寝ているベッドの端を持って、思いっきり揺すっているのだ。

どうやらさっきの誰も居ない家の風景は、夢だったらしい。なんとなく考えさせられる内容だったなぁ、なんてそんなこと言ってられるかこんな状況で!

「わっ、うわっ、こらっ、やっ、やめっ」

起こすためにやっているんだったら、起きたからもう止めさせよう、とは思うんたんだが、ヒビキが滅茶苦茶に揺らすもんだから、まともな声も出せずつかまるだけで精一杯だ。

「おりゃあ!」

「どぅわあっ!?」

そして次の瞬間、なぜか俺は宙を舞っていた。

どうやらヒビキの奴が、勢い余ってベッドをひっくり返したらしい。

どしゃん。

そして、ベッドの横に敷いたままにしてある鏡介の布団の上に背中から落っこちた。

「ごふっ」

鏡介の上に落ちなかったってことは、鏡介の奴はまた早起きして退散しやがったらしい。この前勉強したので、なんとか大事なところは打たずに済んだものの、痛いモノは痛い。

「おいこらヒビキっ!てめぇなんつー起こし方しやがんだ!」

「おっ、起きたか」

「起きたか、じゃねえだろっ!ケガでもしたらどーすんだよっ!」

「してねぇんだからいいじゃねぇか、せこい事言ってるとせこい大人になっちまうぜ?」

「そういう問題じゃないだろ!」

ヒビキの奴は、俺がどんなに吼えても大人な対応をしてくる。さらに、見てくれがあっちのが年上なせいもあってか、なんか俺が聞き分けの無いガキみたいに思えてくる。

「・・・・・・いつもは、そっちのが遅くまで寝てるくせに・・・・・・」

「たまにはこんな日もあらぁな。さっ、起きたんだったらさっさと着替えてメシにするぜっ!」

嫌味のひとつも言ってやったつもりだったんだが、ヒビキはあっさりそれをスルーして、笑いながら悠々と部屋を出て1階へと下りていく。

そして、後に残されたのは、妙に惨めな気分になった俺だった。

どうも、作者です。

なんか大げさなタイトルがついていますように、今回は戦争とまではいかなくてもバトルが中心の話になります。

そしてその相手は、前回ラストに顔を出した連中です。

どんなバトルが繰り広げられるのか。ご期待ください。


しかし、毎日こんな激しいことをやってたら、全員疲労でたおれてしまいそうですな。

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