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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
13.ついに実力行使
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13.ついに実力行使 その20

「判りました」

黒く癖の無い髪を背中に流した女が、座卓の前に正座して、その座卓の上にあるものに声をかける。

それは、人の形に切り抜いた紙人形だった。胸の辺りに奇妙な模様が、黒い墨で書かれている。

不思議なことに、どこにも折り目が無いぺらぺらの紙のそれは、まるで吊り下げられているかのように座卓の上に立っていた。

「では、決行する時にまた連絡する」

しわがれた声が、胸の模様が変形して、人の顔のようになると同時に、その口にあたる場所から聞こえてくる。

「ほな、よろしゅう」

女がそう「言うと、今まで立っていた人型が、糸が切れたようにぱたりと倒れる。

その人型をつまみあげると、女はそれを両手でくしゃくしゃっと丸めた。

「ほかしといて」

そしてそれを、傍らにいた女に手渡す。

赤い派手な着物を着崩した赤い髪のその女が、掌に載せたその紙くずにふっと息を吹きかける。

すると、その紙くずにオレンジ色の火が灯り、そしてあっというまに黒い燃えカスへと変わってしまった。

「なー、あんじゅー。あっちはなんていってきたんだ?」

ざんばら髪の少年が、黒い髪の女に声をかけてくる。

「擬人化をどぉにかせえ言われましたわ。どうやら、人海戦術は無茶だったみたいどすなぁ」

女は、少年の頭を撫でながらそう答える。

「んがー!あたまをなでるなぁ!ガキあつかいするなー!」

少年はそれが気に入らないらしいが、女はまるで年の離れた弟を可愛がるかのようにそれをやめようとしない。

「しかし、如何するおつもりですか、杏寿様」

「また、あの結界を張んのかい?」

そして、その後ろから、緑青色の甲冑をまとい仮面をした麗人と、法被の上から金属的光沢を放つ縄でたすきを巻いた筋肉質な大女が声をかける。

「同じことしても、また破られてまうんちゃうかな?」

黄色いゆったりした服を着て四角い帽子を被った女が声をかけてくる。

「麟土、貴様、杏寿様のすることにケチをつけるつもりか?」

「でも龍樹さん。同じ手を使ったら、破られるのは火を見るより明らかですわよ?」

「そうどすなぁ。それにあれは仕込みも必要どすから、すぐにはでけしまへんし、あちらのお狐はんは呪に鋭いようどすしなぁ」

「じゃーどーすんだ?」

玄水からそう問われた杏寿は、顔を上げると、自分の式神たちを見回した。

「もう失敗は許されまへん。気は進みまへんけど、手荒に行かしてもらいまひょ」

「おっしゃ!久しぶりに暴れられるぜぃ!」

はじめに声を上げたのは、虎鉄だった。

「ふっ、暴れるだなんて、がさつで下品ですわね」

「だが、これで、擬人を相手に出来るのは我々だけだと証明できるな」

そうは言いながらも、炎雀や龍樹も乗り気のようだ。

「はぁ、なんとか話し合いで解決でけんかねぇ」

「おいらよくわかんねーけど、それがもうできないからあらっぽくいくんじゃねーのか?」

「せやけど、うち、あんまりドンパチやるのは嫌いやねん」

「しょうがねぇだろ、あたいらは杏寿の式神なんだから」

「虎鉄はん、真っ先に喜んどったあんたが言うても、しらじらしいだけやで?」

「でも、楽しみですわ。存分に力を発揮できる機会なんて、そうそうありませんもの」

「うむ。まあむこうは擬人、我々は式神。人は、神には勝てぬことは自明の理であるがな」

「そうなのか?ひとにたおされるかみのはなしって、よくあるとおもうんだけど」

「おい玄水、おめぇはどうしてそう水を差すようなことを言うんだよ」

「おいらはげんぶ、みずをつかさどるからな」

「いや、あたいが言ってるのはそういうことじゃなくてだな・・・・・・はぁ」

未だに話の意味が判って無さそうな玄水の返事に、虎鉄はひとつため息をついてしまった。

作者でございます。

今回で、第13章終了となります。

楽しんでいただけたでしょうか。


それで、またしばらくの間、書き溜めに入らせていただきます。

そろそろネタもなくなってきましたので、「こんなことさせてほしい」という要望などありましたら、遠慮なくお願いします。

また、そのほかにも感想・文句・苦言など何でも待っていますので、宜しくお願いします。


それでは、また次の機会にお会いしましょう。

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