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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
03.そして何かが動き出した
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03.そして何かが動き出した その2

あまりにまぶしすぎる真っ白な光に、俺は思わず自分の目をおおっていた。

またやってしまった。というか、何がきっかけで発動するのか未だに分からないこの力は、動き出してしまったらどうしようもない。

音が収まったのを確認してから、俺は目を開く。

洗面台の、俺が映っていた鏡がなくなっている。これは何となく想像できた。多分、また擬人化したんだろう。

ふと、右に人の気配があるのを感じ、俺はそっちを見た。

俺が立っていた。

眉をひそめて顔を突き出すと、そいつは同じように眉をひそめて顔を突き出す。

改めて向き直ると、そいつも同じように俺に向き直る。バンザイをするとそいつもまったく同じようにバンザイをする。大根踊りをするとそいつも同じように大根踊りをする。

「なんだ、鏡か」

そう言いながら目をそむけると、そいつも同じようにそっぽを向く。本当に鏡のようだ。

と見せかけてすばやくファイティングポーズを取る。すると、そいつも同じようにファイティングポーズを取った。あくまで真似する気か。

だがこいつは真似出来まい。

「シュッ!」

「ふがっ!?」

その瞬間、今まで俺と同じことをしていたそいつが、軽く吹っ飛んだ。俺のジャブを食らったのだ。自慢じゃないが、俺、パンチの早さには自信がある。なにしろ、週一でボクシングジムに通っている身だ。兄貴にケンカで勝つための手段として、兄貴がやったことのない、そして殴り合いになった時に強いといわれるボクシングを選んだからだ。

「っててて、将仁さん、いきらり殴って来るらなんてひろいりゃないスか」

そいつは、すっ転んで鼻を押さえている。さすがに風呂場で本気でやったことはないので、知らずにモロに喰らったようだ。

「それは悪かったけど、でもお前だって構えただろ。一応、聞いておくけど、お前・・・・・・」

「そうっす、俺は、鏡の擬人化っすよ」

俺とそっくり、というか同じ姿なそいつは、顔の真ん中を軽くさすりながら立ち上がる。幸いにも、鼻血が出るほどのダメージではないようだ。

それにしてもこいつ、声が低い。結構体格もいい。ぶっちゃけて言えば、ぱっと見は俺だ。

やっぱり、男なのかな?

「ひとつ、聞いていいか?お前、男か?」

「男かって、見たとおりっすよ。そう見えないですか?」

「あ、いや、今まで擬人化したのが、みんな女だったもんだからさ」

いきなり殴っちまった相手にこんなことを言うのはなんだが、実はちょっとほっとしていた。りゅう兄が言っていた独占ハーレム状態は無くなったが、俺はそれ以上に強い味方が得られたような気がしていた。なにしろ、初めての同性だ。異性には判ってもらえないような事にも、理解を示してくれるだろう。

「殴ったりして、悪かったな。鏡介」

「いや、俺も悪ふざけが過ぎました・・・・・・って、え?鏡介?」

「ああ、お前の名前だよ。よろしくな、鏡介」

そして俺は、右手を差し出した。

鏡介という名前は、鏡の擬人化を見た瞬間に、すっと浮かんできた。

「はい、よろしくお願いします。将仁さん」

彼も、この名前を気に入ってくれたらしい。鏡の擬人化こと鏡介は、一瞬左手を出しそうになったが、すぐ間違いに気づき、右手を出して俺の手を握った。鏡の擬人化らしく、右と左が逆になっているらしい。

「それにしても、ホントに俺にそっくりだな。鏡を見てるみたいだ」

「だから、俺は鏡ですって」

「いや、そりゃそうなんだけどな」

といいながらも、なんか弟が出来たみたいで、なんとなく嬉しくなってしまった。

そのとき。

「おはようございますぅ」

からりと音を立てて、風呂場のドアが開いた。そして、寝ぼけ眼の女の子がお風呂から出てきた。クリンだ。

「さっき、何か光って・・・・・・ぇぇぇえええええええ!?」

と思ったら、いつもは半開きな目をひん剥いてひっくり返った。風呂桶の中にまた落ちたらしく、ざっぱーんと派手な水音がする。

のぞいてみると、クリンは目を回しながらまた風呂桶の中でぷかぷかと浮いていた。

「なんだいなんだい今の音は!?」

こんどは、廊下に面したドアがばたんと開き、赤いライダースーツの女が飛び込んでくる。

そして目をむいて硬直する。

「何の騒ぎでしょう今のは!?」

「お兄ちゃん何かあったの!?」

少し間を置いて、ケイとテルミがばたばたとやってきてヒビキの後ろから顔を出す。

そして、また硬直する。

「お、お、お、お兄ちゃんが、増えてるうぅぅぅ!?」

ケイのその発言が、家人たちの驚き具合を能弁に語っている。

無理もない。鏡介との経緯は、俺しか知らないんだ。

というわけで、俺はみんなに鏡介のことを紹介しなきゃならなくなった。そしてその時、人が増えることに抵抗があまり無くなってきている自分に気づき、ちょっと悲しくなった。

どうも、作者です。


鏡の擬人化にして初の男性擬人化、真田家のミラーマン、鏡介の登場です。

女性を期待していた方、ごめんなさい。

鏡からもう一人の自分が出てくる、というのはどっちかといえばホラーな作品に見られるネタですが、この真田家ではそんな雰囲気にはならなそうですw


次回は、鏡介と先輩擬人化たちとの顔合わせです。

乞うご期待!

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