02.なんかおかしな展開に その14
「ふむ・・・・・・」
重厚なデスクの前で、一人の青年が何かの書類らしい紙を見ている。
そこには、とある人物のプロフィールが記されている。
「真田将仁、児童養護施設出身。11年前に真田祥太郎・松子夫妻に引き取られ養子となる。家族構成はその両親と、兄が一人。ただし今は通学に都合がいいよう一人暮らし。
県立扶桑第一高校に在籍、成績は比較的優秀、陸上部に所属し棒高跳びでは県大会のレコードホルダーである」
その紙にかかれているであろうことを、青年は鋭い目で追いながら読み上げる。そして一通り読み終わったところでその紙を無造作にデスクの上に投げ出した。
「なるほど、いかなる書類を探っても、こいつと西園寺家とのつながりは出てこない。まったくの赤の他人だから、見つからなかったというわけか」
「はい。それを探し出すとは、敵ながらあっぱれですな」
青年の横に控えていた執事服の老人が答えるが、青年は腕を組んで何やら考え事をしている。
「力の顕現は」
「報告によりますと、今朝、真田将仁が住まう集団住宅の駐輪場で、それと思しき現象が確認されたとのことです。また、未確認の情報ですが、昨日の夜、駅付近の路上で謎の発光現象が確認されております。おそらくこれも顕現のひとつではないかと」
「・・・・・・となると、この男が西園寺の血を引くことはほぼ確実ということか」
「はい、さようで」
老人の回答を受けると、青年は疲れたような表情になり大きく伸びをした。
「面倒なことだ」
そしてはき捨てるように言い放つ。
「遺言書には、物部神道の力を有する者が遺産相続の資格を有するとある。それを見つけてしまった以上、常盤はこの真田将仁という男に相続させるための動きをとるだろう。額が額だから、1日やそこらで手続きが完了することはないだろうが」
そして、青年は先ほど投げ出した書類に視線を落とした。
「こいつも、死んだ人間の遺志に踊らされるというわけか。しかも、血のつながりがあるとはいえ、生まれて一度も会ったことがない、存在すら知らなかった奴に」
気の毒にな。青年は最後にそうつぶやき、自嘲気味に笑う。
「まあいい。俺は俺のやるべきことをやるだけだ」
そして顔を上げると、青年は老人に向き直る。
「今後はこの真田将仁も監視しよう。こいつの顔写真を渡しておけ。それから、常盤がこの男にどうアプローチするかも続けて監視するように」
「確かに、あの者は相続の立会人も兼ねておりますからな。承知しました」
老人は、青年の言葉を受け、深深とお辞儀をすると、すっと闇の中へと消えていった。
「死んだ人間に踊らされる、か」
それを見届けてから、青年は大きな椅子の背もたれに寄りかかった。
「それは、俺も同じか」
そして、再び大きく息を吐いた。
どうも、作者です。
黒幕が、動き出したようです。
ちょっとしか登場シーンがないこの2人ですが、だんだんと絡んでまいりますので、良ければ気にかけておいてください。