02.なんかおかしな展開に その13
「あんた、いったい何者なんだ?」
新しく現れた白い髪の女の子が、ダイニングで俺とモノ軍団に囲まれている。
「ど、どうもぉ、はじめましてぇ。私、お風呂の、スポンジですぅ」
ちょっとおどおどしながら、その女の子はぺこりと頭を下げた。
また一人、増えてしまった。俺は頭を抱えるが、それでいなくなるわけでもない。
それだけならともかく、その、素っ裸だ。白い肌に、おっきなオッパイ、いい感じのヒップ、と、目のやり場に困ってしまうんだが、目が離せない。
その時の俺はよっぽどいやらしい目で見ていたのだろう、他の子達にじろっと睨まれて、後ろを向かされてしまった。
「なんであんた、裸なんだよ。いきなりあたしらの頭を誘惑しようとかいうんじゃないだろうね?」
俺の後ろで、同じ女で、同じモノだったモノ軍団たちがその子につめよりはじめる。
「なんでって言われましてもぉ、私、おフロに居たものですからぁ。おフロに服を着て入るのは変じゃないですかぁ」
「だからと言って、裸でうろうろされるのは困りますでしょう。私たちの主、将仁さんは、その、思春期真っ只中の若人なのでしょう」
「テルミお姉ちゃん、その言い方、お兄ちゃんがすごくエッチな人みたいだよぉ」
「そんなのどうでもいいだろ。そんなことより、どうすんだよこいつ」
「と、とにかく、何か着せなければならないでしょう」
「何かって、どうするのよぉ、着せるものなんてないよぉ?」
なんか、着る物についてもめているらしい。そういえばこいつら、着替えとかはどうしているんだろうか。俺は男だ、女物の服なんか持っていない。もちろん下着なんか余計に持ってるわけがない。
しょうがない。
「ほれ」
俺は、もう一度タンスのところに戻り、あるものを引っ張り出して来た。そして戻ったところでソレを投げてよこした。
私服の色物カッターシャツだ。
「と、とりあえず、それ、着てろ」
そしてすぐ後ろを向く。そのまま見ていると何を言われるかわかったもんじゃない。
「はぅ、将仁さん、優しいですぅ」
「いいなぁ、お兄ちゃんのシャツぅ」
そしてそのシャツを羽織らせたところで、前を向くことを許されたんだが。
その白い髪の子が、さっき渡した俺のシャツを羽織っており、なんというか、エロい。この子のスタイルの良さはさっき風呂場で見たので知っているんだが、それがシャツ1枚で隠されている姿は、もう、アレだ。色々想像してしまい、下手なAVなんか目じゃないぐらいエッチだ。
またいやらしい目つきになったようだ。その子がぽっと顔を赤らめ、ケイは羨ましそうに指をくわえ、テルミがじろ〜っと非難するような目で俺をにらんでいる。ヒビキは額に青筋を立て、面白くなさそうにそっぽを向いている。
「あ、あのぉ、将仁さん、お願いが、あるんですけどぉ」
「な、何かな」
うう、いかん、声が上ずっている。
「あ、名前か」
するとその子はこくこくとうなずいた。
「んー・・・・・・」
フロ。スポンジ。せっけん・・・・・・ソープランド、ローション・・・・・・って違う!
泡。フロ。洗う・・・・・・アワ踊り、ボディ洗い・・・・・・って、その考えから離れろ俺!
でも、そういえば俺、この子を使って、体を洗っていたんだよな・・・・・・でへ。
「お兄ちゃん?」
ケイに冷たい声をかけられて、現実に引き戻された。
「う、ご、ごめん」
まずいまずい、このままでは嫌われてしまう。自分の頬を貼って気合を入れなおして考えた。
スポンジ、石鹸、泡、フロ・・・・・・バスルーム、バス・・・・・・ん?
「そうだ、クリンだ、クリンにしよう」
結構いいかもな、と思ってその子を見たんだが、その子はぽかんとしている。
「あ、あれ?イヤか?」
ちょっと不安になってしまう。入浴剤のバ○クリンから取ったのがまずかったのか?今まで、名前つけたときにイヤと言われなかったから、けっこう自信があったのに、もしかしてホントは俺がつけた名前ってセンスないのか?
「・・・・・・あは」
俺が思わず他のモノ軍団に聞こうかとしたとき、目の前で、その子が笑った。
「クリンですねぇ、かわいい名前をありがとうございますぅ」
よかった、嫌われたワケではないみたいだ。にしても、自分のことなのにすぐ反応しないとは、なんというか鈍いなオイ。
「気に入ってくれたんならいいや。よろしくな」
「はい、よろしくお願いしますぅ」
そしてクリンはぺこりと頭を下げた。その瞬間、彼女の胸の谷間が俺の視界に飛び込んでくる。
おおっ、と思った瞬間、目の前が真っ暗になった。
「もう、ダメっ!」
ケイがぶら下がっているらしい。後ろに引っ張られてこけそうになるのをぎりぎりで踏ん張ったが、おかげで目が痛い。
「まあ、これからよろしく頼むわ。あ、あたしゃヒビキ、元オフロードバイクだ。よろしくな」
その闇のむこうで、ヒビキの声がする。また、肩とか組んでいるんだろうか。
「元プラズマテレビの、テルミです。これから、一緒にがんばりましょう」
「はい〜。こんな私ですけど、皆さん、よろしくお願いしますぅ」
そしてにぎやかな笑い声が上がった。
どうも、作者です。
ふんわりスポンジ娘にやっと名前がつきました。
彼女はこれから真田家の中でエロとドジを振りまいていく予定です。もっとも、年齢制限が入っていない場での公開なので限界はありますがw
次は、01のラストで出てきた謎(?)の2人の再登場です。