11.そしてみんな動かなくなった その7
「After the time、ミーたちもそのaffair(役目)をmy family personからteachされたデース」
二人からひととおりの話を聞いて、俺は唖然とした。
「ごめんね、お兄ちゃん。ケイたち、お兄ちゃんをだますつもりはなかったの」
俺が黙っている理由が、俺が怒っているからだと思ったのだろうか。ケイが謝ってくる。
だが、俺は怒ってなんかいなかった。常盤さんが俺の擬人化の力を発動させた目的、西園寺の一族が滅んだ本当の理由、そして、俺が施設に送られた理由など、色々なことが一気にわかり、困惑のほうが先立っていたからだ。
先代当主、西園寺静香の真意が、西園寺の血筋を残すことだったのか、俺自身をその敵の手から逃がすことだったのか、それとも他にあるのか。それは判らない。
いずれにしろ、施設で育ち、ここまでも色々と紆余曲折があったが、それは全て俺を生かすためだったと判った。そして結果として俺は、何とか無事に今まで生きてこられた。
「いいよ、謝らなくて。お前らが悪いんじゃないから」
そう返事をしてから、俺は、机の上に並んだ携帯電話とノートパソコンに手を伸ばし、画面を閉じるために手を掛けた。
「きゃ!?お兄ちゃん、なに!?」
「ミーはnot sleepyデスよ?」
「いや、そうじゃない。とりあえず、下に集まってもらう」
「集まるの?」
「ああ、リビングにはテルミがいる。ケイやバレンシアの様子を見ていると、テルミも同じ事が出来そうだからさ。俺が運ぶから心配すんなって」
「あ、あー、OK、I understand. それでハ、power cableも、togetherにcarryしてほしいデース」
「じゃあケイの充電器もっ!」
「ああ、分かってる。んじゃ閉じるぞ」
返事をしてから、ケイとバレンシアを閉じる。そして、パソコンのACケーブルを抜いて持ち直すと、携帯の充電器を取りに行くことにした。