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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
10.なにがお嬢様だ
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10.なにがお嬢様だ その11

ちょっと古いが、サン○ーバー○のテーマが聞こえてきそうな光景とともに、ボックス部分が少しずつ起き上がっていく。

そして、完全に垂直に立ち上がると、今度はそれが地面に降りていく。

着地すると、プシューッと空気が抜ける音がして、そして、今は正面を向いた箱の扉が、左右に開いていく。

こういった非常に大仰な動きの末、近衛さんが護衛用アンドロイドだというソレが、ついに俺の目の前に現れた。

箱の中を覗き込んでみる。やはり息をしていない。そして、近くで見たことで、それが人間ではないということがますますよく判った。というのも、さっきは髪の毛で隠れていた首の部分に、コードや金属部品など、人間には普通ないものが見えたからだ。

その俺の耳に、ウィーンというさっきより小さくて高いモーター音が聞こえてきた。

見ると、その箱の中で立っていたアンドロイドが、動き始めていた。目を開くようにヘッドセットの目の部分に緑色に光る線が現れると、微妙に俯いていた顔を上げ、上体を少し前に傾けると、箱の縁に手をかける。

そして、上体をその箱から外に出すと、それに追従するように右足が踏みだされる。人間に比べるとそれぞれの動きが微妙に途切れていてぎこちないような感じを受けるが、そのアンドロイドはさらにそこから1歩踏み出し、そしてついに自分の両足で地面の上に立った。

「Condition all green. She shifted to an autonomy movement mode.(コンディション・オールグリーン。自律行動モードへの移行、完了しました)」

サングラスの美女、イリーナさんがそう言ってノートパソコンを閉じる。

「すごいな、立つんだ。写真撮ってもいいか?」

「ええ、どうぞ」

了承を得たので、ケイちゃんを取り出し、写メを撮らせる。

それにしても、すごい。人間型ロボットだってだけでも凄いのに、これはほとんど人間で、しかも人間大の大きさがあるのだ。それが自力で歩き、自分の足で立っている。SFの世界が一気に近くなったような気分だ。

「ナミ。こちらの方に、ご挨拶をなさい」

「はい。初めまして。私はコンバットドールタイプ73。コードネーム“望月ナミ”です。ナミとお呼びください」

のみならず、このアンドロイド、喋ってお辞儀をしてきた。声は電子音がかっていてイントネーションも少々おかしいし、お辞儀の動きも固くぎこちないが、メカニズムだけでここまで出来るとは驚きだ。

「はー、こんなことまでできるんだ」

「もちろんですわ。最新鋭と申し上げたでしょう」

近衛さんは得意そうにふんぞり返り、扇子を口元に当ててほーほほほと高笑いする。凄いのはお前じゃないだろう。

しかし、改めてそのアンドロイド―ナミと呼べと自分で言ってたのでそう呼ぶことにする―を見て思ったのだが、確かに高性能ではあるのだろうが、「護衛」に本当に使えるのだろうか?軍服みたいなのを着ているからなんとなくは戦闘向きのようには見えるが、ものすごく高そうなので、逆に何かあって壊れたらもったいないんじゃないだろうか。

「ナミは、元々軍事用に開発された次世代ロボットの延長上にありますの。いわば兵装を積み込んだ、人間大のジェット戦闘機といったところですかしら」

だが、近衛さんはあっさりとそう言い放った。超金持ちだからジェット戦闘機1機ぐらいはなんでもないってことなんだろうか。

「でも戦闘機はないだろ、せいぜい装甲車じゃないのか?」

「あら、装甲車には飛行能力などなくってよ」

「・・・・・・飛行能力ぅ?」

耳を疑ってしまう。某科学の子じゃあるまいし、空を飛ぶ必要性がどこにあるんだろうか。

と思って聞き返してみると、普通の人間にはできないような作戦展開をさせるために、人間にない機能を持たせているんだそうだ。

さらに、この体格で武器まで積み込んであるらしい。人間が使う重火器が使えるように人間の形にしたって言っていたが、そんなのがあるんだったら余計に人の形は要らないだろう。

「それでは、ちょっとしたデモンストレーションをお見せしますわ」

物理的に無理なんじゃないか?と言ってみたら、お嬢様はそんな返事を返してきた。

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