09.幽霊って何ですか その21
「But、Master. コレはgoodなhintかもデース」
大変だなぁ、なんてことを考えていると、すすすっと、バレンシアが寄ってきて耳打ちする。
「ヒントって、なんのヒントだよ」
「Masterのideaをreadされナイwayデース。Miss Keiハ、maybe nowこのmomentのthinkしかreceiveできナイデース」
「あぁ、何も考えないってことですねぇ?」
その横からクリンが口を挟んでくる。
って、それ、なんか何処かのSF映画で聞いたことがあるんだが。
「でも、一瞬ならともかく、ずっと何も考えないなんて無理だろ、元々脳みそってのは、考えるためにあるんだし」
そういう意味じゃ、本能で生きている動物は、なにも考えてないから“真っ白”なのかもな、なんて事を考えていたら。
「If so、anotherな事をthink してbrainをfullにすればOKデース!」
バレンシアが、なんか企んでいるみたいににたーりと笑って、脇を閉め、手を広げるような仕草をして見せた。
その両腕に挟まれ、我が家ナンバーワンの巨乳がさらに強調され、ついそこに目が行ってしまう。
「For example, like this(たとえば、こんな風に)!」
次の瞬間。突然、バレンシアが、笑みを浮かべながら、俺の右腕に抱きついてきた。
同時に、右の二の腕から、むにゅうっ、という表現がぴったりな感触が伝わってくる。
「うふふっ、そうですよねぇ♪」
すると、今度は左の二の腕に、これまたむにゅうっとした感触が。見ると、クリンが俺の左腕を、抱き抱えるようにしている。
思わず、頭の中にピンク色な妄想が湧き上がってくる。だってしょうがないだろ俺だって男なんだから。
だが、そこでふと我に帰ると、俺の目の前にケイが立っていた。しかも、いるだけではない。瞳を赤く光らせながらも、半べそになっているのだ。
「え、あ、いや」
「お兄ちゃんのスケベっ!スケコマシっ!オッパイ星人ーっ!」
そして、そんなふうに言いたいことを叫ぶと、ふえーんっと泣きながら走り去ってしまった。だってしょうがないだろ、こんな状態で何にも考えないなんて無理だ。
「ケイさん、どうしたのでしょう?」
それとすれ違ったのだろう、テルミが手を拭きながらこっちにやってきた。
そして。
「・・・・・・な、な、な、何やってるのでしょうっ!」
バレンシアとクリンに抱きつかれたままだったので、顔を赤くしたテルミに、叱られてしまった。