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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
09.幽霊って何ですか
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09.幽霊って何ですか その16

「おかえりな・・・・・・・・・・・・ま、将仁さん、どうしたのでしょう、そのケガ!」

家に入ると、テルミが出迎えてくれて、そして即座に騒ぎになった。

警察沙汰になったら面倒なのであの後速攻で帰ったんだが、やっぱり大怪我に見えるようだ。まあ確かに体中が痛いが、ここまで自力で、支えなしで帰って来られたんだから実際は大したことないと思う。

だが、抱え込まれたリビングでは、あっという間に大騒ぎになってしまった。

「誰だ!どこの馬の骨にやられた!言え!」

「そいつらの脳天勝ち割って、内臓引きずり出して、叩き潰してやらぁ!」

「そんなの甘いデース!3minuteでmake charcoal(黒焦げにしてやる)デース!」

俺に怪我させたヤツに仕返ししようとするモノ。

「冷やすわよ。腫れたら炎症を起こして熱を持つから」

「アイヤー、将仁サン、肚子おなか出すヨロシ、内脏器官(内臓器官)に怪我ないか診るアル」

「うわあぁ、将仁さぁん、アザだらけですぅ」

俺の体を心配するモノなどなど、様々だ。

「そんなひどいか?」

「ひどいなんてもんじゃないッスよ、顔、こんなになってますよ!?」

そう言いながら、鏡介は自分の顔を変化させる。その顔は、右目のまわりにアザがあり、左の頬が見事に腫れ、また口元が少し切れていた。これはどこから見ても怪我人だ。

「こりゃひどいな」

「感心してないで下さい、これが今の将仁さんなんスから」

呆れた口調で鏡介が返し、そしてもとの顔に戻る。

ちなみに、俺と一緒にいたケイは、ここに帰ってくるまで、ちっちゃい子がいじめられたみたいに、ごめんなさいを繰り返しながらずーっとめそめそと泣いていた。

「だって、だってえええぇぇぇぇ!ケイが、あんなこと、言わなければ、お兄ちゃんは、お兄ちゃんはあああぁぁぁ」

どうも、自分のせいで俺が怪我をしたと思っているらしい。まあ確かにある意味そうではあるのだが、だからといっていつまでも泣かれても、正直困ってしまってわんわんわわーんな犬のおまわりさんである。・・・・・・何を言ってるんだ俺は。

「ケイちゃん。どうしてこんなことになったのか、教えてもらえませんか?」

そのケイは、常盤さんにその時の状況を問われ、鼻をすすりながら、懸命にその状況を説明している。

「とにかく、一度お医者様に見ていただいたほうが良いでしょう」

騒ぎがようやく少し収まってきたところで、テルミが俺の顔に手を沿えながらそう口にする。

「そんな、大げさだよ」

「大げさじゃないでしょう、さっき鏡介さんに見せてもらったでしょう?」

「そうッスよ。誰が見ても大怪我じゃないッスか、痛くないわけないっしょ」

だが、うかつなことを言ってしまい、テルミと鏡介に説教されてしまった。

「参ったな」

思わず、そんな言葉が口から漏れる。

「む、相手を取り逃がしたことか?ならば、そ奴らを見つけ出し、天誅を食らわせて参ろう」

シデンが、平然とした顔で物騒なことを言う。ぜひともお願いします、と言いたいが俺が心配しているのはそんなことではない。

「いや、その話じゃなくて。明日、ちょっと予定があるんだよ」

「そんなものは後回しでいいでしょう。将仁さんの体のほうが大事でしょう」

「その通りね。いくら将仁くんが若いと言っても、無理をしたら治るものも治らないわ」

モノたちは俺の心配をしてかそんなことを言ってくるが、今回はそうも言ってられないのだ。

なにしろ。

「そうもいかないよ、こんなもんまで貰っちまったし」

言いながら、カバンの中から一枚の封筒を取り出す。近衛お嬢様からの招待状だ。

「あ、それ、招待状」

やっと泣き止んだケイが、不意にそんなことを口にする。

「招待状だ?」

ヒビキがひょいとその封筒を取り上げる。ごついライダーグローブをした手で持たれると、その封筒が妙に小さいように見える。

「Hey、youではtearしてしまうデース。ミーにgiveするデース!」

それをバレンシアがひょいと取り上げ、中身を取り出す。

「どれ・・・・・・むう、横文字か」

出てきた中身をシデンがひょいと取り上げて広げるが、一瞬顔をしかめる。

「ケイちゃんサン、あの招待状、誰から貰たアル?」

「え、ええっと、お兄ちゃんの隣のクラスに転校してきた、近衛クローディアってお嬢様から」

「お嬢様、ですかぁ?」

「おい、上官。まさかそ奴におべっかを使うために行くというのではあるまいな!?」

「バカ言うな、俺だってそこまで卑屈じゃねえやい」

なんかおかしな方向に誤解されそうになったので、思わず断言してしまった。

「前に話しただろ、そのお嬢様も擬人化の力を狙っているって。せっかくの誘いだ、あっちの手の内を調べるいいチャンスだろ」

「無茶は感心しないわね。第一、その腫れ上がった顔で行くつもり?」

「う、だからそれ貰ったときはこんな顔じゃなかったんだって」

レイカの突っ込みに、一瞬言葉を詰まらせてしまう。

「あ、そうだクリン、お前、キズとか治せたよな。この顔、なんとかならないか?」

ふと、この前クリンに舐められたら指のキズがあっという間に塞がったことを思い出し、クリンに聞いてみる。体のほうはちょっとまずいが、顔がなんとかなれば。と思ったのだが。

「えぇ!?やってみてもいいですけどぉ、私がきれいにできるのって、表面だけですよぉ?擦り傷とかぁ、アザぐらいならなんとかなるかもしれないですけどぉ、腫れたのは無理だと思いますぅ」

だと。たしかに腫れだけが残っているのは、おたふく風邪みたいでかっこよろしいものではない。

「この招待状は、あくまでも将仁さんを招待しているだけで、強制力は全くありません。先方には、私から理由をお話しして、欠席する旨を伝えます」

招待状を読んでいた常盤さんが、くいっとメガネを動かしてから、丁寧にそれを畳んで、封筒に戻してから自分の胸ポケットに納めてしまう。って常盤さん、それは俺がもらったんですが。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、俺は行かないなんて一言も」

「いいえ駄目です。顧問弁護士として、そんな危険な行為を、認めることはできません」

「Miss Tokiwaのopinion(判断)はrightと、ミーもthinkしマース。Information(情報)がneedなら、ミーがnetworkにdiveしてgetするデスから、Masterはquietlyにrestをtakeするデース!」

反論したが、逆にバレンシアまでが反対意見を述べ始めてしまった。

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