08.慣れというのは恐ろしい その21
それからさらに数時間後。
皆が寝静まり、照明も消されて真っ暗なはずの真田家のリビングに、オレンジ色の光が浮かんでいた。その光は、炎のように揺らぎながら、質量も熱量も無いように空中をふらふらと漂っている。
そのオレンジ色の発光体の下には、上を切り開いたダンボール箱が置いてある。
「・・・・・・なんじゃ、ここは」
そして、誰もいないその部屋に、なんともアンバランスな声が聞こえた。
「むぅ・・・・・・どうやら、家の中のようじゃな、気付かぬうちに引き上げられたのか」
発光体があたりを探るようにゆらゆらと飛び回ると、声はようやく満足したようだった。
そして、発光体の下にあるダンボール箱から、小さい手がにゅっと生えてきて箱の縁を掴む。続いて、その手の主であろう人物の頭が、その手に引っ張り出されるように出てきた。
年のころは4,5歳ぐらいか。ぱっちりした大きな目とまっすぐな鼻梁が、成長した後の美しさを予想させる。また、発光体の光を受けて、透き通った白色の髪がキラキラ輝いている。
だがしかし、その子は普通の子ではなかった。なぜなら、漫画などでしかお目にかかれない、狐のような大きく尖った耳が、頭の上に乗っていたからだ。しかもそれが飾りではない証拠に、耳の先端がまるで生きているようにぴこぴこと動いている。
「うむぅ、体に力が入らぬ・・・・・・」
声は外見どおりの幼い少女だが、口調は老人そのものの狐耳の娘は、箱から出ようとしたのかダンボール箱の縁に両手をかけた。そのときだ。
箱がぐらりと傾いた。立ち上がろうと手を掛けた後、全身をその壁にあずけてしまったためだ。
「あ、わ、わわっ、わひゃあっ!」
そして、狐耳娘は、箱と共になすすべなくひっくり返り、ごん、という鈍い音と共にフローリングの床に顔面をしたたかに打ちつけた。
背後から、ダンボールの底に敷かれていた毛布やらバスタオルやらが一斉に少女の背中にどさどさどさっと被さってくる。
オレンジ色の光が消えていくその中で、少女は再び意識を失っていった。
どうも、作者です。
ここに書くのは久しぶりになります。
で、今回で8日目が終わります。
というわけで、9日目の書き溜めに入りますのでまたしばらく投稿ができなくなります。
では、9日目にまた遭いましょう。