02.なんかおかしな展開に その5
「あ、そうだ」
ヒビキが部屋に上がり、三人でしばらく談笑している時、思い出したようにケイがそんなことを言った。
「どうしたんだい?」
「あのね、今日ね、お客さんが来るの」
「まあ、お客様ですか?」
「うん。昨日、メールで来たんだ。今日、こっちに来るって」
そして、ちょっと目を閉じると、そのメールをそらんじる。
「へえ、あいつが来んのか」
「えっ?ヒビキお姉ちゃん、その人のこと知ってるの?」
「そりゃ知ってるもなにも、そいつはあたしの前の持ち主だよ。で、将仁のやつは、そいつが今日来るってこと、知ってんのかい?」
ヒビキがそう聞き返すと、ケイは首を左右に振った。
「メールが来たときに教えてあげたんだけど、後でいいって言われて、そのまま言いそびれちゃったの。いつもだったら、来たって言えばすぐ見るんだけど、ケイがこんなになっちゃったから、ちょっと遠慮してたみたい」
そして、ぺろっと舌を出す。
「そうですか・・・・・・それでは、私たちでお迎えしなくてはならないでしょう」
口元に手をやり、ちょっと考えるような仕草をしたテルミが、独り言のように口を開く。
「全く、昼間に来るなんてタイミングが悪いよな、あいつも。金曜日は将仁が学校に行って留守だってぐらいのことは判ってんだろうに」
「あ、でもね、ほかにも来るかもしれないんだ」
そのヒビキの様子を見たケイが言葉を続ける。
「ほら、テルミお姉ちゃんは聞いているでしょ?昨日の夜、電話で話した、あの人」
心当たりがあったのだろう、テルミが納得したような顔をする。
「ああ、そういえば四時ごろこちらにおいでになると、仰っていたでしょう」
「うん。お兄ちゃんが帰ってくるのはその後になると思うから、その人もケイたちが迎えなきゃ」
「へぇ、今度は誰が来るんだい?」
「あのね・・・・・・」
ども、作者です。
予告どおり擬人化3人組のマッタリ(でもないか)会話です。
ここで言う「あいつ」と「あの人」も、すでに話の中では登場しております。
そして、どっちも間もなく登場します。
楽しみにしてください。