07.穏かな日は遠く その34
常盤さんが加わった夕食の席は、俺が連れてきたお騒がせ軍団の話題で持ちきりになった。
「まあ、そうだったのですか」
「うんうん。レイカサン買い物行ていたから、ワタシが小籠包で歓迎したアルよ〜♪」
「将仁くんが追い返してしまわなければ、私の料理もご馳走してあげたのですけれど」
「けど、それに味をしめて毎日来るようになっちまったら、それはそれでまずかないかい?」
「貴様は、そのぶん自分が食するぶんが減るのを危惧しておるのだろうが」
「Boysは、a little impoliteでしたネー。Master、friendハ、よーくchooseするデース」
「でもぉ、そんなに悪い方々ではないと思いますけどぉ」
「そういえば、テルミ。さっき、リビングの様子を録画したって言ってたよな」
「ああ、はい。将仁さん、ごらんになりたいのでしょうか?」
「え?じゃあもしかして俺が説教されている様子も撮られているんスかね?」
「そういえば鏡介お兄ちゃん、なんでお説教されてたの?」
いきなり、そして有無を言わさない状況で押しかけてきたうちのクラスメイトどもだったが、うちのモノたちはそんな連中に対し問題ない、というより十分すぎるほどなもてなしをしてくれた。
何にも事情を知らないで傍から見ているだけなら面白いことこの上ないと思う。俺があいつらを連れてきたことに対しても、常盤さんは怒ったりする様子は無いし、それどころか遭ってみたかったとか言っている。
とりあえず、難関はひとつ突破したのだが、今後無条件に押しかけられるのは身を挺してでも止めさせようと思った。
「ところで、ヒビキよ。さっきお前らと一緒においでになったあの団体は、何なんだ?」
ふと、さっきの超体育会系な暴走族のことを思い出したため、聞いてみることにする。
「え?あ、ああ、あれね・・・・・・」
すると、ヒビキはちょっと困惑したような表情になった。それでも箸が止まらないのはさすがヒビキだが、ペースは明らかに落ちている。
「話してあげたらいいじゃない、減るものでもなし」
一緒に外出していたレイカが、味噌汁をすすりながら平然と言い放つ。
「いや、でもよぉ」
「ミーもwant to knowデース。どうやってtameしたデース?」
「膂力でも見せ付けたのであろう、違うか?」
シデンが少々皮肉っぽく口を開く。すると。
「なんで知ってんだ」
ヒビキの手が今度は完全に止まった。
そして、観念したらしいヒビキが、口の中のものを飲み込んでから話し始めた。