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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
07.穏やかな日は遠く
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07.穏かな日は遠く その25

しかし、俺が言うのもなんだがおよそ客らしくない連中だ。人の家に勝手に押しかけてきてこんなに自由なのはある意味賞賛に値するな。

「ったく。ほら鏡介、紅娘がせっかく腕を振るってくれたんだから、こっち来て食おうぜ」

「ういっす」

「あ、じゃ俺も」

「・・・・・・そうね、せっかく用意してくれたんだし」

鏡介に声をかけると、シンイチと委員長もいっしょに返事をしてこっちにやってきた。

「さぁ、参りましょぉ」

「こら、貴様。いい加減そのしまりのない顔を直さぬかっ」

それにつられるかのように、ヤジローがクリンとシデンに引っ張られながらこっちに来て適当な席に座った。

ヤジローが席につくと、クリンがやっとヤジローの腕を離した。と思ったら、すすすっとこっちに近づいてきて、俺の耳元でささやいた。

「一人陥落しましたよぉ」

思わずそっちを向くと、すでにクリンは俺のもとを離れ、再びヤジローのそばにいた。となると、あの胸を押し付けていたのは故意だったってことか。

ふと、そのクリンが着ているメイド服から、うちのもう一人のメイドのことを思い出した。

そのもう一人のメイド、テルミが、賀茂さんをトイレへ案内すると言って部屋を出たまま、帰って来ないのだ。

まあ、あの抜け目のないテルミだから、何かあったら何か行動を起こすだろう。

「戻りましたえ」

そんなことを考えていると、賀茂さんがテルミと一緒に帰ってきた。

「ただいま、戻りましたでしょう」

「ん、ご苦労さん」

ずいぶん長いトイレだったなーとは思ったが、あっちは女なので自重することにする。(人間というより妖怪に近い存在がほとんどとはいえ)何日か女だらけの環境で生活していたので、ちょっとはデリカシーというものを理解したつもりだ。

「将仁さん、ちょっと、報告したいことがあるでしょう」

すると、近くに来たテルミが、俺に小声で耳打ちしてきた。

「あの方、トイレで本来の目的と違うことをしていた可能性が」

「は?違うこと?」

「はい、ドア越しでよく聞こえませんでしたが、何か小声で呟いていたのでしょう」

「・・・・・・電話でもしてたんじゃないか?ケータイぐらい持ってるだろ」

「そうでしょうか。とにかく、もうしばらく観察すべきでしょう」

「まあ、それは任せるよ」

「はい、それでは」

最後の一言だけを通常のボリュームで言って、テルミは俺から離れた。

「にしてもマサ、お前んちってずいぶん大所帯だなぁ。しかも女ばっか。これ全部親戚なの?」

「ソレについてハー、ミーがexplainするデース」

シンイチが俺に質問してくるが、それに答えたのはバレンシアだった。

すると、視線がバレンシアに集中する。この大所帯の人物関係がどうなっているのか、少なくともうちのモノ以外は気になる話だろうが、俺はこの家の状況を本当に説明するのかが心配になる。

「いらないことまで言うなよ?」

思わず釘をさしてしまうが、バレンシアはこっちを見て自信ありげに笑みを返してきた。

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