02.なんかおかしな展開に その1
9月15日 金曜日
今日は、目覚ましではなく、体中が痛くて目が覚めた。
俺は、なぜかダイニングにいた。しかも、毛布に包まり、床に寝ている。
腕時計を見ると、いつも学校へ行く時間よりかなり早い。
「なんで?」
いつもとあまりに違う状況に、最初に口から出た言葉が、それだった。
起き上がると、目の前に俺の部屋のドアが見える。それは俺の侵入を阻むように閉じられている。
そのドアを目にして、俺はあることを思い出していた。携帯電話とテレビが、女の子の姿になったっていう、まるっきりマンガな世界のできごとを。
「夢だよな、そんな事ありえない。マンガの見すぎかな」
そう自分に言い聞かせながら、でも、少しだけ不安な気持ちで、俺は部屋の扉に手をかける。
もしかしたら、の気持ちもあったので、できるだけ静かにドアを開ける。
遮光カーテンのせいで部屋の中は薄暗いが、その隙間から差し込む光が、朝であることを告げている。
そして、俺のベッドのところに、二つの人影が見えた。
「・・・・・・夢じゃなかったのか・・・・・・」
なんだか、残念なようなほっとしたような複雑な気分だ。
とりあえず、鞄も制服も全部部屋の中にあるので、取りに行かなくてはならない。俺は、二人を起こさないよう、なるべく静かに部屋の中に入っていった。
なんだか、緊張する。ここは元々俺の部屋だ。何も悪いことはしていないが、やっぱり女の子が寝ている部屋に入るとなると、イケナイことをしている気になってしまう。
忍び足で中に入り、壁にかけた制服と、机の前に置いておいた鞄をそっと持ち上げる。・・・・・・なんだか、朝帰りしたお父さんになったみたいでちょっとみじめな気分。
引き返すところで、二人の寝姿が目に入った。
ベッドに寝ているのは、ケイだった。折りたたみ式の携帯電話だった頃の名残なんだろうか、俺から見ると窮屈なほどに体を縮め、丸まった状態ですやすやと寝息を立てている。
そして、そのすぐ横で、まるで看病か付き添いでもしていたみたいに、ベッドの端に顔を伏せ、床に座り込んだ状態で同じように寝息を立てるテルミの姿があった。
その光景に、なんだかほのぼのしたものを感じてちょっと見とれてしまった。
だが、いつまでも見ているのもアレなので、足音を立てないようそっと部屋を後にした。
ども、作者です。
今回から、第2章とでも言うべき部分が始まります。
この小説は、1日が1章というくくりになっていまして、それぞれが結構長くなってしまっているので、発表の際は細切れにしています。
そのため、なんか変なところで終わっているな〜と思われるかもしれませんが、そのへんは大目に見てください。
ちなみに、次話では、また新たな擬人化が現れます。
どんなのが出るのはかお楽しみに。
ヒントは、第1話の背景として出てきた、赤いモノです。