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もののけがいっぱい  作者: 剣崎武興
07.穏やかな日は遠く
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07.穏かな日は遠く その6

きーんこーんかーんこーん。

午前の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。同時に教室の中は待ちに待ったランチタイムに突入するので大騒ぎになる。

大騒ぎと言ってもその行動は様々であり、ロケットスタートで教室を飛び出すのもいれば、のんびりと歩いているもの、机でごそごそとなにやらしているものなど様々だ。中には授業中ぐーすか寝ていたくせにチャイムが鳴ると同時にすっ飛んでいく奴までいる。

ちなみに、日替わりランチなどは人気があるため、あっという間に売り切れになる。

「ねえ、賀茂さん。一緒に食堂行こ」

「せやね、はよう行かんと売り切れてまうさかいな」

クラスの女子に誘われ、賀茂さんも席を立つ。京言葉の印象からおっとりしているように見えるが、賀茂さんは実は意外に負けず嫌いらしい。昨日、食堂で自分が狙っていたB定食が売り切れてしまい、結構悔しがっていた。

「よいしょっと」

一方、俺の後ろの席では、委員長が妙にでかい包みをシンイチの机の上にのせる。

「あれ、俺の分は?」

「あ、ええっと、今日は弟の学校で社会見学があって。弁当持参だったから、お弁当箱をそっちに使っちゃったのよ。箱はひとつだけど、中身はたくさんあるから」

そして、包みの中身は、まさに重箱だった。こいつら、高校の教室の中で臆面もなく二人で一つの弁当を食うつもりらしい。

「裏切り者はほっといて行こうぜ」

俺同様、いたたまれなくなったヤジローが、食堂へ行こうと誘ってくる。だがしかし、俺は今日はそうするわけにはいかないのだ。

「いや、今日は遠慮しとくわ」

「あれ?将仁はん、今日は食堂には行かへんのん?」

賀茂さんが席を立たない俺のことを見て声をかけてきた。

「ん、ああ、今日は弁当があるから」

「「「なにぃっ!?」」」

俺が机の上にその弁当が入ったバッグを置いたその瞬間、俺の周りの人間が一斉にどよめいた。

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