06.季節外れの転校生 その24
「へぇ、もぐもぐ、転校生かい」
「うん、それがね、すっごくいやーな感じなの!」
飯時になってようやく起きてきたケイが、今日学校であったことをぶちまけた。
「ケイさん、口の中にものを入れて喋るのは、お行儀が悪いでしょう」
「でもでもぉーっ、さっきまでケイが寝ちゃったのも、その人のせいなんだよぉ!」
「賀茂さんのことか?挨拶しただけだろう」
「ちがうーっ、絶対違うのーっ!その人、きっとケイになにかしたんだよぉ!」
よっぽど気に入らないのか、ケイは賀茂さんを一方的に悪人にしようとまくしたてる。
「食わないならもらうよ」
その横から、ヒビキがケイの皿に箸をのばし、おかずをつまもうとする。
「あーっ!だめぇーっ!それケイのぶん!」
さすがに取られるのは嫌らしい。そっちに注意が向く。
「でも、その賀茂って人、ケイちゃんにはずいぶんと嫌われたみたいね」
その様子を見たレイカが、動じることなく味噌汁をすする。
「んー、俺は、違う転校生のほうが、気に食わなかったけどなぁ」
「そう。引っ越しのシーズンでもないのに、珍しいことね」
俺の発言にレイカが静かにコメントする。まあ半分は隣のクラスなんだけどな。
「近衛クローディアって言って、超金持ちのハーフなんだけど、こいつがまた高飛車でなぁ。会うなり俺に「しもべになれ」だとよ」
「アイヤー、それはまたひどいコト言うアルな」
「上官よ、まさか了承したのではあるまいな」
「するかっ!」
なんか、思い出すとよけいに腹が立つ。だいたい、クラスメイトが何人もいる前で、本来関係ないはずのやつから高笑いしながらあんなことを言われていきなり屈したら男じゃないだろう。
「ケイちゃん、ちょっといいですか?」
その中で静かに箸を進めていた常盤さんが、その箸を止めてケイに話しかけた。
「今お話しになっていた、賀茂さんって、どういう人ですか?主観を抜いて教えてくれませんか?」
「え?」
物静かに言われたせいか、あれだけ騒いでいたケイまでが一瞬静かになった。
「え、ええっと、なんか、へんな喋り方してた。うちとなんとかとか、なんとかどすぅとか」
「京都のほうから来たそうです」
「あ、そうだ、写メ撮ってたんだっけ。えっと、こんな人」
俺の助け舟で思い出したのか、ケイがそう言って首に下げたペンダントヘッドに何かを写す。いつの間に撮ったんだろうか。
そして、視線がそこに集まるが、画面が小さいため、特に遠い席に座っているレイカやテルミにはほとんど見えないだろう。
だが、常盤さんはケイの向かいに座っていたので、少し身を乗り出すだけで見えたようだ。
常盤さんは、少し考えるような仕草をする。
「賀茂・・・・・・京都・・・・・・」
「何か知っているんですか?」
「えっ、あ、心当たりが、少しだけ」
もしかしたらという程度なのですが、と前置きしてから、常盤さんは話をはじめた。
どうも、作者です。
久しぶりに全員集合です。
今日、はじめて顔を出した子もいますが、もちろんいなかったわけではありません。
さて、常盤さんは賀茂さんについて何を知っているのでしょうか?
それは次回明らかになります。
それでは、次回を乞うご期待!