06.季節外れの転校生 その23
それにしても、あのお嬢様はそーやって奪い取ることしか頭にないのだろうか。それに屈するのは非常に腹立たしいし面白くない。友達だからどうこう言うならまだ納得できるのに。
「Mafter?」
不意に、電話線を咥えたままのバレンシアが声をかけてきた。
「Now, imprudent(不謹慎)らコロ、thinkしまヒェンれヒタか?」
「は?」
なんだ、不謹慎って。マサカ。
「お前、俺があの女を彼女にしたいとか考えたとかいうんじゃないだろうな?」
「Exghachory. (Exactry そのとおり) Differenhoれフカ?」
「んなワケあるか、あんな性格悪い女、彼女にしてもしんどいだけだ」
「Really?」
「疑り深いな、彼女は欲しいけど、会うなりいきなり“下僕になれ”なんて言う女は、いくら金持ちでもどんな美人でも願い下げだね」
「I unrerhyutanro.」
そこまで言って、やっとバレンシアは納得したらしくほっとした表情になった。
「けど、そのお嬢様って、物部神道のこと、どのぐらい知っているんスかね」
奇妙な装置から(まだくっつけた状態ではあるが)やっと開放された鏡介が梨をかじりながらそんなことを口にする。
言われてみると、俺はお嬢様自身から「西園寺家に伝わる力」について聞いたわけではない。お嬢様のボディーガード迅から聞いた「力」という単語だけだ。
いっそのこと目の前で発動させてやろうかと思ったが、9人も擬人化させておいてこう言うのもアレだがいまだに正確な発動方法はわからない(何をしたら発動しそうかは判ってきたが、それも確実ではない)し、もしできたとしても出てきた子がなんとなくひどい目に合わさせられそうで気が引ける。極端な話、どっかの変な研究所に連れて行かれて検査とか実験とかされてしまうような・・・・・・発想が貧困だな、俺。
まあとにかく、あのお嬢様にはうちの連中のことをなるべく見せないようにしておこう、と思った。
どうも、作者です。
今回は短いです。
本当だったら昨日の分に一緒にしてもよい分量なんですが、今度は他に比べて長くなりそうだったので切ってしまいました。
次回、ちょっと賀茂さんに関係する話が出てきます。
乞うご期待!