06.季節外れの転校生 その5
きーんこーんかーんこーん。
「ふぃ〜・・・・・・終ったぁ」
長い長い1時限目がやっと終わり、俺は机に突っ伏してしまった。なんか、だいぶ精神が磨り減ったような気がする。
「真田はん、どないしはりましたん?」
賀茂さんが不思議そうにこっちを見ている。彼女は多分、自分がその原因だとは夢にも思っていないんだろうな。
そうしている間にも、賀茂さんのまわりにまた人が集まりだし、俺は蚊帳の外へと追い出される。
と、その時、不意に携帯がぶるぶると震えだした。学校にいる間は一応マナーモードにしているためだが、それにしても誰からだろう。
開けてみると、携帯の画面にケイの顔が出ている。口の動きと表情で伺う限り、早く出ろと言っているらしい。ってことは、ケイ本人か?
「はい、もしもし」
「もう、早く出てよね、休み時間は短いんだから」
電話に出ると、案の定ケイの声が受話器から聞こえた。
「お前、おとなしくしてるんじゃなかったのか?」
「えー、だから、授業中はおとなしくしてたでしょ?」
「そういう問題じゃないだろ」
「でも休み時間に電話かけたことあるくせにぃ」
「う、それは、まあ、でもなあ」
「大丈夫だよぉ、横から見たら、普通に通話しているみたいにしか見えないもん」
こっちの心配をよそに、ケイはさらっとそう言い放つ。まあ確かに、ケータイを持って話しているのを見て、ケータイ“と”話していると思うやつはまずいないだろうが、しかしバレたときのことを考えると、どうも不安になってしまう。
「人前で、人の姿になるなよ。言い訳がつかんから」
「うんっ!」
こんな近くにいて顔も見ずに話だけして面白いとは思えないんだが、本人がいいというんだから突っ込まないことにする。
そういうわけで、休み時間はケイの相手という、まったく休めない時間になってしまった。
どうも、作者です。
休み時間はケイといっしょの巻です。
まー実際の妹はここまでなつくことはないでしょうし、なつかれたらちょっとウザイという方もおられるでしょうが、まあ軽く流してください。
さて、次回ですが。
前回を読んだ方はおぼえているかもしれませんが、転校生は実は一人ではありません。
というわけで、次回を乞うご期待!