2人
「入社して最初の頃に林さんと一緒に居るといろいろ見ちゃって怖かったけど、最近見てないですよ。」
2週間程僕は新人さんを教えている暇が無い程忙しかった。
「僕も前下君と一緒に居ないと見ないんだよね。最近は案内、契約が多かったからねぇ………」
僕も久しぶりに前下君と一緒に物件を見に行く事になった。
「またマンションですか。自分はあの時のエレベーターの時から微妙にトラウマですよ。」
相田君と3人で行った時のね。
マンションに着いた。
「10階建てですか。部屋は?」
2階なので大丈夫と、謎の安心をさせて二人で上を見た。
「ちょっと待って!前下君!!」
「なんか微妙に揺れてませんか?非常階段で何やってるんだよ!」
7階と8階の間の非常階段で前に若い女性と後ろに若い男性がくっついているのが見えてしまってる。
「最中か?気まずいな……」
と、言いながらもちょっとワクワクしたりして、マンションのエントランスに向かおうとした。
ドサッ!!
鈍い音というか砕けた音が聞こえて思わず振り向く。
若い男女が此方を見て倒れている。
細かい描写は控えます。
「前下君!管理人室あるから。」
僕は安否を、恐らく無理な安否を確かめに近付こうとした。
「前下君。………あっ!管理人室行ったか。」
バタバタと管理人室おオジサンと一緒に前下君が来た。
「ここで、あっ!うちの一緒にいた者が見てま……………」
「林さん。何処に?」
「それがさ、近付こうとしたら居ないんだよ!目を離した感じじゃ無かった気がするんだけど………」
管理人室のオジサンが
「ここで?倒れて??5年前にちょうどここだよ。男女が倒れて亡くなったの。」
「あっ!販売図面に書いてある。告知事項有。」
前下君が気がついた。
「でも、落ちたのが今だったよ。あれは何??」
僕が普通な疑問を話した。
管理人室のオジサンが
「不動産屋さん?知ってたんじゃないの?驚かさないでよ。俺も怖いじゃんか。」
今回もオチなんかありませんけれど、僕と前下君は5年前にあった事件の再放送みたいのを見せられたのだろうか?
あんなに生々しいのが一瞬で消えてしまうって………
皆さんは飛び降りたりしないで下さいね。