居るの?居ないの?
「なんだ。前下も見えるのか?今迄俺はお前が見えるのは知らなかったぞ!」
会社に戻ってきた時に課長にその話を報告してみた。
「あの辺りは結構みんな飛ばしますから、事故多いですよね。でも、横断歩道渡ってるって………」
「交通ルールに則っている幽霊なんだよっ!」
結構会社の話題になってしまった。
「それよりも社長が新しいデジカメ買ってきたから明日物件を見に行くついでに撮ってこい!」
不動産仲介の仕事は物件勝負というのが強いので、広告に使う物件や、会社でPCでお客さんに見せる物件の写真を撮るというのも大切な仕事なのです。
よく広告に載っているやつですよ~
「なんかいいやつじゃないですかっ!で、どうやるの?」
僕は前下君に聞いてる。
「あっ!簡単にできますよ!林さん!」
ピピとなり僕の無駄な横顔が映る。
「あーやっぱりイケメンだわ~」
とか言われたり、
「霊でも映ってないか?」
とも言われたがら普通に僕の横顔だった。
「当たり前だよ。心霊写真なんかねぇ??」
と僕が言っているのを前下君は笑いながらみんなの事を撮っている。
「課長!!!」
前下君が構えたら課長の椅子に偉そうな座りかたで背もたれにふんぞり返る様な格好をしてピピッと撮った。
「今の課長は悪そうだぞぉ~凄い昭和感があったけど。」
と、みんなでガヤガヤ。
「ん?前下君?どうした?」
「課長を自分が撮ったじゃないですかぁ。見てください。」
「なんだ?心霊写真か??デジカメの中だけど。」
そこには課長の椅子と後ろの白い壁が映っていた。
「か、課長は?座席の下には居なかったよね。背もたれに………」
「俺は何処行ったよっ!」
課長もびっくりしている。
「よく心霊写真のやつで、手とか足が無いみたいのは見たことあるけど課長居ないですよね。」
「何も無いってのは心霊写真なのですか??」
「ははは…」
渇いた笑いが出たけれど、本当に課長の存在自体が写真に無かった。
「これ、心霊写真で見せても誰も心霊写真にならないですよ。椅子と壁撮っただけですもん。」
「早くデジカメなんだから消してしまえ!お客さんの追客の電話しろ!」
といつもの営業事務所になった。
今回も勿論理由は分かりません。
言えるのは撮った状況を見ていなければ何も無い写真と言うだけです。
証明写真で撮った時に消えていたらどうします?