永遠の恋だなんて言ってたのにこれは何?
「これは永遠の恋。二度とこれ以上の人は現れない」
なーんて思っていたのに、もっと素敵な人と出会ってしまったの。さあ、私はどうしようかしら?
「長生きはするものよねー!ねえ、お母さま」
ドレスを新調して、母親に見せびらかす私。
「そりゃそうよ。多少嫌なことがあっても、諦めないで生きてたら仰天するようないいことの一つや二つ起こりますよ」
母親はしたり顔でうなずいた。
ああ!私の運命の人!すぐ会いに行きます!
両目をハートマークに輝かせて馳せ参じる。
一体、何度目の恋なんだろう?
初恋は叶わないという話もよく聞くけれど、生きてる間に何度もときめくことができるなんて、若すぎた頃は知らなかったの!
本当に想像もしていなかったことが起きて、今を生きている。
「君のお母さま、不倫されているよ」
物陰に連れ込まれて耳打ちされたのは、愛の言葉ではなく忠告だった。
「ウソ!」
「俺のおじきと不倫してるから」
「うーんん」
軽く目を回す。
「人生舐めちゃいかんよ」
「はい…」
強く生きなくちゃ!
先は長いぞ。