02 『チカコの望み』
02 『チカコの望み』
キンに小遣いの前借りを断られて、泣く泣く田んぼの草取りをして過ごしていた。
ナミとナリとのデートの約束は、田んぼの草取りなんかに化けて幻滅されるかと思ったのだが、二人には何も文句を言われなかった。
今も黙々と草取りをしてくれている。
なんていい女たちなんだ。
ナミとナリは若返り処置を受けていないから、16か17歳だろう。
ススよりも背が高くなり、褐色スレンダー美人になった。
番茶も出ばなと言うが、一番良い時である。
二人とも従順で文句など言わないから、何しても良いのかと思うと妄想は限りなく広がっていく。
「手が止まっているわよ」
残念ながら、監視付きだった。
今日はマナイが月に一度の休暇に入り、ナタリーが長官・局長クラスの打ち合わせでいないので、チカコが見張り役に借り出されている。
チカコは天才のくせに馬鹿だから、本当は領内で一番稼いでいるのに、自分のことを居候の穀潰しだと思っていて、たまに仕事を振られると律儀にこなしてしまうのだ。
「チカコも慣れない仕事で疲れただろう。戻って休んでも良いぞ」
「駄目よ。今日は監視役なんだから」
「俺がいるから大丈夫だよ。安全第一だって」
「あんたが一番危険なんでしょ。ナミとナリにエッチなことするかもしれないもの」
「エッチなことって?」
「の、覗いたり」
「覗いたり?」
「ささ、触ったり」
「触ったり?」
「ももも、揉んだりよ!」
「そうか、ナミとナリにエッチなことをしちゃ駄目なんだな」
「そうよ!」
「でも、我慢できなくなるかもしれないぞ」
「だから私がいるんでしょ」
「そうか、じゃあチカコが代わりに見せてくれるんだな」
「ええっ、そ、そうなの?」
「そうだよ。チカコが見せてくれなかったら、ナミとナリを襲っちゃうだろ」
「駄目よ、そんなこと!」
「じゃあ、チカコが代わりに見せてよ。はい、スカートをめくって」
「し、仕方ないわね」
チカコはスカートを腰までまくり上げた。
薄いピンクのパンツが、大人の身体によく似合っていた。
「何だよ、チカコはパンツなんか穿いてるじゃないか!」
「あ、当たり前でしょ」
「でも、ナミとナリは穿いてないぞ」
「ああ、で、でも、それは……」
「やっぱり、ナミとナリにしようかな」
「待って、駄目よそんなの!」
「でもさあ」
「わかったから、ちょっと待って頂戴」
チカコは涙目でスカートを下ろし、それから手を入れてパンツを脱いでから再びスカートをまくり上げた。
桃源郷がそこにはあった。
薄らとした金髪がキラキラと輝いている。
長い脚とバランスの取れたヒップラインは、最高である。
「ちょっと、後ろも見せてよ」
「ううっ」
何故か言いなりである。
桃源郷の中に更なる桃源郷があった。
男なら『一生、このお尻だけでも生きていける』と思うような完璧なお尻がそこにあった。
暴発寸前である。
「も、もう良いでしょ」
チカコは上気した顔で前を向いた。
まだ、スカートは下ろしていない。
「でもさあ、ナミとナリはブラなんかつけていないよね」
「そ、そんなこと!」
「いいんだよ、別に」
「待って、少しだけ待って!」
チカコはスカートを下ろし、真っ赤な顔を横に向けながらタンクトップを脱ぎ、薄いピンクのブラを外した。
見事に成熟したおっぱいは、極上の色と形をしている。
そして、チカコはスカートをまくり上げた。
「こ、これで良いんでしょ」
天国が現れた。
そこには、女神様が降臨されていらっしゃる。
このまま死んでも良いと思った。
いや、既に死んでいるのかもしれない。
チカコの全身が赤く染まり始めた。
全裸には、羞恥心というソースをかけないと本当のご馳走にはならないのだと悟った。
悟ったのだ。涅槃である。
菩薩様と呼ぶべきだろうが、女神様でも構わないだろう。
「さ、触ってもいいか」
「す、少しなら」
俺は樹脂手袋を外し、手が汚れていないか確認してからチカコの背中に左手を回して支えながら、右手で天女の完璧なふくらみを触り揉んだ。
「あっ、ああっ」
チカコは甘く浅く愛らしい吐息を吐き、色っぽい声を上げた。
俺は一生この女ひとりだけでも良いと思った。
それぐらい完璧だった。
しかし、それは間違っていた。
いつの間にかナミとナリが来ていて、俺の左右から抱きつき、身体を押しつけてきた。
ふたりとも目が潤み、上気している。
柔らかさが3乗になり、天国の上に天国があった。
俺はチカコの口を吸い、ナミの口を吸い、ナリの口を吸った。
勿論、おっぱいも揉んでいたが、誰のかはもうわからない常態だった。
そして、大量の鼻血を出して、気を失った。
天国の後には、当然のように地獄があった。
自分の部屋のベッドの上で目覚めたが、そこには張り詰めた空気が漂っていた。
ヨリの瞳は、悲しみと言うよりは哀れみだった。
ミサコは睨んでいて、右手に持っている六法全書のような分厚い本が小刻みに震えている。
ミヤビは明らかに蔑みの瞳をしていた。
サクラコは目も合わせてくれない。
カオルコは手を振り上げたまま、カナに後ろから羽交い締めにされている。
リンは泣いているアキを慰めていて、部屋の隅ではクラとロマが抱き合って怯えている。
ルミコは肩をすくめた。
既に有罪は確定しているようだった。
「あなた、命令でするのは、合意ではなく強姦ですよ。この星では誰も逆らえないのですから」
ヨリが静かに話し始める。
「それも同時に3人なんて、何を考えているのですか」
「いや、ちょっと予想しない出来事があって」
「だとしてもひどすぎます。3人とも血だらけで、どれだけ心も傷ついたことか。まだ、何も話せない状態ですよ」
「血だらけ?」
「3人とも初めてだったのです。知ってるでしょう? 惨いことをして…… ひとりずつならきっと合意してくれたのに……」
「すまない」
確かに3人は拙かったよな。
俺も興奮しすぎだった。
鼻血を吹き出すなんて、何処の童貞だよ。
「助けを求める声を聞いて駆けつけた、侍女見習いたちも動揺してます」
「そうか、チカコが呼んだんだな」
「何言ってるんです。あなたが襲ったのでしょう」
「違うよ。ちょっとふざけただけで」
「女にとっては、おふざけでは通りません」
ううっ、部屋の空気が重すぎる。
「すまない、ちょっと興奮して鼻血を出し過ぎた。本当にごめん。許してください」
俺はベッドで土下座した。
意外にも、そこでは初体験だった。
今後は、結構やることになるかもしれない。
「鼻血?」
「血だらけになったんだろう?」
「えっ?」
「えっ?」
暫く室内は沈黙と困惑が支配しているようだった。
「クラ、お願い。チカコが大丈夫なようだったら連れてきてください」
「はい、ヨリ様」
いたたまれない、長い時間が過ぎてチカコが現れた。
「あんた、もう大丈夫なの?」
その声には、本当に俺のことを心配している感じが強く表れていた。
「ごめん、心配かけたな」
「本当よ。あんなに出血したら普通死ぬんじゃないかと思うわよ。私たちも血まみれで大変だったんだからね」
「助けを呼んでくれたんだって?」
「まあ、近くに見習いが何人かいたんだけど、驚いてあまり役に立たなかったわ。直ぐにヨリコとカナコを呼んでくれたから何とかなったけど、私の手柄じゃないわ」
「それでも、ありがとう。チカコ」
「今度、何か奢って貰うわよ」
「ああ、何でも奢るよ」
室内の空気は、呆然といった雰囲気に変わった。
ヨリの瞳は、今見れば苦悩だったのだとわかった。
「チカコ、あなたは自分じゃなくてユウキを助けてって言ったのですか」
「そうよ、当たり前じゃない。出血してるのはあいつなんだから」
「ああ、神様」
ミサコが膝をついて涙を流した。
それから次々とソファに倒れ込んだり、床に座り込む者が続出した。
「あれはきっと、欲求不満という奴に違いないわ」
チカコは得意そうに、そう解説した。
「犯されるとは思わなかったの?」
カオルコが質問すると、
「私は12歳の頃から、もう9年近く裸の星であいつと一緒にいるのよ。そんなことが今更起こるわけないでしょ」
みんな、チカコのおっぱいを揉んでは殴られるを繰り返してきた俺の日常を思い出し、『それもそうか』と、納得するのだった。
だが俺には、チカコが9年間領地から一歩も外へ出ていないことが気になった。
それに、俺の僅かな理性をそんなに信頼するなよな。
あと、裸の星とか言うなよ!
とはいえ、現実的には完全に無罪放免ではなく、叱られたり、文句を言われたり、叩かれたり、拗ねられたりした。
侍女や見習いたちの間では『強姦』の噂も流れたが、時が経つと『領主様に鼻血を出させる魅力』が噂の主流になっていった。
その後、ナミとナリが隠れてだが積極的にキスしてくるようになった。
しかも、あれ以来チカコはナミとナリと仲良く過ごすようになって、そういうときにチカコも混ざるようになった。
時々なのだが、ドキドキだった。
領地内は学生が多く、息子や娘たちもいるので、結婚年齢は16歳に変更してあった。
中学生は侍女見習いと、立場が確定したからでもある。
実際は結婚式ばかりしていては、立ち行かないからなのだ。
若返り処置者は年齢のカウントが確立していないので、自己申告だった。
実際に子供が欲しい妻たちばかりなので、7人で1週間を埋めて、妊娠した者が抜けて新たに結婚ということになって来ると、大体毎月一度は結婚式を挙げることになった。
式が一度でも、人数が4人とかいうこともあったが。
出来るだけ年齢が上位のものからと思っている。
例えばパドマだが、28歳になりふたりの子持ちである。
今はデリーで子育て中だが、意外と良い母親ぶりだった。
サクヤはお祝いにウイグル族の国を作るとか言い出したので、なだめるのが大変だった。
マリーも継承権の問題でお腹を大きくしたままイギリスに一時帰国している。
子供は乳母に預けるかもしれないと言っていた。
最近では若返りの連中も、妻から婚約者に立場を切り替えるようになってきた。
やはり、結婚式をしたいし、ハネムーンにも行きたいかららしい。
だが、ナミとナリは処置を受けていないから、ここでは適齢期を過ぎている。
セバスみたいな祖父がいれば、怒鳴り込んでくる年齢である。
ロシア大陸も中国大陸も外交の忙しさは手を離れたから、ふたりとも少し余裕が出来ている。
自分たちからは何も言い出さないタイプだから、結婚して妻の邸で暮らして貰おうかと思う。
まあ、チカコは望まないだろうが。
実は、ギルポンとナルメがずっと期待して待っているのだ。
クラとロマは高校休学中で、飛び級した分を俺の行方不明騒ぎで使ってしまった。
この秋には復学し、卒業までは帰ってこないし、結婚も出来ない。
それで、ナミとナリである。
年齢も侍女の中では上の方だし、地位も高い。
ギルポンもナルメも村出身の妻がはやく出来て欲しいのである。
新しい村からドンドン村長推薦が出てくると、出し抜かれるかもしれないと思っているのだ。
サンヤやニタなど、既に息子の祐馬と祐人に妻候補を送り込んでいるのだ。
祐馬は来年、タルト村小学校に入学予定だが、年上の妻候補3人と仲良くクラスメートだろう。
ニタの孫のリタは8歳ぐらいだが、やはりお姉さんの魅力だろうか、祐馬はリタのスカートめくりしかしないのだ。
新参の村長たちは、今のところ俺への妻候補を出すことで苦心している。
それがわかるのか、10人委員会も母親10人委員会も焦り始めて、自分たちの結婚式の計画を推し進めるようになった。
式に呼ぶホエール人招待客の選定も始めている。
何度も呼ぶと迷惑だから、『一度で済ませるように』と言ってもブーたれる連中ばかりだが。
推定13歳になったラーマは、結婚よりもおっぱいが気になるようだった。
まだ、気配がないのである。
実は、セリーヌと豪華は妻になっている。
ふたりは、男の子を産めば次代のホエール代表にするという約束を、260星系の首相たちにして貰ったのだ。
その頃には、きっとホエール、エリダヌス、ペガスス、へびつかいの4星座の代表と言うことになるだろう。
どんな時代になるのか、想像もつかないけどな。
チカコの望みは『イチゴジュース』だった。
ホエールの最高権力者の娘で自身も天才のくせに、そんなものを望むなんて、なんてお手軽な女だろうと密かにほくそ笑んでいたのだが、これが結構難物だった。
何でも奢ると約束したので、頑張らなければならない。
朝摘みの新鮮なイチゴを凍らせておいて、ミキサーで氷ごと砕いて蜂蜜を入れて出したのだが、直ぐにNGを出された。
「こんなんじゃないわ」
凍らせていない新鮮なイチゴで作り直したが、やはりNGだった。
「舌触りが悪いし、味も薄いわ」
「イチゴの品種が違うのか」
「イチゴが悪い訳じゃないわよ。あんたの腕が悪いの」
木綿豆腐のように布で包んでつぶしてNG。
すりこぎとすり鉢でNG。
麺棒で叩いてNG。
「段々、悪くなっていくわよ」
「お前も少しは協力しろ!」
「自分で作れるぐらいなら、とっくに作っているわ」
「はあー、それもそうか」
それからも色々試したがNGの連続だった。
「もっとドロッとしていて、サラッとしていて、香りが強いのよ」
「何処で飲んだんだよ、そんなもの」
「昔、お祖母様の婆やが作ってくれたのよ」
お祖母様って、セリーヌのお母さんだろうな。
豊作氏のお母さんは銀行家だからないだろう。
つーことは、フランスの製法か。
内緒で、セリーヌとカオルコに調べて貰ったが、それっぽい情報は何もなかった。
お祖母様はフランスで健在だったが、婆やは亡くなっていて、よくわからないそうだ。
謎のイチゴジュースはチカコだけしか飲んだことがないようだ。そこも謎だった。
その間にジューサーを試してみる。
「感じが似てきたわ。味は駄目だけど」
一応、手がかりは手がかりだろう。
その後、イチゴを煮てみたり、ジャムを混ぜたりしてみたが、どうにも美味しくならなかった。
チカコがイライラしてきている。
そこへ、クラがクノを案内してきた。
「領主様、喫茶ギルポンのイチゴジュースをお持ちしました」
クノがおっかなびっくりテーブルに置いてくれるのを、少し幸せな気分で眺めているとチカコがキレた。
「これはイチゴミルクじゃないの!」
チカコは、クラとクノのおっぱいを見比べている俺に、イチゴミルクをぶっかけて出て行ってしまった。
「領主様、大丈夫ですか」
「チカコ様、ひどいです」
しかし、クラとクノのふたりに世話されて、俺は幸せだった。
どさくさに紛れて太股やお尻に触れられたからだが、それは内緒である。
翌日、アキとサクラコとサラスを招いて、チカコが『似てきた』と言ったイチゴジュースを試してもらった。
「美味しい!」
「こんなに美味しいジュースがあったんですね」
「凄いです」
専門家3人の意見に俺も賛成票を投じたい。
だが、チカコがNGを出しているから駄目なのだ。
イチゴジュースを奢る約束をしたのは俺自身なのだから。
暫く昨日の試行錯誤を説明していると、入り口からチカコが覗いているのが見えた。
一応、悪かったと感じてはいるようだ。
だが、俺と目が合うと咳払いして、偉そうに入ってきてソファに座った。
「それで、少しは進歩したの!」
くそう! 偉そうに!
約束してなければ、裸にしておっぱいを揉みまくるぐらいはしているところだ。
いや、それで失敗して今のこの状態があるのか。
少しは学習しろよな、俺。
「十分に美味しいよ、これ」(アキ)
「これでも駄目なんですか」(サクラコ)
「想像できません」(サラス)
「美味しいけど、私が飲みたいのとは違うのよ」
こういうのをドヤ顔と言うんだろうな。
その後、みんなで検討していると、マナイとサードがやってきた。
まあ、凶報のたぐいだろう。
「ドウトンボリ村にアシヤ族が押し寄せて来たそうです」
メナイの部下からの報告が、マナイに来たようだ。
ドウトンボリ村長は旧名小堺睦夫で、元大阪市の職員である。
農家の三男で32歳の童貞だったが、今では55人もの妻を持つ可哀想な人でもあった。
実は、妻候補者が100名以上いたのだが、移民を決断するまでアンドロイドと生活していた。
しかし、ある時我慢の限界を超えたのか、
『やってられるか、こんな生活!』
と、突然移民を申請し、10石の畑の開発に乗り出した。
まあ、男としては正常な反応である。
毎日毎日、美しい少女たちが妻になりたいと押し寄せてくるのである。
3年近くも我慢し続ける方が希だと思う。
大阪市長は怒り狂ってドウトンボリを懲戒免職にした。
アンドロイドも大阪市の備品なので返還することになった。
(アンドロイドを地球に戻すのは購入費用より高く付いたが、市長は強引に回収を行って、議会に無駄遣いだと指摘され再選はかなわなかった。後任を送り込むだけですむのに、何故市長がそうしなかったのかは謎になっている。いや、後任も同じことをするよな、きっと)
アンドロイドが開発した300石の試験田畑は、当然放棄である。
大阪で大人気の『すき焼き猪』は、飼育中のものを全部大阪市に贈ってしまった。
エリダヌスでは、自力で10石開発しないと『本農』として認められず、法によってアンドロイド等の機械は導入出来ないのである。
ドウトンボリはどうしても諦めきれなかった3人の少女を妻と認め、4人で頑張って畑を10石開発し、先々月ドウから『本農』の資格を貰い、同時にギンから『村長』として認められた。
俺は『ドウトンボリ』の名誉称号と警備用アンドロイドを1体贈った。
その後、破棄された試験田畑の半分ほどが、50人の少女たちの手によって奇跡的に維持されていたので、侍女ふたりを送り込み全員をドウトンボリの妻とすることで、ドウトンボリの田畑にすることを許した。
ドウトンボリは昼も夜も死ぬ思いをしている。
幸せになれただろうか。
バラモンの指導が必要だろうか。
それはともかくとしてだ。
ドウトンボリ村の戦力は、アンドロイドが1である。
村長は戦闘経験どころか、殴られた経験もない。
いや、中学時代に更衣室を覗いて、女の子たちに袋叩きにされた経験しかない。
「助けにいくか」
戦闘にしろ、飢えにしろ、俺が行って片付けた方が早いだろう。
「だ、駄目よ!」
突然、チカコが俺の腕を掴んだ。
「ジュースよりも人命の方が大事だろう」
「違うわ。あんたが行くと、また女ばかり20人も30人も連れてくるからよ」
それって、もしかして焼き餅なの? チカコさん。
アキが驚愕しているし、サクラコは涙目である。
サラスは生暖かい目で見ているから、そうなのかもしれない。
マナイはポーカーフェイスというよりは、無表情である。
チカコのプライベートと判断したのだろう。
結構、凄い人物である。
「ち、違うのよ。ナリとナミが折角上手くいってるから……」
チカコ自身が、ここで何を言っても拙いと気づいたのだろう。
俺の腕から手を離すと、離れたソファに座り直して俯いてしまった。
やっと、思春期かチカコ。耳が赤いぞ。
これからは、おっぱい揉みを本気で嫌がるかもしれないな。
だが、今は追求すまい。
「アシヤ族って60人ぐらいの部族だよな」
「そうです。戦士は10人程度です」
「D3型アンドロイドで大丈夫だろうか? サード、どうだろう?」
「心配はいらないと思います。それより問題は飢えでしょう、ボス」
確かにそうだ。
前回はスイタ族に芋と肉を配ったら、味をしめて何度も来るようになったのだ。
餓死者が出そうだったので仕方なく決断したのだが、彼らはそれでも農民になる気がないようなのだ。
男を何人か揃えて、少女を吸収しないと部族は危機感を覚えないようだった。
ただ、助けるだけでは問題は解決しない。
ドウトンボリに友人を移民として招くように言ったのだが、ネット上の友人しかおらず、農民は嫌だと断られている。
気合いの入った童貞もいるのだ。
また、面接でもやるか。
しかし、端末を操作ってないと死んでしまうような連中が、ユンボを要求するだけだしなあ。
思い切って外国人にするか。
日本には農業だけで生活出来るような人材はいないからなあ。
人種差別をする気は無いが、何となく日本列島には日本人以外を移民させたくない。
ロシア大陸や中国大陸なら抵抗はないのだが、不思議だ。
これが愛国心というものだろうか。
「日系人ならば、よろしいのではないでしょうか」
またしても案内役にされていたクラの苦笑する姿の前に、深紅のチャイナドレスの少女がいた。
前髪は綺麗に揃えられているが、後ろは真ん中で分けられて両把頭に結い上げられ、深紅のシニヨンキャップで飾られリボンが流れている。
深紅に白がポイントされている羽扇まで持っている。
漢民族ではなく満州人なのかもしれない。
日本のアニメで勉強した程度の俺では、その辺りのこだわりは見分けられない。
16歳、Cカップ。
俺にわかるのはそれぐらいである。
いやいや、そうではない、冗談ですぅ。
まあ、でも、お嬢様だというのは想像できる。
小姐とかの敬称でよかったんだっけな。発音には自信がないけど。
ここには本当のお嬢様がいっぱいいるのに、着飾ったところはあんまり見かけない。
むしろ、裸でうろうろしている感じだ。
着飾ったお嬢様と裸のお嬢様は、一体どちらが美しいのだろう?
今度、男友達に聞いてみようか。
けれども、これから起こるであろう騒動を乗り切ってからだな。
やっぱり、観光気分でマサイに行くだけでは済まないことが良くわかった。
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