表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/26

19 『天敵』

 19 『天敵』




 ペイルホエールは、涼しい気候の星だった。

 真夏でも最高気温は25度ぐらいで、30度というのは記録的な猛暑になるという。

 冬は大体、氷点下5度から10度で、淡い太陽を見るとそんな感じがした。

 実際には紫外線が強い太陽なのだが、星間物質が多いせいかぼやけて見えるらしい。

 だが、その星間物質が紫外線を和らげる効果もあるので、メリットもあるのだ。


 星間物質は、時間と共に惑星や恒星に吸収されてしまうだろうと思ったが、実は木星型の巨大ガス惑星が時々思い出したかのように噴火して、まき散らし続けているらしい。

 その成分は、殆どが水素で、ヘリウムと窒素が少し含まれている。

 回収してもコストの方が大きくなるので、放置してあるのだという。

 危険な兆候は何もなく、夏場と山では少しだけ紫外線対策をした方が良いだけらしい。


 旅客便はペイルホエール軌道上のステーションに到着し、そこで豊作氏は別便に乗り換えて帰って行った。

 京太郎氏が喜ぶ光景なんぞ見たくないと言っていたが、意地っ張りなだけである。

 だが、主役になれないところに長居しても、つまらない思いをすると思うので、正解かもしれない。

 タルトとコラノは艾家のメイドが1日観光に連れて行ってから、一足先に旅客便で帰ることになった。

 帰りは、カテレヤが面倒を見てくれるという。


 面倒を起こすだけじゃないのか?


 だが、娘二人がこちら側に残ったので、あんまり心配しないことにした。


 俺はつい保護者ぶってしまうが、タルトもコラノも人類であり、大人であり、大村長と大幹部なのだ。

 故郷では皆に尊敬されている。


 マサイでは娼館通いもしてきたことだし。


 俺も一度で良いから行ってみたかったが、月に400リナの小遣いじゃ心許なかった。

 まさか、内務長官に娼館に行くから小遣いをくれ、などと言うわけにはいかないだろう。


『お兄様!』

『冗談だよ、カレン』

『まったく、お小遣い減らしますね』

『そんな! カレン!』


 やましいと思うことはやらない方が良いに決まっているのだが、人間とは弱いものである。


 イケメンとヒミコはシベリアンタイガーとバッファローの付き添いで、動物園の貨物艇で先に降りていった。

 俺たちはステーションのサービス機で首都ペイルの中心街に降り立った。

 ホエール銀行のペイル支店長は、連絡を受けていたからか屋上のシャトルポートで出迎えてくれた。

 真面目な銀行員のおじさんって感じだ。


「ユウキ代表。お待ちしておりました」

「金塊が20個ほどあるんだけど、エリダヌス財務省の口座に振り込んで、滞在中だけ口座が使えるカードを発行してください。手数料は1割で良いですか?」

「いいえ、総支配人から粗相のないように承っております。代表から手数料など頂けません」

「しかし、銀行業なんだから規定の手数料は受け取ってください。本業は疎かにしてはいけませんよ」

「はは、では正規に手続きをしておきます。ただし、ご案内に秘書をお付けしますので、何でもお申しつけください」

「買い物に行くから、案内は助かりますよ」



「それで、何処から行きましょうか?」


 早速、秘書の女性に質問される。

 30前後の地味だが品の良い女性である。

 だが、長い黒髪はあまり手入れが行き届いていないような気がする。

 デジャブみたいなものを感じたが、気のせいだろう。


「うーん、最終的には艾家に行きますので、それなりの格好をしたいですね。何しろマサイで半月もハンティングしていたからなあ。だけど、食事もまだなんですよ」


 ナミたちはキリン柄の上下にシマウマの靴とバッグだから、エリダヌス人としては上等すぎる。

 しかし、ホエールでは海辺のような格好だろう。

 ビーチリゾートに来ているような感じである。


 俺は相変わらずイギリスの探検隊の衣装で、今は上着を脱いで、ワゴンセールのTシャツ1枚である。

 気温20度だから平気だが、ビジネス街だから浮浪者か何かにしか見えないかもしれない。


 カリーナとセリーナは地味なビジネススーツ姿だ。

 おかしくはないが、格式のある家を訪問する格好ではない。


「それでは、全部揃う場所がありますので、そこに行きましょう。すぐ近くですし」


 案内人が言うのだから、従った方が得である。

 俺たちは、業務用エレベーターで1階に降りると、ビルとビルの間から表通りに出て、通行人たちの視線を浴びた。

 まあ、主に妻の4人だが。


 部隊は自然とフォーメーションができていた。

 先頭に俺と秘書、後ろがナミとナリ、その後ろがパリーとエリザベス、左右がカリーナとセリーナである。


 魔物が出るような場所ではないが、何となく田舎者はオフィスビルが建ち並ぶ都会では警戒してしまうのだ。


 しかし、流石は京太郎氏の本拠地である。

 ビルは殆どがマスコミ関係で占められている。

 雑誌やプロダクションも多く、芸能関係も同じように集中しているようだ。


「本物のアイドルや女優が歩いていることもあります。ひと目見たくて地方からファンが来てることも珍しくありません」


 秘書はそう言っていた。

 しかし、俺はアイドルとか女優とかには興味はなかった。

 何しろ、60年以上も宇宙で孤立していたのだ。

 今時のものは何も知らなかった。

 音楽なんかも良くわからない、田舎者なのだ。


 やがて目的のビルに着いた。

 看板には『ペイル・カナホテル』と書かれてあった。

 看板は新しいが、建物は由緒がありそうだった。


 入り口の段差の軽い階段の途中でビルを仰ぎ見ていると、目立つ少女と取り巻き?のようなグループが出てきた。

 その少女は、ナミたちを見て驚いたのか、階段を踏み外した。


「危ない!」


 何人かが叫ぶ中、俺はすっと飛び込んで少女を支えた。


 お礼はいいが、惚れるなよ。


 などと、良い気になって格好つけていると、顔を張り飛ばされ、悲鳴をあげられた。


「きゃぁぁぁ、変質者よぉー、誰か助けて!」


 まだ、姿勢が安定してもいないのに叫んで暴れる。

 だが、手を放すのも危ないのだ。


「こら、危ないから暴れるな。静かにしろ!」

「嫌よ、いやー」


 まったく、どうすりゃ良いんだよ!


 すると、勘違いしたホテルの警備員が飛んできて、俺を押さえようとする。


「こら、お前、何している。大人しくしろ」

「ぐえ」

「きゃああああ」


 俺の腕の中で暴れる少女は、一緒に押さえ込まれ、更に悲鳴をあげた。

 一人では無理だと思ったのか仲間の警備員が次々に出てきて、良くわからないが上に乗り、押さえ込もうとする。


「こら、暴れるな。大人しくしろ」

「ぐえ」

「きゃああ」


 すると、更に警備員が来て、更に警備員の上から押さえ込み、俺は少女が潰れないように懸命に支えている状態になった。


「大人しくしろ!」

「ぐえ」

「大人しくしろ!」

「ぐえ」

「大人しくしろ!」

「ぐえ」

「大人しくしろ!」

「ぐえー」

「もう駄目、許して、お願い」


 それは、俺の台詞だ!

 これ以上は支えられないぞ。

 一体、何人の警備員を雇ってるんだよ。

 カナ! 教えてくれー!



 俺を助けてくれたのは、こんな時に一番会いたくない人物で、俺が警官隊に手錠をかけられた時だった。


 少女は無事だったが、救急隊員による検査を受けながら、刑事か何かに事情を聞かれていた。

 お約束で、マスコミが取り巻いている。


 無理矢理とか突然とか聞こえてくるから、ろくなことを話していないだろう。


「祐貴ちゃん、若いからって衝動を抑えないのは駄目よ」

「そうそう」

「セルジュ! クララ!」


 セルジュというのは、ジャン=アントワーヌ・小鯨氏で、ルミコの父親である。

 何故、セルジュと呼ばせるのかは不明だが、一説には昔の男がそう呼んだからと言うものがある。

 隣は当然、小鯨クララコ。

 ルミコの母親である。

 セルジュの言うことに何でも『そうそう』しか言わない人だが、変な人では、いや、変な人だ。

 ルミコと同じで面白がりなのだ。

 仕事はできるのだが、野次馬というのか傍観者というのか。


 二人とも『貧乏暇なし』とかで、エリダヌスに来たのは最初の一回きりだが、ナナ&サラサの件で何かと世話になっていて、毎日のように連絡を取り合っている仲なのだが、どうにも苦手な相手なのだった。

 いつも、仕事を増やすなと叱られている。

 特にセルジュは、公式の席以外では、ゲイバーのナンバーワンとかの印象が強いのである。


 ゲイバーなんて行ったことないのだけれど。


 世話になってる親しい間柄だからこそ気恥ずかしいというのもあった。

 無様なところを見られたくないし。


 警官隊の一部は目を白黒させている。

 委員会のお偉いさんが現れたからだ。


「まあ、シオンに目をつけたのは趣味が良いわね。なかなかお目が高いわ」

「そうそう」

「シオン?」

「ええ、あなたが白昼、往来で、堂々と、情交しようとした、あの子よ。つづみシオンって言うの。まあ、京太郎が手塩にかけて育ててきた、売り出し中の新人女優よ」

「そうそう」


「情交しようとなんて、してませんよ!」


「あら、残念ね。しちゃえば良かったのに。祐貴ちゃんに刃向かった京太郎が、レーザーで焼かれるペイルホエールを目の当たりにするところなんか、是非とも見学したかったわね」

「そうそう」

「そんな過激なことはしませんよ」

「あなたがしなくても、オペレッタちゃんはすると思うわ」

「そうそう」


 オペレッタは、そんなことしない、かも、だろうと思う。

 いや、名目があれば、何でもしそうで怖いのだが。

 それより、何でこんなことになったのだろう?


「それは、ここの馬鹿な人たちがあなたのことを知らないからよ。本当にお馬鹿な人たち」

「そうそう」

「祐貴ちゃんも、ストーカーみたいな格好ではなく、ライオンの腰巻きでもしてくれば良かったのよ。蛮族の王なんだから」

「そうそう」

「俺は蛮族でも、王でもないんですけど」

「ここではそうなっているのよ。蛮族とか裸の星とか」

「そうそう」

「マスコミ操作ですか?」

「正確には情報遮断ね。例の天気予報のせいで、京太郎が気に入らないだろう情報は、部下たちが勝手に自主規制しているのよ。京太郎に対しての自主規制ね。それで、物事が正確に伝わらないから憶測ばかりになってね。まあ、首都であるこの辺だけなんだけど、マスコミの王なんて可哀想なものだわ」

「そうそう」


「あの、小鯨様。よろしければ事情をお話くださいませんか」

「ちょっと待ってね。もう一人面白い人物が現れたから」

「そうそう」


 その人物は、ホテルから出てくると、全員を見回して一喝した。


「うちのホテルの前で、何の騒ぎだ。何、変質者だと、どいつだ」


 どうやらカナホテルのお偉いさんというか、支配人なんだろうな。

 セルジュもクララも、知らないふりをしている。


「こいつか。警部、この薄汚いのを早く連れて行って始末してくれ」


 俺を一瞥して支配人はそう言うと、警部の話も聞かないでシオンの前に行って平謝りした。


「鼓シオン様。あの変質者は誓って当ホテルには関係ございません。どうぞ誤解なきよう」


「尊大で小心で、馬鹿だわ。おべっかぐらいしか取り柄がないけど、直胤なおつぐも末端までは監視できないしね。まあ、情報的には島流しでもあったのだけど」

「そうそう」


 直胤なおつぐとは高鯨直胤氏のことで、カナの父親である。

 支配人の上役と言えば上役だが、セルジュの言うとおり支配人は営業本部長の部下であるから、取締役会ぐらいしか把握できない直胤氏が悪いとも思えない。

 武術が好きで、委員会では一番まともな人である。

 妻の政子さんは、まあ、母親10人委員会に所属するぐらいだから、何とも言えないのだが。

 カナホテルの監督、とか言っては領地に来て、カエデたちとキャーキャー騒いでいる。


「あの、小鯨様。そろそろ容疑者を何とかしたいのですが」


 警部はホテルの支配人に言われて、俺を何とかしないといけないのだろう。


「そうねえ。どうしようかしら」

「そうそう」

「セルジュ?」

「そうね。試して良いかしら、祐貴ちゃん」

「そうそう」


 クララが楽しそうだ。

 この人が楽しそうなのは非常に拙いような気がする。


「何を試すんですか?」


 セルジュは楽しそうに笑うと、空に向かって叫んだ。


「オペレッタちゃん、助けて! ユウキが大変なことにー!」


 どうん!


 無人の警察車両が大きな音を出してから、溶けて小さくなっていく。

 衝撃はたいしたことないが、周辺にはパニックが起こっている。

 だが、誰も原因がわからない。

 いや、俺とセルジュとクララを除いてだ。

 警部と警官隊の一部はレーザー攻撃だとわかってスタンガンを抜いているが、何処に向ければ良いのかわからないようだった。

 レーザー砲など軍しか持ってないし。


 しかし、未来的なデザインの着陸艇が現れると、みんな呆然として眺めるだけだった。

 とても静かに着陸艇が着陸すると、この世のものとは思えない美少女が降りてきた。


 ぶっ!


「ユーキ、無事?」

「それよりオペレッタ、タンクトップぐらい着てこいよ」

「これ、正装」


 オペレッタは巻きスカートをめくって見せた。

 ロリ巨乳が一緒に揺れる。

 勿論、ノーパンだった。


 どおおお!


 警官隊も警備員もマスコミも、声もなく響めいた。

 ニュースキャスターたちは、声も出せないでポカンとしている。


「そうかもしれないけど、ここでは違うからね!」

「それより、ユーキ。この星、焼いて良い?」

「駄目だ」

「じゃ、都市だけ」

「俺たちも死んじゃうだろ!」

「脱出してからなら良い?」

「駄目」

「つまらない。レーザー撃ちたい!」

「もう撃っただろ! これ以上ワガママ言うなよ」

「セルジュ。良い?」

「うーん、私が帰ってからにしてくれるかしら」

「そうそう」

「じゃ、待つ」

「駄目だからね!」


 何てことなのだろうか。


 ホエール情報部のボスは、委員会の中でも一番頻繁に連絡を取り合っていた仕事仲間なのだった。

 俺が疑いもしなかった人物で、この目で見なければ信じそうにもなかった。


 だが、確かにナナ&サラサから、俺の行動も資産状況も部下の人員規模もすべて筒抜けである。

 店では年に2回、制服を供給しているのだ。

 あそこでは侍女も女官も、何でもおしゃべりしていてもおかしくない。

 省庁は何も隠し事はしないのだから、余計にナナ&サラサの情報が漏れる方が拙いのだった。


「そんなに簡単に明かして良かったんですか?」

「あら、何のことかしらねえ」

「そうそう」


 確かに、この人たちが認めても認めなくても、何かが変わるとは思えなかった。

 今更、ナナ&サラサの情報を隠しても遅いし、大体、この人たちがいないと事業が行えないのだ。

 事業の9割は、小鯨家に依託しているようなものだった。


 はあー。


「俺もお馬鹿さんのひとりだったんですね、セルジュ、クララ」

「お仕事増やさないでねって、いつも言ってたでしょう」

「そうそう」


 それは、ナナ&サラサのことだと思っていました。


 しかし、オペレッタまで共謀しているとは。

 面白ければ、それで良いのか。


 待てよ。


 そうなると、面白がって野次馬をしているルミコも一味だったのか。

 仕事もしないくせに、会議にはきちんと出席してたのは、情報収集か。

 まったく、食えない親子である。




 それから、暫くして妻たちは解放され、俺の前には這いつくばる人物が何人もいた。


 ホエール銀行の秘書。

 ペイル中央警察署の警部。

 カナホテルの支配人。

 女優の鼓シオン。

 淡鯨家の第3執事長とか言う人。

 警察官多数。

 ホテルの警備員10名。


「ご案内役を申しつかりながら申し訳ありません」

「ご無礼はお詫びしますが、犯罪は見逃せません」

「どうかこのことは上には内密に」

「すみません、すみません」

「どうか、私の首1つで、惑星を焼くのだけはご勘弁を」

「ははー」

「へへー」


 ホテルの入り口には、『エリダヌス王御本陣』と書かれた看板が掲げられていた。


 俺は何故かホテルのボーイが運んできたソファに座らされ、階段の一番上にいて、後ろには妻たちが並んでいる。

 妻たちの中で戦闘向きなパリーが、怒りに震えていた。

 マサイ製のレーザーライフルを持ってくるんだったと顔に書いてある。

 セリーナとカリーナも悔しそうだ。

 自分たちが付いていながら、とか思っているのだろう。

 だが、3人は妻たちを必死に守っていた。

 それだけでも十分にありがたい。


 でも、人を助けようとして逮捕されるなんて思わないよね。

 都会は怖いところだ。

 ああ、農村に帰りたい。


 それと、オペレッタ。

 第3執事長を焼かないでね。

 首の所をロックオンするのは、本当に怖いからやめて!

 それから、そのトップレスを何とかして!


 セルジュは階段の中段辺りにクララと共に立ち、這いつくばる『罪人たち』に刑を申し渡す役割だった。


 勿論、周りにはマスコミが詰めかけていた。

 大通りは閉鎖され、大変な騒ぎである。

 新たな警官が動員され、縄を張り閉め出している。

 何でこんなことになっているのだろう?


 セルジュはボーイに持ってこさせたディスプレイで事件を再現しながら解説し、外交上、全員が有罪だと断言した。


「まずは秘書の小野川さん」

「はい」

「小野川千秋だったかしら?」

「はい、そうです」

「あなたの罪は?」

「はい。ユウキ様をサポートし役に立つべき所、何もできずに犯罪者にしてしまいました」

「じゃあ、あなたはあの馬鹿の愛人を辞めて、辺境で処女再生して、蛮族の王の性奴隷ね」

「そうそう」


「まっ」


 小野川千秋さんは、頬を染めて俯いた。


 うおおおー。

 マスコミが響めく。


「ちょっと、セルジュ。うちには性奴隷なんていませんよ」

「じゃあ、タルト村の性奴隷にする?」

「そうそう」

「い、いいえ!」


 いくら何でも、それは拙いだろう。


「じゃ、処女再生してね」

「そうそう」


 何なんだよ、これ。


「次は鳥島警部」

「本官は法に基づいて職務を遂行したに過ぎません」

「あなたの罪は、大恩ある蛮族の王に手錠をかけたことなの。しかも相手は法を犯してもいないのよ」

「そうそう」

「大恩などありませんが」

「全ホエール人を、民主化させてくれたじゃない。忘れたの?」

「そうそう」

「本官はずっと警察官でしたから」


 警察官とか軍人は、ホエール株を1株下賜される特典があり、上層部に頭が上がらない体質になっている。

 罷免されると取り上げられ、一般人以下になるからだ。

 何とか上層部に睨まれずに、退職までは無事に過ごしたがる傾向がある。


「それも、あなたの罪ね。ペイル市上層部のための警察から市民のための警察に変わったことを認識してないんだわ。階級社会は終わったのよ。まったく、この都市はホエールの恥部ね! 本当にオペレッタちゃんに焼いて貰いたいわ」

「そうそう」

「焼きたい!」

「駄目だ!」

「ユーキのケチ!」


 ケチとかじゃないんだが。


 更に、マスコミとか芸能人は、一般大衆を下に見る傾向が強いそうだ。

 民主化を叫ぶマスコミ人ほど、偉そうにして鼻持ちならないらしい。


「銀行とかマスコミなんて、何ら社会の生産に寄与していないのよ。それなのに民主化してきたら自分たちの手柄のように吹聴して、偉そうに地位ばかり要求して、まったく腹が立ってしょうがないわ」

「そうそう」

「銀行は再投資で、生産に寄与していますが?」

「儲かるところに再投資してでしょ。社会のことなんて考えないし、庶民に金を貸す銀行なんて見たことないわよ」

「そうそう」


 まあ、慈善事業じゃないんだし、って暴力団とか金貸しの台詞だったなあ。


「どちらにせよ、王を拘束したのだから不敬罪よ、ドウトンボリで小麦10石の刑にしましょう。あなたの信奉するヒエラルキー社会にふさわしい理不尽さでしょ。市民のための警察官という立場をよく考えて反省してきてね」

「そうそう」

「本官は納得できません」

「しょうがないじゃない。エリダヌスには10石の刑か、性奴隷の刑しかないんだから。性奴隷の方がいいの?」

「ひぇっ」


 警部はお尻を押さえて怯えた。

 何か、トラウマがあるのだろうか?


 一応言っておくが、性奴隷の刑などない。

 領主預かりか、村長預かりがあるだけだ。

 厳しいのはサンヤ牧場預かりで、毎日棒術の訓練があるが、男だけだ。

 10石開発を拒否した場合に発生する。

 領主預かりは、男子禁制の領地内なので女だけである。

 だけど、性奴隷ではない!


 再びマスコミは響めく。


「さて、カナホテル支配人」

「ははぁ」

「あなたは、タルト村で1年間小作よ」


 そうなのだ。

 預かりとはそう言う刑なのだ。

 知ってんじゃないか!


「しかし、私は高鯨家の……」

「いいのよ。カナちゃんの夫を侮辱したのだから」

「そ、それでは叶子お嬢様の噂は本当に?」

「現地で、カナ観光長官に気に入られると良いわね。大好きなミゲールもいるわよ」

「ううぅ」


 うなだれる支配人をマスコミは容赦なくニュースに流す。

 どうも、ホエール中に流されているようだ。

 オペレッタが俺の脇のディスプレイで、緊急のニュース番組を次々に映し出して遊んでいた。


『こいつか。警部、この薄汚いのを早く連れて行って始末してくれ』

『こいつか。警部、この薄汚いのを早く連れて行って始末してくれ』

『こいつか。警部、この薄汚いのを早く連れて行って始末してくれ』

『こいつか、』

『こいつか、』

『始末して』

『始末して』


 オペレッタ、やめてあげて!


 警察が証拠として撮影したらしき支配人の映像が、何故かニュース映像内でも繰り返し流される。


 腐ってもマスコミの聖地である。


 ある意味、エリダヌス関連のニュースが解禁された日でもあった。

 きっとセルジュは、シベリアンタイガー景気と艾小姐との結婚の慶事により、この歪んだ首都が是正される所を確認しに来たのだろう。


 自分たちの放送が流れると、ニュースを流しているチームの周りから歓声が上がる。

 どうも、この支配人は評判が悪いようだった。


 うううぅ。

 支配人は男泣きと言うほど格好良くはないが、嗚咽している。


「さて、シオン」

「わわ、わたしも。せ、性奴隷ですか?」

「どうも、あなたは早とちりする癖があるようねえ」

「そうそう」

「それは、よく監督たちにも言われますぅ」

「今回も助けてくれた蛮族の王を早とちりして変質者扱い。おまけに殴りかかり叫んだ、あなたの問題行動が騒動の原因なのよ」

「そうそう」


『きゃぁぁぁ、変質者よぉー、誰か助けて!』

『きゃぁぁぁ、変質者よぉー、誰か助けて!』

『きゃぁぁぁ、変質者よぉー、誰か助けて!』

『きゃぁぁぁ、変質』

『きゃぁぁぁ、変質』

『変質』

『変質』

『変質』

『へへへっ、変質』

『へへへっ、変質』


 またしても、オペレッタが映像を何度も再生している。

 角度的に、ホテルの監視カメラだろう。

 シオンがグーで何度も俺の顔を殴りつけている。

 実際は一度だけだ。


 オペレッタ、やめて!

 俺が変質者みたいに見えてくるじゃないか!。

 シオンが蒼くなってるじゃないか!

 それに、ちょっと音楽っぽい。


 この件ではオペレッタ的に、良くやったとシオンを褒めているようだ。シオンに向かって親指を立てている。


『きゃきゃきゃっ、変質変質』

『きゃきゃきゃっ、変質変質』

『変質変質』


 だから、編集するのもやめて!

 流行したら、どうすんだよ!

 あと、おっぱいの揺れがリズムに合ってるからね。


 再び、マスコミから響めきが起こり、ニュースキャスターは得意げに解説していた。


「さて、シオン」

「すすす、すみませんでした」

「あなたは処女だし、性奴隷としては失格ね」

「そうそう」

「ええっ!」

「どうせ、下手だし、王はご満足なさらないわ」

「そうそう」

「そ、それは、そうかもしれませんが……」


 何だか、シオンは不満そうだった。

 そこまで言わなくてもいいだろう、と言ったところだろうか。

 売れ出した女優としては、少し侮辱されたと感じているのかもしれない。


 だが、マスコミの連中は大喜びだ。

 鼓シオン、処女確定です、とかわめくキャスターもいた。涙を流すスタッフ連中も。


 そんなに人気あるのか?


 俺は満足するかもしれない、が、ここでは発言しない方が良いだろう。


「シオンは一緒に艾家に行き、玲玉に会って吹き替えをやらせてもらいなさい。付き人やマネージャーはみんな解雇くびよ」

「そうそう」


 脇の方で控えていた取り巻き連中は、蒼くなっていた。

 シオンは、納得できていないようだが。


「警察官は、警部が代表して刑を受けるから釈放してあげるわね」

「そうそう」


 警察官たちは安堵の表情を浮かべた。


「けれど、警部だけに責任を負わせたくない人は警部に付いていくと良いわね」

「そうそう」


 一度安堵した警察官たちは、お互いに顔を見合わせた。

 どうして良いのかわからないようだった。


「ホテルの警備員も釈放してあげたいけど、そこの左から3番目、そうあなたよ。あなたはドサクサに紛れてナリのおっぱいを揉んだから、アシヤ村開発移民にするわ」

「そうそう」

「それから、後ろのふたり。あなた方もエリザベスのお尻や太股を触ったからアシヤ村開発ね」

「そうそう」


 オペレッタが情け容赦なく、その場面を再生し始める。

 マスコミが流すから、彼らはとてもここには残れないだろう。


「じゃあ、第3執事長は、男どもをエリダヌス行きのシップに乗せること。明日には出発するから」

「そうそう」




 奇妙な即決裁判が終わった後、俺たちはカナホテルの最高級の部屋に入り、セルジュの言いなりに過ごすことになった。


 最初は豪華な風呂だった。

 ちゃんと男女別なので安心して入れた。

 軽く流してからゆったりとした湯船につかると、極楽だった。

 エリダヌスを出発してから、殆どシャワーしかない世界にいたのだ。

 シップの風呂は女たちがいつも沢山いて、入り難かったし、シベリアンタイガーと一緒になってからは、ゆっくりと風呂に入る時間もなかったのだ。


 マサイにも銭湯とかあれば良かったのだが、燃料がまだまだ輸入なので、そうそう贅沢はできない雰囲気だった。

 熱帯だから、シャワーで十分というお国柄もあった。

 ソーラーで湯を沸かせるが、火力が弱いから風呂までは贅沢だ。

 まあ、石油とか見つかっても、精製施設なんか作れないし、環境問題も気になる。


 今は輸入と小規模な植物エタノール生産で、調理場と自動車をまかなっている。

 今後、農業が広がれば、堆肥・メタン工場ができるから、少しは良くなるかもしれない。


「祐貴ちゃん、ご一緒するわね」

「セルジュ、こっちは男湯ですよ」

「あら、私、男よ」

「いや、そうなんですけど、何となく釈然としないんですよ」

「私はゲイじゃないのよ」

「そうなんですか?」

「バイよ」


 俺は思わず身体を離してしまった。


「あなたは女湯にしか興奮しないでしょ」

「ま、まあ」

「私なんか、男湯でも女湯でも同じように興奮できるのよ。きゃははは、みんな人生半分損してるわねー」


 いや、大半の人間は、こうはなれないと思う。


「さっきの奇妙な裁判なんですが」

「あら、何か不審な点があったかしら?」

「いえ、あれ刑罰じゃないですよね」

「反省させるのは、刑罰よ」

「でも、意味があるような気がするんですよ」

「まあ、性奴隷なんて、嫌じゃなければ刑罰にはならないわね。ご褒美かしら?」


 セルジュは首と腕を縁に預けて湯船につかり、見たくない下半身をぷかぷか浮かせている。


「いや、そこは嫌だろうと思いますよ。でも、何となく実際的な罰のような気がしなかったんです」

「まあ、だから反省なのよ。エリダヌス法を適用するなんて、犯人引き渡し条約でもなければ無理よ」

「なら、効力はないんじゃないですか?」

「外交問題は、今のところ委員会にしか権限がないわ。私が申し渡せば、表向きは問題ないの。豊作は主に財務・貿易担当だし、達実じーちゃんが軍務、他のメンバーは内政。本当は京太郎と錫子が外務担当なんだけど、錫子は地球の立て直しで忙しいし、京太郎はおわかりの通り駄目駄目の引き籠もりだったのよ」

「それで、謀略担当のボスが直々に出張ってきたのですか」

「まあ、虎と嫁が一度に手に入れば、少しはやる気になると思ったのよ。実際に虎を紹介したのも、エリダヌスに行かせたのも私だしね」

「友達思いなんですね」

「惚れちゃ駄目よ」

「最初から、惚れてましたよ」

「まあ! 殺し文句で切り返せるようなら、もう一人前ね。カルロがお友達になって喜ぶだけのことはあるわ。握っても良いかしら?」

「だ、駄目ですよ、ああ、本気を出さないでください!」


 暫く、風呂が溢れかえるような攻防戦があった。


「いけず」

「そう言う問題じゃありません!」

「もう、何にも教えてあげない」

「そんなに拗ねなくても。大人げないですよ」

「いいのよ。大人なんて汚いものにはなりたくないから。ああ、初めての男は、それは新鮮だったわ」


 本当はおっさんのくせに。

 だが、セルジュはこんな地位にいても、楽しいことには目を輝かして楽しむ心があった。

 これも、金では買えない魅力的なものだった。


「こほん、失礼します」

「ああ、来たわね、性奴隷」


 いつの間にか、千秋さんが入ってきていた。

 バスタオル1枚の姿で、洗い場にいる。


「はい、性奴隷の千秋です。小鯨様、仲良しなのは結構ですが、私の役目を奪わないでくださいね。そうでなくても相当不利なんですから」

「あなた、抱かれてもいないのに、凄い入れ込みようね。抱かれたら困ったことになるわよ」

「良いのです! 性奴隷なんですから」


 あのー、あんまり性奴隷、性奴隷、言わないでください。

 本当に、そんな仕事があるような気になってきますから。


「ご主人様、そろそろ私にご奉仕させてくださいませ」

「いえ、自分でできますから結構です」

「そんな、私はご主人様の性奴隷なんですよ!」


 何故か、涙目である。


「あら、性奴隷なら性奴隷らしく、バスタオルで隠すなんてまねしちゃ駄目じゃない。ちゃんと全裸で来ないと祐貴ちゃんも遠慮しちゃうわよ」

「も、申し訳ありませんでした」

「ちょ」


 俺が止める前に、するっとバスタオルが取れ、大人の色気のある身体が晒されてしまった。

 少女と異なる迫力のある身体は、欲望がストレートにかき立てられ、目を離すことができなかった。

 太っていないのに、重要な部分だけ少しむっちりとしているのだ。

 脂がのっているという感じだ。

 おっぱいも日本人的な風貌に似合わず、Dで形も良い。


「少し、毛深いんじゃない?」

「せ、セルジュ」

「あら、ほんとのことよ。大人の女は見えない所こそ手入れは怠らないものよ」

「も、申し訳ございません。すぐに剃ります」

「いや、いいですから」

「しかし、それではご奉仕できません」

「そんなご奉仕はしないでください」

「でも、折角、性奴隷にしていただいたのですから、あれもこれも任せていただきませんと困ります」

「セルジュ、この人何とかしてー」

「きゃはははは」


 再び、変な攻防戦があった。

 タッグマッチなんて、卑怯じゃないか!



 それから俺たちは、美容師、ウエイトレス、お針子、ホテルのメイドと色々な人のご奉仕を受けていた。

 勿論、変なご奉仕ではない。


 千秋さんには、背中を流して貰っただけだからな。

 前から背中を流すというのは、初めて経験したのだが、皆には内緒である。

 これがまた、凄いのなんのって……


 ごほん。


 何故か部屋の全員が一通りの世話を受けているのだが、男も女も腰に1枚のバスタオルを巻いただけだから、変な感じだ。


 髪をカットされたり、紅茶を出されたり、採寸されて、仕上がりの見本を見せられたりしている。

 サンドイッチとかフルーツを出されたりもするが、基本的にソファに座ったままサービスを受けるだけだった。


 変なのはセルジュとクララもいるし、妻たちと同じようにシオンと千秋さんも混ざっていることだ。


 いや、オペレッタまでご奉仕を受けているぞ。


 おっぱいは見放題だが、不思議と誰も文句を言わない。

 だが、基本的にはセルジュの指示だから、何も言わないで大人しくしていた。

 セルジュもクララも一流のデザイナーで、委員会のメンバーなのだから、問題なくきちんと仕上げてくれるのだろう。

 それに、大人しくしていれば、おっぱいを好きなだけ見ていられるのだ。

 むふふふ、なのである。


 女性陣は化粧やペディキュアなどをされ、訪問着のスーツやイブニングドレスなども試着していた。


「靴とバッグは、このシマウマがとても良いわねえ」

「そうそう」


 クララは娘のルミコと一緒でちっちゃい方だった。Aに届かないかもしれない。


 いや、そうじゃないだろう。

 バッグも靴もクリーニングされていて、新品に戻っていた。


「祐貴ちゃん。もっと作ってないの」

「ええと、シマウマはあまりなくて、4組だけなんですよ」

「そうよねえ、あんなに可愛い動物を狩るなんて鬼畜以外できないでしょうから、仕方がないわね」

「そうそう」

「でも、これは流行りそうだわ。1組2千G(1千万円)でナナ&サラサ・マサイに予約するわ」

「そうそう」

「社長はシーリーンです。言っておきますから鍛えてやってください」

「何、祐貴ちゃんの愛人?」


 女性陣の視線が集まってくる。


「たた、単なるビジネスパートナーですよ」


 俺はそう思っているのだが、きっと現地妻とかになってるんだろうな。


「知ってるくせに!」

「やったくせに!」


「や、やってません!」

「あら、やっておかないと、変な男が社長になったりしちゃうわよ」

「そうそう」

「母親や友人が経営陣ですから大丈夫ですよ」

「そんな、自分に言い聞かせるような意見なんて、説得力はないわね」

「そうそう」

「次に会った時はちゃんとやっておきなさい」

「そうそう」


 女性陣の視線が強まり、痛いぐらいだった。


 まあ、口ではセルジュには勝てないのだ。

 何なら勝てるのだろう?

 勝てそうにないなあ。

 いつもセルジュの言いなりだ。

 この人が『天敵』なのかもしれないな。

 味方にしておこう。


 女性陣は、ローブ・デコルテは若い娘にはダサいとか言う理由で、落ち着いた深紅色の膝丈のパーティードレス姿になり、動くと時々ふんわりと広がる薄絹の裾の感じがとても優美であった。


 髪飾りも、手袋も、靴もバッグもショールも、それに合わせてあり、上流階級のお嬢様たちに見えるようになった。


 肩が全部露出しているのが色っぽいな。


 褐色の肌にも白い肌にもよく似合い、この辺りのセンスはセルジュとクララに俺はまだまだ及ばないと思った。

 オペレッタは張り合っているのか、褐色のスス色になったり、ギンのオペレッタになったりした。


 千秋さんは美しい黒髪となり、顔も化粧すると20代の日本人女性を代表するような美女に変貌した。

 わざと地味に汚くしていたことがわかった。

 このパターンはラーマと同じだ。

 きっと、嫌な男が側にいて、せめてもの抵抗をしていたのだろう。


 しかし、凄い美女だったよ。

 どうしよう、この人がまた性奴隷だなんて迫ってきたら、俺我慢できそうもない。


 俺とセルジュは濃いブルーのタキシードにグレーのスラックスで、ちょっと派手だったが女性陣には褒められた。


 俺は、生まれて初めて『リア充』ぽい気分に浸ったが、すぐにセルジュとお揃いなので、ゲイっぽいだけに過ぎないのでないかと心配になった。



     20へ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ