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チートとは:裏

無事に勇悟が転移していった後、私はソフィアと一緒に【遠見の鏡】で勇悟の様子を観察していた。


キョロキョロと辺りを伺う彼の姿は、初々しくて実に微笑ましい。


「ミネルバ様、そういえば、スキルは何をあげたんですか?」


「えーとねー、アイテムボックスとー、鑑定とー」


「ホゥ? そんなスキルありましたっけ?」


「ないよ? だから両方とも創ったの。すごいでしょ!」


私の肩の上で、器用に首を曲げてうなだれるソフィア。どうしたのかしら?


勇悟はステータスを確認している。ちなみに、半透明のウィンドウは本人と神にしか見えないので他人に見られる心配はない。


「ミネルバ様……どんなスキルなんですか?」


「えっとねー、アイテムボックスは、好きなアイテムを亜空間に出し入れするスキルね。」


「亜空間? 亜空間なんていつの間に創ったんです?」


「あーそうそう。亜空間創るのって以外と大変なのよね。面倒だから、とりあえず神界につないでおいたわ。」


「は?」


勇悟が小石を拾い上げてアイテムボックスに収納した。


瞬間、私の頭にゴチンと何かがぶつかり、目の前に星が散った。


「いったああああああい!!」


私は頭を押さえて屈み込んだ。足下に小石がコロコロと転がった。


「ミネルバ様……座標設定はどうしたんです?」


呆れたような声を出すソフィア。そういえば、神界につないだだけで座標設定してなかった。即ち、アイテムボックスに入れたアイテムは私の頭上に現れる事になる。


私はムキーッと叫びながら憎い小石を蹴り上げようとする。次の瞬間、小石は消失し、私のサッカーキックは宙を切った。バランスを崩してよろめき、尻餅をつく。


「もうっ!」


悪態をつきながら、座標を私の神殿の倉庫内に設定しておく。倉庫内には色々な神具が置いてあるけど、まあいいでしょ。




「自業自得ですね。まったく……。それで、他のスキルはどうなんです?」


「うう……。えーと、【鑑定】はね、物や人を見て念じるだけで、詳しい情報が手に入るのよ。」


「はぁ……情報源はどこなんです?」


「え?」


「情報源ですよ。まさか自分の知っている事しか分からないというわけじゃないんでしょう? だとすれば、その情報をどこから手に入れるんです? ……ま、まさかアカシックレコードとかじゃありませんよね?」


「えーと……あはは。」


アカシックレコードとは、万物の叡智であり、神々の智恵であり、人々の過去現在未来すべてが記されたデータベースである。当然ながら、管理対象である人類に知られてはならない情報も満載だけど……。


「ゆ、勇悟君は優しそうだから悪用とかしないって! ね?」


ソフィアは無言でプルプルと震えている。私は目を背ける。


「すぐに変更してください!!」


「わ、わかったわよ!」


そこで、勇悟が赤い花を【鑑定】した。


ま、まずい。あのスカーレットという花は、実は不老長寿の薬である賢者の石の材料の1つであり、アカシックレコードに掛かれば、詳細なレシピからその効果まで全てが理路整然と表示されるだろう。


私は、急いで鑑定のメッセージ制御を横取りし、手元にマイクを具現化する。


「はいっ! このマイクで鑑定結果を伝えてあげて!!」


「えええっ! 自分がですか!?」


「いいから早く!」


ソフィアは智恵の神である私の助手であり、私が知る全ての智恵を保存する外付け媒体としても機能している。ソフィアであれば、大抵の物事は説明してくれる。


ソフィアは渋々とスカーレットの鑑定結果をマイクに向かって喋る。慌てたのか、最後にホッホウとか言ってたけど及第点だろう。


更に、次々と木々草花を鑑定する勇悟。ソフィアは恨みがましい視線をこちらに向けつつ、鑑定結果を喋っていく。いやー、とっさの思いつきだったけど、我ながら名案だったわね。


「ミーネールーバーさーまー!?」


ソフィアの真ん丸おめめが険呑な光を点す。


「な、なにかしら?」


「いい加減にしてください! スキルが適当すぎます!!」


「うう……」


ソフィアがブーブーとうるさいので、仕方なく【鑑定】の情報源を異世界用の小規模データベースにしておく。情報の選別が大変なので、ソフィアの検閲を通すようにしておく。


「はぁ……検閲ですか……。また余計な仕事を……。」


ソフィアがブツブツ言ってるが、その位は我慢して欲しい。私の助手なのだから。




勇悟は、【身体強化】を試しているが、あれは常時発動スキルなので意識して発動する必要はない。うーん、説明し忘れたかしら?


「最後は身体強化ですか……。まあ、あれなら、それなりに所有者が存在するスキルですね。」


「そうでしょ! やっぱり身体能力は必要だと思うのよ!」


勇悟は軽くジャンプする素振りを見せる。


「あっ、ほら見て。ジャ……」


固まってしまった。勇悟は物凄い勢いで飛び出し、上空10mまで飛び上がっていた。


ソフィアもその光景を見て声を失っている。


「……ミネルバ様。身体強化のLvをいくつにしましたか?」


「え? えーとね……Lv5よ。どうせなら最大でいっかなーって……」


「馬鹿なんですか!? 馬鹿ですよね!? Lv5っていったらマスター級、身体強化だと10倍ぐらいになっちゃいますよ!?」


「あ、あら、そうだったかしら?」


「自分で設定しておいて何で忘れてるんですか!! あんな馬鹿げたステータスで10倍になったら軽く人類最強の身体能力ですよ!?」


「う、うるさいわね! 直せばいいんでしょ!」


思わず声を荒げながら、私は勇悟のスキルをいじる。こっそり身体強化のレベルを5から1に修正しておく。


「はいっ! Lv1にしといたわ!」


「はぁ……スキルレベルを下げるなんて前代未聞ですよ……」


「いいのよ、前例は作るものなのよ!」


「もうやだこの神」


ソフィアは頭を抱えている。うん、滑り出しは好調ね!


読んで頂きありがとうございます!


お気づきかも知れませんが、表(勇悟視点)と裏(ミネルバ視点)で物語を進行しています。テンポが遅くなってしまいますが、肝になる仕掛けなのでご了承ください。

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