ある日のチャットルーム⑤
―――タツキさんが入室しました。
タツキ:誰もいねぇかー
タツキ:ならログを全部独り言で埋めちまおうかな!
タツキ:大学生と言えど、暇な時は暇なのだよ
タツキ:そういえば、この前離れて暮らしてる弟から連絡が来たんだよねー
タツキ:今度飯でも作りに行ってやるかって言ってみたら、ちょっと嬉しそうだったぜ。俺歓喜!
タツキ:これでも俺、ちゃんと一人暮らしスキル身につけてんだぜ! 一人暮らしじゃないけど
タツキ:家事とか自炊ちゃんとしてるんだぜ! えっへん!
―――ルウさんが入室しました。
ル ウ:本当に独り言で埋めるつもりだったの?
タツキ:お、ルウだ。よーっす!
ル ウ:おはよう! 朝からチャットなんてよっぽど暇なの?
タツキ:そう言うお前こそ
ル ウ:私はこれから午後の補習に行くからその前にちょっとだけ!
タツキ:土曜日なのに中学生でもう補習か……
ル ウ:もうすぐ中三だし、受験が来るからねー
タツキ:がんばれ受験生! あの地獄を存分に味わうがいい!
ル ウ:うわぁ……
ル ウ:ところで、タツキって弟いたんだ。何歳?
タツキ:あぁ、今中二。
ル ウ:私と同い年かっ
タツキ:お前よりずっと大人っぽいぞ!
ル ウ:タツキは私と会ったことないじゃん!
タツキ:弟も可愛いけど、妹も欲しかったなぁ
ル ウ:タツキってブラコン?
タツキ:かもな!
ル ウ:じゃあ、妹がいたらシスコンだった?
タツキ:かもな!
ル ウ:うわぁ……
タツキ:引くなよ!
ル ウ:タツキをお兄さんにもつ弟君がかわいそうな気がしてきた……
タツキ:どういう意味だよ!
(PM/タツキ:あと言っておくけど、俺は兄ちゃんじゃなくて姉ちゃんね)
ル ウ:えええぇぇぇ!
タツキ:なんだよ、そんなに驚くことかよ! つか、PMの意味ねぇ!
ル ウ:うっわ、ごめん!
(PM/ル ウ:ずっと男の人だと思ってた)
(PM/タツキ:普段からこんな感じだからなぁ……チャットだと間違われてもしょうがないけど)
(PM/ル ウ:そうなんだー)
ル ウ:でも、私も兄弟欲しかったなぁ……
タツキ:ルウは一人っ子か
ル ウ:そうそう。やっぱり兄弟いるのは羨ましいなーお姉ちゃんが欲しかったかも!
タツキ:よし! じゃあ俺が妹としてルウをもらってやろう!
ル ウ:お 断 り し ま す !
タツキ:そんな拒否んなよ、おじさん悲しいだろ!
ル ウ:お断りったらお断り! まぁ、もう弟みたいなやつはいるから十分かな!
タツキ:弟みたいな奴って?
ル ウ:学校の委員会で一緒の奴なんだけど、寝坊癖があっていつも寝坊してはどこかで授業サボってるような奴でね! 委員会の仕事もたまにサボるから手がかかってしょうがないのさ!
タツキ:なるほど、たしかに手のかかる奴みたいだな
ル ウ:そうなの! いつも先生に言われる身にもなってほしいんだけどね!
タツキ:ルウ、そいつのこと好きなの?
ル ウ:じゃあそろそろ落ちるね! お疲れ様!
―――ルウさんが退室しました。
タツキ:逃げられた! ちぇーおじさん泣いちゃう!
―――タツキさんが退室しました。