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すれ違う想い

驚いた、内海さんがいるとは思わなかった。内海さんの方は俺に気づいていなかったので、内海さんの後ろを素通りすることも可能だったのだが、今日の朝、内海さんは俺に話し掛けてくれたので、俺からも話かけようと思い、声をかけたのだが内海さんの反応がちょっとおかしい。

「どうかした?」とりあえず様子をみる意味でいた。


「えっ、いや、その、めっ珍しいなーって思ったの! 甘木くんがこの時間に帰るの!」わかりやすく動揺している内海さんのこういう所、好きだなー。ってまてまて婚約者がいる相手に好きだなーとか思うな俺! けど好きなものはしょうがないよねー。


「内海さんの方こそ、珍しいんじゃない? 最近そっち忙しいって聞くし、よくこの時間に上がれたね。なんか用事? あっ例の彼とデートとか?」


内海さんは、腕組みをし、なにやら考えこんだ後、答えた。

「いやいや、ただ今日はちょっともう仕事する気になれなくてさー、早く帰ろうと思っただけだよ」

む、なにか嫌なことでもあったのか? 突っ込んで訊いてもいいかな? 微妙だな。さてどうしようっと考えている間に、内海さんが又話し始めた。


「今日の朝の事なんだけど」

結婚の話か。

「ああ、式の日取り決まったら教えてね。」

「っ!! あっ、うん、わかった・・・」

あれ? なんか変だぞ、もしかして・・・

「内海さん、もしかしてだけど。」

内海さんの曇っていた顔が一気に晴れた。目が言っている「わかってくれたの!」と。マジでか、ちょっとショックなんですけど。

「俺の事、式に呼びたくないの?」

「ってなんでだよ、バカ。」

「あっなんだ違うんだ。」

「あたし、そんな心狭くないんですけどーってか同期皆呼ぶつもりなんだから。」

「同期って? 俺内海さんの同期じゃないけど?」

そもそも派遣社員には同期という概念が無い、同じタイミングで入社した人が何人いるのかは、かろうじてわかるが、その何人かを果たして同期といっていいのか、疑問である。

なので普通に考えて内海さんの示す同期には自分は入っていないだろう、じゃあなぜ俺を呼ぶのか? という事を訊いたつもりだったのだが、内海さんの答えは思いもよらないものだった。


「あたしが入社してすぐに、甘木くんもあたしの会社に派遣で来たでしょ? 同じ時期から一緒に会社で働いている、それって同期ってことだよ。」


そうか、そういう考えもあるのか、っていうか同期・・・ちょっとうれしいな、そんな風に思っていてくれたんだ。

「じゃあ心置きなく、同期甘木結婚式に出席させて頂きます」

って・・・あれ、内海さんの顔がちょっと曇っているなんで、なんでだ、一体何に? えっ何俺と話している事自体が嫌ってこと? それしかもう無いだろこれは。 

「やっぱ今の無し、結婚式欠席します。」


内海さんこれでほっとするはずだ。しかし俺が断ったことにより、ほっとした表情になった内海さんを見るのは、俺の精神衛生上とてもよろしくないので、欠席しますの”す”の字を言い終わると同時に、俺は内海さんから離れ、そのままそこで電車を待った。


内海さんは特に声を掛けてきたり、追ってきたりしないので、多分俺の思ったことは正解だったのだろう。

しばらくして電車が来たので、俺は電車に乗った。


内海さんは同じ車両には乗らなかったらしく、周りを見渡しても姿は見つからなかった。


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